2025/1/26 さらにまた夢の続き 多分終わり

「弟と二人で出て行って幸せになる」


 そんなことを父親に言い続け、父親はどこへ出て行くんだと返事をしてくるのを繰り返したある日のことを夢に見ていた。


「頑張り続けたらなれるって言ってくれた!」


「あれは冗談だったんだろ」


 父親とそんなやり取りを繰り返していると、出て行かれると困ると言われるようになった。


 何が嫌なのかを聞いてもらえたから、溝に捨てるふりをされるのが怖いと答えた。




 家の前とはいえ、ド田舎の夜はほとんど何も見えないくらいに真っ暗だった。


 溝があるのが見えはするくらいだったけれど、その溝の中はさらに真っ暗で本当に何も見えなかった。


 父親が手を滑らせてしまうと本当にこの中に落ちてしまう。


 弟もすごく怖がるようなお仕置きだった。




 父親はそれを聞いてくれて、やめるといってくれた。


 他にも怖いことがたくさんあったから、怖いこと全部やめてくれるかもしれないと思った私はさらにお願いしてみていた。


 怒鳴ること、殴ること、怖いと思ったこと全部。


 父親はそれらの要求を聞いてすごく怒った様子で二階にあがっていってしまった。


 お願いしたとたんに怒鳴られた。


 幼い私はそんなことを思いながら、また溝に放り込まれるのかと不安な気持ち、絶望的な気持ちでしばらくじっとしていた。


 しばらくして父親が戻ってきてこういった。


「人にお願いするときに一気にしたらあかん。少しずつや」


 そのあとは父親との話し合いと、要求の理由を話して終わる夢だった。




 目を覚ましながら、父親は溝に放り込むのをやめてくれて、怖いからやめてほしいと言った点も、長い時間をかけてちょっとずつ直してくれていたんだと気づかせてくれた夢だったことに気がついた。


 人は良くも悪くも変わることができる。


 同じ失敗をすることもあれば、話し合いをしてちょっとずつ長い年月をかけて。


 昔の夢を見て、幼少期のあの怖かった時期に気分も心境も巻き戻ってしまったようになっていたけれど、今日見た夢のおかげで、記憶が飛んじゃうくらい怖かったあの出来事があったおかげで得たものがあったと気づかせてもらえた。


 それで、あの出来事があったから今は頭ごなしに怒鳴られないし意地悪もされないんだと気づけた。


 夢でうなされたり巻き戻ったりすることはたくさんあるし、すごく怖くなる上に不安にもなるけれど、ちゃんと今のことを見てあげるべきだとも思える夢だった。


 努力を否定されて腹が立ったり悲しかったり虚しい気持ちになるのが痛いくらいわかるのだから、トラウマになってたりするけどちゃんと今のことを見るのが大事なんだと。


 正直なところまた同じことになるのが怖いし不安ではあるけれど、遅かれ早かれ死ぬのだからいろいろやってみようとも思える夢でもあった。


 その前に、腹痛で早すぎる時間に目が覚めるのをなんとかしたい。

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