PCから発掘された黒歴史。【評論三作】
桃波灯火
泥の河
『泥の河』は多くの対比と子どもの視点使って、時代の変化を描き出したものだ。
作品内には信雄と喜一の家族が登場する。二つの家庭は、父親が戦争生還者だ。信雄の父である晋平はうどん屋を成功させた。喜一の父親は船頭をしていたが、あっけなく死んでしまった。これが最初の対比であろう。ここから、二つの家庭の人生は大きく乖離してしまう。
他にも多くの対比が存在する。その中でも、信雄の聡い視点が発揮されたシーンがある。喜一の姉である銀子にラムネを渡しに行くシーンだ。信雄は喜一に連れられて船の家に行く。そこで、銀子に足を洗われて性的な感情を持ってしまう。その後、ラムネを渡しに行くのだ。読者である我々はこの箇所で対比を読むことができる。体を売る銀子の母と、その客。足を洗った銀子と、信雄。二つとも性のやり取りであり、お金とラムネが動く。信雄はそれに気づいているわけではないが、ラムネを捨ててしまう。何かを感じたのだろう。
『泥の河』は、二つの家庭を対比して戦後の底辺とその他の生活の変化を描き出した作品だ。戦争が終わっても人々の生活は壊れたまま。作者は、ある意味戦争は終わっていないと伝えたかったのだと考える。
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