僕と私のスペースアドベンチャー、星の探検家

RYU

第2話 プロローグ

 翌日は、特待クラスとの合同授業だった。

広い講堂では、学生らで賑わっていた。


遥斗は久しぶりに特進クラスの人も対峙するが、彼等ら何処にでもいるような極普通の生徒ばかりだった。

だが、彼等と自分とでこの脳の構造の何処が違って居るのだろうか?と、遥斗は顔をしかめた。


気晴らしに窓の方を向くと、天王院理香が視界に入った。彼女は、いつも通り済ました顔をしパラパラテキストを眺めていた。


人形のような端正な顔立ちに、明るいヘーゼルブラウンの目、サラサラで透き通る亜麻色の長いストレートヘアー、白くキメの細かい肌に華奢な手足。強い意志を感じられる、凛とした表情。


彼女のその華麗な風貌や人を惹きつけるオーラは、他の生徒達とは一線を画していた。


天王院理香は、普段はほぼ誰ともつるまない性格だ。ツンとしたようなイメージがあり、取っ付き難い鼻に付くような雰囲気がある。

優等生であり、ハメを外すような人ではない。

だから、昨晩見たあの光景は全くの嘘のようだ。

もしかしたら、自分は夢でも見ていたのではないか?とすら思ってしまう。

いや、普段の彼女には何処かしら重く深い陰りのようなものを感じていた。昨晩、それが爆発してしまったのだろうか?



特別講師を呼んでの座学に実習、船外活動が待っていた。

「では、今回はAIについて学んでいただきます。では、入って頂いていいですよ。」



「コンニチハ。ニコルデス。」





彼女には、洞察力があった。






光あれば、闇もある。

それは、誰もが知っている筈なのにそれを忘れ、平和で平凡な日常を過ごしている。


 しかし、遥斗はそれが虚構だと、無理に自分に言い聞かせていた。自分の五感が、全てなのだと。身体で音や光を感じ、身体そのもので判断しているに過ぎないー。

 目の前にある緊迫したスリリングな状況も、残酷な状況も、それは実在せず、自分の脳が勝手に創り出したまがい物の世界なのだとそう思うようにした。


 宇宙世界は複数あり、自分のいる世界は、ほんの一部から構成されているのだ。

全ては、無意味なのだとー。


そう思う事で、絶望から逃れていたのだ。


俺は光を求め、空を舞った。

闇から逃れ、自分は自由に羽ばたいていたい。

そう思っていた。





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