閑話 駿河さんの日常 #1
まえがき
今回閑話という事でBランク試験の10日間をギュッとまとめたので長くなってしまいました、お時間のある時にお読みください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
閑話 駿河さんの日常 #1
『本日、かねてより予定されていたアメリカ、中国、日本の3国による共同作戦が開始されます。Sランク迷宮である【奈落】への挑戦は今回で3度目となり、前回発見された新たな物質はさらなる技術の発展が見込めるとして────』
「玲!」
「あら?結衣、どうしたの?」
所属しているクランハウスで朝の食事をしながらテレビを見ていると、パーティメンバーである中島結衣が声をかけてきた。
私は、彼女と後3人の全員が同年代の女性で構成されたAランクパーティー【明星】を組んでいて、私達みたいな女性が多いパーティばかりが集まったクランに所属している。
パーティメンバーのみんなは個人としてはBランクなのだがパーティになると一つ繰り上げられてAランクパーティーとなる。
今いるのはそんなクランの女子寮だ。
「あなた今日Bランク試験の試験官をするのでしょう?準備は終わっているの?」
「えぇ、ちゃんと用意は出来ているわよ」
「そう、今日は暑くなるらしいからちゃんと水分と塩分補給の飴を持っていくのよ?あ!そうだ、ちょうどいいわこれを持っていきなさい。最近これを食べるのにはまっているの」
「ちょっと!いいわよそんなに」
「何言ってるの!こんなのいくらあっても困らないんだから持っていきなさい、それにタオルもちゃんといれたの?あなた前回の探索時に予備のを忘れてたでしょう?あの時私が余分に持っていたから何とかなったものの気をつけなさいよね!」
そう言って結衣はあれやこれやを収納袋に入れていく、彼女のこういった行動はいつもの事なので気にしない。
こんなことばっかりするからいつもみんなにママなんて呼ばれるのです。
「はいはい、それじゃぁそろそろ行ってくるわよ」
「まだ時間には早いんじゃないの?」
「先に試験を担当する人のミーティングがあるのよ、だからこの時間にでないと間に合わないの」
「そう、気を付けていってらっしゃい」
「はーい、行ってきます」
◇ ◇ ◇ ◇
「───それでは、ミーティングはここで終わりたいと思います。後は駿河さんの裁量に任せます」
「はい、わかりました」
それでは失礼します、そう言ってダンジョン協会の職員が出ていきました。
「ふぅ、これが今回担当する子か………随分若いのね」
会議室に一人になってから独り言ちる、今回担当する事になったのは高校生になって半年しか経ってない男の子。
明らかに異常なスピードで強くなっている、こういった子は何かしら強いスキルを手にしたのがいわずともわかる、ダンジョン協会の職員も彼が何かしらユニークスキルを持っているだろうと言っていました。
そしてそういった若いうちに大きな力を手にした子は高慢になる傾向があるから気をつけて下さいとも………
それにダンジョン協会の職員が言っていたけど、協会へと納品している魔物の数が少なすぎる事から違法な店へと卸していないか調査するとかも言っていたわね。
そのことから要注意人物として考えていた方がいいって事だったけれど。
「一筋縄ではいかなそうね………」
試験をする日までどんな子の担当になるかわからないのだけが難点ですね。
そもそもどうして私が試験官なんてしているのかなのだけれど、私みたいに高ランクになった探索者にはある程度の義務が生じてしまう、もちろん高ランクになった事でダンジョン協会から数多の支援を受けれるのだがちゃんとそれに見合った見返りを求められる。
基本的に誰がなんのスキルを持っているのかは秘密にしたほうがいいのだが誰かとパーティを組んだりこうやってダンジョン協会からの依頼があるのでどうしてもある程度のスキル傾向は知られてしまう。
そして傾向に合わせた依頼が時々ダンジョン協会から来るようになるのです。
依頼が来るといっても強制ではなく、できたらどうかな?ぐらいで来るので無理だと思ったらちゃんと断ることが出来る。
割合的には年に数回、多くても5回ぐらいダンジョン協会からの依頼を受けておけば向こうも私の名前などを憶えていて色々探索するのに有利に働く。
美味しい依頼を優先的に回してくれたり、申請が必要なダンジョンへ早くはいれたり、ダンジョン協会が明言しているわけでは無いが何となくそういった雰囲気はみんな感じているし探索者の先輩もそう言って助言してくれる。
そして私が試験官をしているのは持っているスキル的にソロで何日もダンジョンを潜る事ができて、一人ぐらい荷物がいても帰還する事ができると思われているからです。
まぁ依頼を断ってないから私自身もそう思ってはいるのだけれど、今回は苦労しそうね。
◇ ◇ ◇ ◇
初めて見たときに思った事は普通の子だなって事、ダンジョン協会の職員が言っていたような事するような子には見えなかった。
「初めまして、私は今回の試験官をさせていただきます駿河玲といいます。あなたは神薙響さんですね?よろしくお願いします」
「神薙響です、よろしくお願いします」
挨拶を交わし今回の試験内容を伝えていく、【フィルテイシア】と呼ばれるBランクダンジョンで10日間のサバイバル生活、途中でこちらが指定した魔物と戦ってもらう事もあると告げる。
いくつかの質問に答えて早速ダンジョンへと入っていく、ここまでの印象としてはやっぱり普通だなって事、こんな子がどうやってこの短期間で強くなったのか気にはなるが若干怖くもなってきた。
───なんて思っていた時がありました。
彼がどうしてここまで戦えて来ていたのか少しわかってきた、なんてことはない彼は銃という強い武器を使っていたのだ。
本来、銃などはBランクなんかじゃ通用しない。魔物が強くなり銃弾が皮膚を通らないという事もあるがお金がかかるという事もある。
なぜ銃が弱いのかというとそのアーツスキルの種類の少なさだ。
例えば同じ遠距離攻撃である弓を扱う場合、【弓術】という物がある。こちらは弓自体を強化するスキル、矢を強化するバフスキルやそれに合わせた攻撃系のスキルを覚えるのに加えて扱う弓や矢自体の素材が魔物から採れて元から強く出来る。
それに弓の扱いがうまい高ランク探索者などは矢を消耗品にせず回収して何度も使ったりする。
それに比べて銃と言えば、銃自体を強化する事が難しい。素材である金属系は銃を作るぐらいなら剣などの武器に優先的に使われてしまう、なぜなら使い手が剣などのほうが圧倒的に多いからだ、需要の問題となる。
さらにはそんな金属系の素材を弾にも使う、薬莢はリサイクルできると言っても弾頭はどうしても無理だ消耗品になる。
スキルについても理由は解明されていないがある程度のバフスキルを覚えて、後は攻撃系の技を覚える事が無いと言われている。
他にも銃を扱うと低ランク帯では楽に倒せすぎて本人のステータスが伸びにくいとも言われている。
確かに銃は見た目的にもかっこいいし憧れる子は多いがそういった問題点があるので使う人は少ない特に高ランクになれば使い手は皆無といっていいだろう。
彼はお金を使い、銃を買ってここまで来たのだろうだがその調子だとこの先に道はない、おのずと折れて引退となるだろう………
───なんて思っていた時がありました。
おかしい、彼の扱う銃は普通とはどこか違う。ハンドガン?というのだろうかあの小さい銃は、あれを使ってどうやったら『オーク』の上半身を吹き飛ばせるんでしょうか?
火力だけで言えばBランク上位の探索者ぐらいはあると思います。
なにか特殊なアーツスキルなのか?そうとしか思えないです。
さらに彼が倒した『オーク』へと手を向けると死体がパッと消えた、どうやらアイテムボックス系のスキルまでもっているようです。
この情報だけで彼をパーティに誘う所が出てきそうですね。
その後も彼はまるで遠足でもするかのようにダンジョン内を歩いていき気が付けば上層の端の方に来ていて景色を眺めていた。
そんな時遠くに『ワイバーン』が見えた、アレをパーティで安定して倒せればBランクとしてやっていけるというレベルの指標になる魔物になります。
「駿河さん」
「はい、何ですか」
彼の後ろで待機していると振り返り名前を呼んできた。
「駿河さんは俺のスキルを他人に話せないんですよね?」
「そうですね、魔法契約でそうなってます」
「今から俺のスキルで休憩場所へと行くのでついてきて欲しいのですが、どうしますか?無理にとは言わないですけど」
「休憩場所へいく………?ちょっとよく分からないんですがそうやって話すという事はスキルですね?」
「はい、異空間に休憩場所を作るスキルです」
「それなら一緒に行きましょう、私もできる事なら安全な場所で眠りたいので」
「では、行きましょうか」
どうやら何か特殊なスキルを使うようだ、事前に確認してきたって事は彼自身でも重要なスキルだとちゃんとわかっているのだろう。
そうやって待っていると彼が何かスキルを使い空中に人が通れるほどの渦が出来る。
「ここを通るんです」
「は、はい」
当然のような顔をして通るとか言ってるけどスキル内容を知らない私からすれば結構怖いんですけど!?
と、言ってもどうしようもない事は分かっています。なので大人しく彼の後をついて渦へと入っていきました。
すると別の場所へと転移したのかな?とおもうほど先ほどとは景色がまるっきり違っていました。
広い草原の様な所になぜかぽつんと家が建っています。
よくわからない場所へと突然連れてこられて戸惑っていると、神薙さんは気にした様子もなくサッサと行ってしまいました。
彼はもうちょっと気遣いを覚えたほうがいいかもしれません、減点です。
◇ ◇ ◇ ◇
今日は【フィルテイシア】の2日目です。あの後一通りみてある程度落ち着いたので用意していた野営セットをだして寝る準備をしました。
ここがどういった場所か未だによくわかっていませんが安全な場所だという事はわかったので慣れるしかないようです。
それにしてもアイテムボックス系のスキルを持っていてこれだけ安全に過ごせるスキルもあるとなると………私達のパーティに欲しいですがダンジョン協会との契約でそれは無理ですし残念です。
彼はこの二つのスキルを持っているという事だけで最大手クランへも入れるでしょうね。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
建てたテント前でゆっくりしていると起きてきたのか神薙さんがやってきました。
「後10分ぐらいしたら出るので準備しといてください」
「わかりました、その前に少しお時間もらえますか?こちらが指定して倒してほしい魔物の話しをしたいのですが」
「それって試験前に言ってたやつの事ですか?」
「はい、試験の一環としてこちらが指定する魔物を倒す力があるかどうか調べさせてもらいます」
「了解です、何を倒すんですか?」
「あなたに今回倒してもらうのは『ワイバーン』です」
「あいつかぁ、1匹だけ?」
「倒す方法は任せますので最低でも3体『ワイバーン』を倒してください」
「わかりました」
えらくあっさりと了承しましたね、『ワイバーン』がどれだけ強いか知らないのでしょうか?
私も正直倒せるとは思っていません、だけれど倒そうとどう努力するかを見てみたいのです。
相性もあるでしょうが『ワイバーン』をソロで倒せるとなると既にAランクに近い実力がある事になります。
本来ならパーティで倒す魔物ですからね。
もし『ワイバーン』に挑んで危険な状況になった場合は準備していた魔道具を使って逃げるつもりです、私が頑張れば倒せるでしょうが今回は神薙さんもいるので無理はしません。
それだけ危険なら無理に挑戦しないほうが………と思われるかもしれませんがこれぐらいしないとこの先のランクでは生き残れません。ひどいかもしれませんがこれも必要な事なのです。
またもや渦を通り外へと出てから、彼はまず『ワイバーン』がどういった魔物かを観察する事に決めたのか発見しても攻撃することなく追いかけ始めました。
まぁその選択は間違ってはいないです、ですがこの調子だと………
「はぁ………疲れた」
目の前で肩で息をしている神薙さん、やはり体力が続かなかったのか立ち止まってしまいました。
空を飛ぶ魔物を追いかけるのはその見た目以上に大変な労力がかかる事になる。
見失わないように見続ける事、追いかけている間襲ってくる魔物を迅速に対処する行動力、あとは持久力。
まだ昼過ぎですが今日はもうやめる事にしたのか渦をだしてその中へと入っていきます。
さてさて、彼はどうするのか見ものですね。
───なんて思っていた時がありました。
お昼ご飯を食べ終わってから彼が空中で手を振って何か操作しているのを眺めていました、すると突然彼の目の前が光りだしたのです。
何が起きたのかわからず見ている事しかできなかったのですが気が付くと彼の目の前に何か武器らしき物が現れました。
どこか見覚えがあります、ロケットランチャー?というやつでしょうか?
彼はそれをアイテムボックスにしまうと外へ出ていきました、慌てて私もついていきます。
神薙さんはすぐに『ワイバーン』を見つけたのかさっきしまったロケットランチャーを取り出して肩に担いで構え、そのまま撃ちました。
「ギャァァァァ!」
「あ、落ちた」
『ワイバーン』が情けない声をあげて落ちていきました、何て言えばいいんだろうちょっと面白い。
慌てて落ちた『ワイバーン』を確認しにいきましたが威力が強すぎたのかその体の大半が吹き飛んでいてとてもじゃないけど素材としては使えなさそうでした。
それを反省としたのか次は違う手を使ったのですがなにやらうまくいかず2日目は終了となりました。
◇ ◇ ◇ ◇
3日目、神薙さんは今度はでかい銃を取り出しました。
あれで『ワイバーン』を倒そうという事でしょうか?あんなものを魔物に向けて撃つと………?少し可哀想に思えてきました。
彼はすぐに『ワイバーン』を探し、見つけたと思うと先ほどのでかい銃を構えて撃ちました。
「緑色の光?」
思わずボソッと呟いてしまいましたが、彼が撃った弾が淡く緑色に光っていました。アーツスキルっぽいですね。
そして前回と同じ様に『ワイバーン』が落ちていきました、そして見に行くと『ワイバーン』に樹のつるが絡まっており拘束状態になっていました。
やはりアーツスキルでしたか。
拘束されて動けない『ワイバーン』に近づき頭だけを撃つとまたもや死体が消えました。
ここまで見てきて何となく理解しましたが、恐らくあの銃を生み出しているのはユニークスキルでしょう、そして呼び出すのに必要な対価は魔物の素材。
ダンジョン協会へと卸している魔物の素材が少ない理由はきっとこれでしょう、これまでにも魔物などを対価に使用系のスキルが存在していたので、彼のスキルもそれに近い物でしょう。
ダンジョン協会へとは私の考えとして報告しておきます。
スキルについては話せないんじゃないのかって?確かに話せませんがそれは相手から伝えられたスキル内容だけになります、自分の考えとしての話しならば話せます。
しかしその自分の考えの中に相手から伝えられた内容が少しでもあれば話す事はできません。
かなりグレーな行為ですが、今回の事を話せば彼が違法な店へ素材を売っているという疑いは晴れるでしょう。
「駿河さん」
「はい」
「ちょっと『ワイバーン』狩りまくりますね」
「えぇ………」
『ワイバーン』ってそうやって倒しまくるような魔物じゃないんですけど………
◇ ◇ ◇ ◇
その後は水を得た魚の様に、彼は『ワイバーン』を5匹ほど倒しました。
途中なぜか1匹ほど『ワイバーン』が爆散して花火になっていましたが、アレはなんだったんでしょうか?
クリアするとは思っていなかった『ワイバーン』の討伐ですが、やってしまったのは仕方がありませんこれも報告するしかないです。
この報告だけで確実に神薙さんはBランク試験を合格になるでしょう。
「と、言うわけで何かないですか?」
「何がというわけなのか知らないけれど、私はあくまでも教官の立場だからあまりあなたの行動を誘導するような事は言えないのよ?」
「そう言わずに、何かないですか?」
「そうねぇ、単純に下層を探索するのはどうかしら?上層よりも強い魔物が出てくるし楽しいんじゃない?後は下層には遺跡があってそこから宝箱が出るって聞いたわ」
「強い魔物に遺跡に宝箱ですか………確かに面白そう、行ってみようかな」
突然話しかけられましたが多分目的がなくてどうしようか悩んでいるのでしょう、ここは無難に下層を提案しておきます。
私の提案を受けた神薙さんは下層へ行くと決めたのか行動を開始しました、2時間ほどで下層への転移装置をみつけ灯篭の形になっている動力源へと魔石を入れていきます。
無事に起動した転移装置に乗り下層へと進むとすぐに『グランドドラゴン』に襲われました、平たいワニのような姿の魔物、皮膚が硬く弱い武器ではまともにダメージを与えられないやっかいな存在です。
ですが『ワイバーン』と違い飛んでいないので倒しやすい部類ではあります。
最初の攻撃は弾かれて慌てていた神薙さんですが次の攻撃はあのでかい銃を出して無事倒していました。
その後は遺跡を探すも見つからず、特に何かが起きる事もなくBランク試験6日目になりました。
6日目の今日は運が向いてきたのか神薙さんは無事に遺跡を見つけることが出来ました。
遺跡には守護者がいたりいなかったりします、厄介なのが【気配探知】系のスキルを持っていないといる事に気づけないという事。
さて、彼はどうするのか………と思っていたらおもむろにでかい銃を取り出し撃ちました。
どうやら【気配探知】系のスキルも持っているみたいですね。
その後は守護者のいなくなった遺跡内を探索し宝箱をこれまた銃で破壊して、無事にお宝をゲットしていました。
あれは魔布ですね、需要が多く安定して売れるいい素材です。
宝箱を取り、これで終わりかと思えば神薙さんは何を思ったのかおもむろに遺跡の床を破壊し始めました。
まさか爆破するとはおもってもいませんでしたが………
しかも遺跡に地下があったとは知りませんでした、今度ここへ来たときは私も探してみましょう。
遺跡を探索した後はまたあっちに行ってこっちに行ってと目的もなくふらふらしていましたが問題が起きました。
【ダンジョンウォーカー】でネームドである『踏み均す者』が現れたのです。
あのネームドは倒せる人物がおらずたまに現れるので【フィルテイシア】を狩場とする探索者なら割と誰でも知っている魔物です。
高ランク探索者であれば倒せるでしょうが彼らはわざわざいつ現れるかわからない魔物を倒したりはしません、その時間があれば普通にいつも通っているダンジョンを探索したほうが稼げるからです。
一応名を上げようと挑戦する人はいるのですが、そういった人達は実力が足らず見ての通り未だに倒せていません。
しかも『踏み均す者』はこちらを積極的に襲ってくるわけでもないので、それもあり倒そうとする人がいません。
そういった事を説明したのですが………
「誰も倒さないなら倒してもいいんだよね?」
「えっ?」
ここ数日だけの関係ですが分かった事があります、神薙さんはちょっとおかしいです。
◇ ◇ ◇ ◇
『踏み均す者』に挑戦すると決めた神薙さんはあれから色々試していました、何か罠のような物を仕掛けたのか爆発が起きたり。
かと思えば私を安全地帯へと残して何か試しに行って満足のいく結果だったのか、結構テンションがあがってました。
そうしてどうするのかなって思っているとやってしまいました。
神薙さん、『踏み均す者』を倒してしまいました。
またなにか新しい銃を取り出したかと思えば待ち伏せをして1分ほどで倒しきってしまいました、最後に崖から落ちるというハプニングはありましたが無事討伐しました。
正直倒すとは思っていませんでした、しかもソロで。
これはどう報告すればいいのでしょうか、もしかしたらAランクまで飛び級してしまうのでは?とおもうほどの戦果です。
その後は流石にアイテムボックスに入りきらなかったのか回収をどうしようかと悩んでいたのでダンジョン協会が行っている探索者支援の一つ、回収部隊を呼びました。
回収部隊の中でもトップの実力を持つ藤宮さんがやってくるとはおもっていませんでしたが結果的にはよかったのかもしれません、彼らは実力が高く素材を綺麗に処理してくれるので買取価格があがるという話です。
『ワイバーン』をたやすく倒し『グランドドラゴン』も軽く倒し、ネームドである『踏み均す者』まで倒した神薙さんにはもうこれ以上驚かされることなんてないでしょう。
この数日で色々起きすぎました。
───なんて思っていた時がありました。
何ですかその銃の威力は、海が蒸発して割れましたよ?ダンジョンの壁が壊れてますよ?
どうなっているんですか、もうヤダ………
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