第41話 筋肉痛なのでゲーム回
41.筋肉痛なのでゲーム回
「体が痛い………」
動かすたびにギシギシと痛む体、今はベッドに寝転び動かずにいる。
筋肉痛なのだ。
原因は言うまでもない2丁拳銃を使った近接戦闘で遊び過ぎたからだ。
自分で思っていたよりも相当体を酷使していたみたいで筋肉痛が結構酷い、無理すれば動けるが出来る事なら動きたくない。
まぁ今日はのんびりとするか、筋肉痛がひどいのは太ももで手は普通に動くしVR空間でゲームでもして過ごそう。
その前に畑の世話するために玄関に行かないとだけど………
◇ ◇ ◇ ◇
昔からずっと、ゲームというのは良くも悪くも人に影響を与える。
現代になってその影響力はさらに増した、なぜならゲームでしかみないようなダンジョンが現実にあるからだ。
例えばゲーム内であったスキルと似たようなスキルを手に入れた者とかが、それを生かすためにゲーム内でそのスキルを手に入れて遊んでみたりなど。そのゲーム内で遊んだことで現実でのスキル使用時にヒントとなり扱いがうまくなったりなど。
ゲームが現実に与える影響力は確実にあると言えるだろう。
その逆もある。
例えば実際にあるダンジョンを参考に作られたゲームであったり、これまでのダンジョンを参考にこんなダンジョンもあるんじゃないかと想像で作られた物だったり。
もちろん他の普通なRPGゲームだったり開拓ゲーだったりなども色々ある。
最近では素人でもいい技術を使えるので見た目的にはいい物のインディーズゲームが沢山ある。
そんな沢山のゲームがある中俺が今回選んだのはMMORPGのオンラインゲームになる。
【彼方のエルゴロン】という題名のゲームで設定的にはよくあるやつだ、魔物がいて魔王がいて、それを神の使徒となったプレイヤー達が倒していくというそういうやつだ。
プレイヤーは基本的に神側の存在だが隠しクエストなどで魔王側に回る事ができたりなど自由度の高いゲームになる。
その自由度はスキルにも及び、基本的な魔法からファンタジー世界には似合わない現代的な武器を作りだしたりできるスキルなどほぼ何でもできると言われている。
まぁその自由度からやりすぎてしまう人も出るようだが、そういった人達は運営にBANされて二度とこのゲームにログインできなくなるので基本的に混乱が起きても一時的な事になる。
「名前はそのままでいいか片仮名でヒビキとしておこう、職業はせっかくだし現実とは違うスキルが手に入るのがいいな………となるとがちがちの前衛か魔法使い系か」
キャラ制作画面で項目を指で動かしながら眺めていく。
【彼方のエルゴロン】では職業が追いきれないほど沢山ある、主には基本職業からの派生になる。
【剣士】から【双剣士】になるのか【グラディエーター】になるのか【騎士】になるのか、【騎士】になってもその先に【聖騎士】があったり【堕ちた騎士】など変わり種もある。
後衛系も【魔法使い】から【魔導書使い】など【賢者】【召喚士】他にも属性に特化した【火魔法使い】など複合属性をもった【溶岩魔法使い】など、どの職業を選んでも大量に派生があるので最初の職業を選ぶときはその先も考えないといけない。
【彼方のエルゴロン】が発売されてから丁度7年ぐらい、そこそこ時間が経っているが未だに新職業が発見されたりなどそのボリュームはえげつない。
「そういえば新井さんとこの狐のムンちゃんとか可愛かったなぁ、【召喚士】になるか」
ゲームの中でも【召喚士】や【獣使い】などはソロ職業となる、経験値が分散されるのとパーティの枠を呼び出したもので1つ埋める事になるからだ。
「まぁどっぷりするつもりはないしソロでちょっと遊ぶだけだからな、構わないだろう」
職業を選んだら次に選ぶのは見た目だ、今回やるゲームは没入型で意識をゲーム内へと入れる形になる。
よく小説などでは没入型だと現実との体の差に支障が出るとか書かれるが実際には極端でなければそこまで問題ない。
最初は違和感を覚えるかもしれないがすぐに慣れていく。
さらに性別を変えることもできる、男が女に、女が男になる事も出来る。
これまた現実との差がーってなりそうだがそんなことは無い、別に性別が変わろうが変わるのは見た目だけだからだ、好きな性別になれるし性別を無しにもできる。
後は種族も選べる。
基本的な人族、エルフ族、獣人族、ドワーフ族、妖精族、竜人族、吸血鬼族、悪魔族、天使族、とまだあるがとりあえずはこんなものだ。
もちろんこれにさらにランダムを選ぶとレア種族パターンなどもある。
「選ぶのはもちろんランダムってな」
種族項目の1番したのランダムを選択する、結果はログインするまでわからない。
種族ランダムだと見た目も性別もランダムになるので本当に何になるかわからない。
キャラを作り終わり完了ボタンを押す、するとログインしますか?と出るのでそのままログインしていく。
幾何学模様の何かが視界いっぱいにひろがりそれっぽい演出が続いていく。
「おぉ~ここがゲーム内か………」
視界が開けると見えるのは中世っぽい建物が並んでいる街中、どうやらここが初期スポーンみたいだ。
周りには同じプレイヤーと思われる人達とNPCである現地人が入り混じっている。
一応プレイヤーの頭の上にはアイコンが出ているのでわかりやすいが設定で消すこともできるのでより世界へと没入感を出したい人はアイコンを消したりするらしい。
そうして街中を見渡していると違和感に気づいた、自分の身長がかなり縮んでいた。
「って、手もなんだこれ……獣人族か?」
視線をおろして手を見て見るとそこには獣の肉球がついていて腕は毛でおおわれていた。
明らかに獣人族っぽいが、一応確認するためにメニューの装備画面を開き自分を出す。
装備画面には武器防具の装備したときの見た目とかを確認するために自分のキャラが出るようになっている。
「狼か犬か………どっちだろこれ」
装備画面に映る自分は簡素な革鎧を装備した身長100センチちょっとの低学年の小学生のような見た目のショタケモッ子だった。
獣人族の中でも獣寄りの物になったのか顔が完全に獣になっている。
ディ〇ニーとかのアニメ映画で出てくるような獣が二足歩行しているあの感じをイメージすると分かりやすいかもしれない。
「尻尾も生えているのか?」
背中側の腰あたりから尻尾が生えている感じがするしちらちらと視界にうつる。
「お?あれ?くそっ!みえない!………あっ」
尻尾を見たくて思わず追いかけてくるくると回ってしまった………恥ずかしい。穴があったら入りたい。
「ふぅ………」
気を取り直して、そのままステータス欄も確認していく。
名前:ヒビキ 種族:古狼族 職業:召喚士 サブ職業:無
Lv:1
HP15/15 MP30/30
STR:3
VIT:2
AGI:10
DEX:5
INT:14
MND:12
≪スキル≫
【疾走】Lv:1
【召喚0/1】Lv:1
【指揮】Lv:1
「ふむふむ?」
現実でもステータスはあるし、それに近い形なので頭にスッと入ってくる。こういうところってわざと似せてたりするのかな?
ステータス的には完全に後衛型だが種族特性なのか素早さが少し高くなっている。
あとスキルだな。
【疾走】
使用すると一定時間移動スピードがあがる、レベルにより効果時間が変わる。
【召喚0/1】
異界より共に旅する仲間を呼び出す、召喚には魔石が必要となる。
現在の契約数は0/1
【指揮】
言葉の通じない相手でも自身の指示を伝える事が出来るようになる。
「ふむ」
【疾走】は種族固有のスキルっぽいな、何で持っているのかが謎すぎるし。
そして【召喚】と【指揮】は召喚士の職業スキルってやつだろう。
あとサブ職業も決めないとなぁ、とは言ってもどういう戦闘スタイルにするかによってこの辺は変わってくるので追々かな。
一通り確認したのでまずはチュートリアルだ、召喚士ギルドへいこう。
クエストメニューを開いてチュートリアルの自動案内をオンにする、すると地面にこっちですよーっと誘導が出てくる。
「んじゃいくかー」
◇ ◇ ◇ ◇
「………というわけでですね、まずはこのクエストを受けて下さい、そうしたら報酬に召喚石を貰えますので」
「ふむふむ、じゃぁそれ受けます」
「はい、かしこまりました。それでは薬草採取のクエストを受理します、いってらっしゃいませ」
「はーい、行ってきますー」
クエストメニューが更新されたのを見て召喚士ギルドを出ていく。さっきまで話していたのは召喚士ギルドの受付嬢でNPCのAI会話だ、かなり自然でほとんど普通の人間と変わらない。
受付嬢NPCは優しそうなお姉さんタイプの人で綺麗だった、後胸がでかい。
取り合えずチュートリアルとして取り合えず基本的な事を聞いてきた。
まず、レベルを上げるには魔物を倒す事でも可能だがクエストの報酬経験値があるのでそれでも上がる事。
それに伴ったレベルによる推奨依頼に狩場。
ギルドのランクシステム、注意事項など色々きいたがまぁこのへんは説明するまでもなくだいたいどこも同じなので聞き流しておいた。
狩場とかはネットで調べればより詳細がわかるだろう、クエストについてもだ。
必要にならなければ調べようとは思わないが気になる事は調べれば解決するという事を覚えておけばそれでいい。
クエストの自動案内に従って街中を歩いていく、時々気になるお店を覗いたりして楽しむ。
「それにしても、意外とみんな普通の人族なんだなぁ」
NPCもだがプレイヤーもそのほとんどが普通の人型というか基本的な種族だ。
人族にエルフ族にドワーフ族に、俺と同じ獣人族もいたがあれは俺と違って人寄りの普通の人の頭の上に獣耳が生えている感じのやつだった。
尻尾も生えていたが、獣度は10%もないぐらいな感じのやつだ。
俺は完全に獣だからな、ふわっふわの毛並みにピンっとたった耳にもふもふの尻尾。
ランダムだったので最初はどうなるかとおもったが今では満足している。
っていうかプレイヤーを見て見るとほとんどが女性キャラでしかも幼女っぽいのが多い、たまにショタもいるがほとんどは幼女だ。
現実的にこのゲームであんな実際の幼女がいるとは思われないのであのほとんどは見せかけの幼女だ。
みんな幼女になりたいんだな………
たまに普通の身長の人もいるし、もっと大型の人もいるけど。
幼女6割で残り4割を他の人達でって感じ。
そんなことを考えながらも街から外へでて森の中へと入っていく。
ここは初期のスポーン地点で最初に行くことになる森なので危険な魔物とかはいない。
「あった採取ポイント。分かりやすいな」
森に入ってすぐにキラキラと光る採取ポイントを発見した、ここで採取行動をするとランダムで素材が手に入る。
『薬草を手に入れました』
『薬草を手に入れました』
『月草を手に入れました』
『毒草を手に入れました』
『薬草を手に入れました』
「あ、消えた。なるほどな消えると採取限界って事か」
5回採取するとキラキラと光っていた採取ポイントが消えて選択できなくなった。
「たしか薬草の納品数は10個だっけ?すぐだな」
採取ポイントはその辺にいっぱいあるのでこれならすぐに薬草が揃うだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
「はい、それでは薬草採取クエストクリアになります。報酬はアイテムバックに直接入るので後で確認してね?」
「はーい」
『薬草採取クエストをクリアした!報酬として経験値を50、初心者ポーションを5つ、召喚石を手に入れた』
『レベルアップ!レベルが2になった』
「おおう、こうなるのか」
クエストクリアした瞬間システムログがババっと流れていった。
レベルが2になったことでステータスがちょっと伸びたがちょっとなので無視して今は召喚石だ、何が呼び出せるのか気になる。
「あ、ヒビキ君。召喚石を使うなら裏庭を使ってね?裏庭には結界が張ってあるから安全に召喚ができるわよ」
「そうなんですか?それじゃぁ裏庭に行きます」
うっきうきで早速召喚を試そうと思っていたら受付嬢のお姉さんが情報を教えてくれた、多分ここまで言ってチュートリアルなんだろう。
「はい、行ってらっしゃい。いい子が呼び出せるといいわね?」
「うん、行ってきまーす」
チュートリアルクエストが更新されて『召喚を試してみよう!』になった。そのまま自動案内に従って裏庭へと出ていく。
召喚石を用いた召喚は何を呼び出すのかはランダムになる。所謂ガチャだ。
運がいい人だとドラゴンとか引いてたのを動画でみたな。
「ん?なんだ今の?」
裏庭へと続く道を進み外へと出ると一瞬なにか膜の様な物を越えた感覚を覚えた。
「何々?インスタンスエリア?」
何だろうと思っていると初めての機能の時にはでてくる説明がポップ表示されたので読んでみる、するとそこには特定クエストでは入場したエリアを独立させて他の人の介入を阻止してより没入できるようにエリアを分ける事があると書いてあった。
つまり今この裏庭には俺しかいないって事みたいだ。
「まぁ早速召喚してみよう」
裏庭に書いてある召喚陣まで近づきその真ん中にクエスト報酬でもらった召喚石を置く、この辺はクエストの誘導に従っていった。
「これで後は………ふむ、何かしらの言葉で召喚が開始されますと。あなたのオリジナル呪文でも可と」
後は好きに呪文を唱えたり何かしら言うと召喚が開始されるようだ。
「オリジナルの呪文か………我が名はヒビキ、まだ見ぬ異界の召喚獣よ我が前へと顕現せよ、力強く堅牢な守りを持ち、………え~っとなんか強そうなのがいいですお願いします」
途中まで言ってて恥ずかしくなってしまった。ちょっとぐだったけどこれでも大丈夫だったのか召喚陣が反応して動きだす。
「おぉ~!」
召喚陣がキラキラと幻想的に光りだし何かそれっぽいエフェクトが収束していく。
「おー!お?」
ポンっと音がして召喚に成功したのか召喚陣に呼び出したものがたたずんでいた。
「でっかくね?ナニコレ………亀?」
呼び出されたのは人が二人ほどは乗れそうな大きさの亀、ゾウガメというんだろうか?それにしても大きい。
そんな亀がジーっと見てくる。
「契約する?」
言葉が通じるかもわからないのに聞いてみると亀がコクッと頷いたのが分かる。どうやらこっちの言葉を理解しているようだ。
まぁこの辺はゲームだし通じるようになっているんだろう。
「じゃぁ契約っと」
【召喚1/1】
異界より共に旅する仲間を呼び出す、召喚には魔石が必要となる。
現在の契約数は1/1
≪召喚獣リスト≫
召喚獣:玄武
ステータスに新しく項目が増えていた。
「玄武?って4神とか霊獣とか言われるあれか?」
何かレアっぽいのを引いた気がする。
「ん?どうしたの?」
ステータスを見てうんうん頷いているといつの間にか近づいてきていた亀が何か言ってくる。
「名前?そうか、名前必要か。う~ん」
名前が欲しいと何となくニュアンスで伝わってくる。
「亀………玄武……ゲン子とか?それはないか。カメ子?それはなんか違う感じか」
候補を上げてみるが何となく嫌そうな雰囲気を亀から感じる。
「じゃぁごん太とかでもいい?いいんだ?じゃぁごん太ね」
いい案が思いつかないのでごん太と言ってみたがそれでいいらしい。
「え?なに?乗れ?確かに乗れそうだけど」
ごん太が頭をくいくいっと動かして乗れって言ってくるので乗ってみる。
「おぉ、意外と安定している」
俺のキャラが小さいのもあるだろうけど、ごん太が普通にデカいので乗ると案外快適だ。
「よっしゃいけーごん太!」
召喚士ギルドを指さしてごん太に進んでもらってみる。
「遅い、けど街中なら気にならないか」
のっそのっそとゆっくりとだが進んでいく。ちょっと楽しい。
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