二日目-6

 「殺し合いだと?ふざけるな、誰がそんなことを、」

「貴方が手を出さないのは自由です。ですがパートナーは僕がデータ改竄を行ったので、躊躇いなく貴方の命を狙ってきますよ」

 思わずララを見遣る。凪いでいた眼差しは、いつの間に真っ赤に充血させ、今にもイクスに食いかからんと暴れ始めた。水色髪の男が拘束する手に力を込める。

「無事にパートナーを鎮められたら此処から出してあげます。手段は問いません。このNPCの職業は魔法使いですね、ハンデとして封じておきましたよ。おい、行くぞ」

 水色髪の男に声を掛ける。同時にララの拘束が解かれた。

「ぅあぁっ!!」

 ララが勢いのままイクスに襲いかかる。噛み付こうとしたその口を鎧を纏った手で塞ぐ。

「僕達は別の部屋から見物させて頂きますよ。精々愛の力とやらを見せて下さい」

 そう言い残して、男達は転移魔法で姿を消した。

 その最中にも、ララは猛然とイクスに手を伸ばす。頬を強い力で引っ掻かれ、ダメージを負った。

 このままでは埒があかない。

「ララ、ごめん!」

 イクスは飛びかかってくるララの脇腹に、その筋肉質な足を思い切りめり込ませた。

「ぐっ……おえぇ……っ!」

 思わずララが嘔吐く。その隙に、イクスはララを引き剥がして廊下へと走り出した。


 駆けながら、イクスは罪悪感に襲われる。

 ララを、恋人を蹴ってしまった。イクスにとって一番大切な人を。申し訳なさが募ると同時、あの男達への怒りが燃えたぎる。

 ペア殺し合い事件の犯人達。そんな連中が魔の手を伸ばしてきている。どう考えても危険だ。しかし、それはそれとして、ララに手を上げさせた分を一発お見舞いしてやらないと気が済まない。

 脱出の鍵と、あの男達を探す為、イクスは屋敷の中の探索を始めた。

 

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