将来の為に

「ご馳走様でした。美味しかったです」


 手を合わせながら、私はそう言う。

 普段はわざわざ手を合わせたりしないんだけど、瑠奈のお母さんがいるから、そうしておいた。

 

「そう言って貰えて良かったわ」


 瑠奈と瑠奈のお母さんはまだ食べているので、特に喋ることもない私は瑠奈に部屋に行っていいかを聞く。


「いいよ」

「ありがと」


 瑠奈から許可が出たので、最後に瑠奈のお母さんに一言言ってから、リビングを出て瑠奈の部屋に入り、ベッドを背もたれにし、座った。

 ベッドに行かなかったのは、食べたばかりだから寝転ぶのはやめておこうって思ったのと、普通にまだ髪が濡れてるから、遠慮しておいた。


 




 適当にスマホを弄ってると、眠たくなってきた。

 お風呂に入って、体が温まった状態でお腹も脹れたから、眠たくなってきた。

 私は手を自分の頭に伸ばして、髪が乾いたかを確認するけど、残念ながらまだちょっとだけ濡れてる。……もうほぼほぼ乾いてるし、自分のベッドだったらこのまま入っちゃってたんだけど、瑠奈のだしな。

 と言うか、なんか普通に瑠奈のベッドで寝ようとしてるけど、瑠奈に一緒に寝よって言われたわけでは無いんだよね。

 

 瞼が重くなって、こっくりこっくりしてると、瑠奈の部屋の扉が開いて、瑠奈が入ってきた。

 それを確認した私は、少しだけ目が覚めた。……気がしたけど、直ぐにまた瞼が重くなってきた。


「れーな、眠いの?」

「……眠い」

「私はご飯食べたばかりだからまだ寝ないけど、れーなは先に寝てていいよ」

「……どこで?」

「私のベッドだけど」


 ……これは、一緒に寝るって事でいいのかな? まぁいいや。……あ、でもやっぱりまずいかも。


「……一緒にに寝るの?」

「当たり前でしょ?」

「……私、一人で寝たい」

「え……なんで? 何言ってるの?」

「……また、胸触られそう」

「さ、触らない……と思う」


 ……そこはちゃんと否定して欲しかったな。

 いや、瑠奈のことは好きだし、将来的にはそういうこともする……と思うから、嫌な訳じゃないんだけど……いや、将来の為に、ちょっとでも慣らしておいた方がいいのかな。


「触る?」


 そう思って、私は瑠奈に胸を触るかどうかを聞いておいた。……眠る時に触られるよりは、今の方がいいと思うし、私も少しづつ瑠奈に触られるのに慣れておかないと、ずっとこのまま進めない気がしたから。


「えっ……む、胸……のこと?」

「そうだけど」


 逆に今の話の流れでそれ以外に何を触るつもりなの。


「い、いいの?」

「今はいいけど、寝る時とかは、だめ」


 そう言うと、瑠奈は恐る恐るといった感じで私の胸に手を伸ばしてくる。

 大丈夫。この前瑠奈が私の家に泊まりに来た時とかは、いきなりだったから驚いただけで、こうやって心の準備をしておけば全然大丈夫。


「んっ……ま、待って」


 私は思わずそう言った。

 瑠奈の顔を見ると、耳の先まで真っ赤にしている。……多分、私もだ。

 だからこそ、待って欲しかった。……正面から、このまま触られ続けると、私の熱が火照ってる顔を見られてしまう。……ただでさえ恥ずかしい状況なのに、そんな顔を見られるのはもっと恥ずかしくなってくる。……だから、一旦やめてもらい、私は言う。


「う、後ろから、にして」

「えっ、む、むしろ、い、いいの?」


 一刻も早く、この顔を見られないようにしたかったので、私は少し俯きながら、瑠奈が私の後ろに来れるように、少し前に移動した。

 その行動で瑠奈は察してくれたのか、私の後ろに座った。……眠たいからか、力が入りずらかったので、後ろに座っている瑠奈にもたれかかった。

 その際に、瑠奈の胸が私の背中に当たったけど、瑠奈はちゃんとブラジャーを着けてるようだった。

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