スマホの中身(瑠奈視点)

 どうしよう。家に帰ってから気づいたけど、れーなのスマホ持って帰ってきちゃった。……ちゃんと返すつもりだったのに、忘れてた。多分れーなも忘れてて、今頃気がついてるはず。

 ……取り敢えず、充電しないと。別に中身を見たいとかでは無い。……明日充電がないまま返すより、充電がある方がいいと思うし。

 れーなのスマホを充電器に刺した私は、お風呂に向かった。





 お風呂をあがって、髪を乾かした私は部屋に戻り、れーなのスマホを確認する。

 

 満タンでは無いけど、しばらくは大丈夫なくらいには充電が出来ていた。

 ……ダメなことなのは分かってる。でも少しだけ、少しだけ中を見ようと思った私はれーなのスマホを開こうとするけど、パスワードが掛けられていた。

 まぁ、当たり前だよね。……取り敢えずれーなの誕生日でも入れてみようかな。


 違った。……じゃあ、全部1とか? ……これも違った。


 それからも私は思いつく限りの数字を入れていったけど、全部違った。

 ……どうしよう。次間違えたら、しばらくパスワードを入れられない制限がかかっちゃう。

 でも、ちょうどいいかも。人のスマホを勝手に覗くなんてダメな事なんだから、これで失敗したら諦めがつく。

 私の誕生日でも入れてみようかな。


「え、嘘……」


 どうせ無理。これで諦めがつく。そう考えて私は自分の誕生日を入れたのに、スマホが開いてしまった。


「な、なんで……?」


 正直に言うと、嬉しい。でも、困惑もある。……なんでれーなのスマホのパスワードが私の誕生日なの? 恋人になったから、律儀に変えてくれたってことなのかな。

 と、と言うかこれ、どうしよう。……これで失敗して諦めるつもりだったのに、開いちゃったよ。

 

 え……なにこれ。

 そこには生地が薄い服を着た女の子のアイコンのゲームがあった。


 は? どういうこと? れーなはこういうのが好みってこと? と言うかこれ浮気じゃないの? パスワードは私の誕生日のくせに、浮気してるんだ。

 ……取り敢えず消していいよね。私がいたらこんなのいらないよね。れーながこういう格好を好きなんだったら、私がいくらでもするから、いいよね。


 消した。消してしまった。

 ……れーな、怒るかな。でも、元はと言えばれーなが浮気をしてたのが悪いんだし、私だって怒ってるんだから。……パスワードを私の誕生日にして、スマホを開いたら浮気されててって、私は完全に上げて落とされたわけだし。


 ……それでも、勝手に覗いて、勝手に消したのはだめだったかもしれない。……明日、謝ろう。れーなにも謝ってもらうけど。……浮気してた事実は変わらないし。


 今日は、もう寝よう。

 早くれーなに会いたいし。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る