3話
◆
「後日、僕
「その後も、ぽつぽつと誘拐殺人事件は起きています。その全てとは言いませんが、あの黒ずくめの男が関わっているのではないかと思っています」
「誘拐・監禁だけなら、まだそれほど罪は重くない。何人も殺しているとなると死刑も視野に入れないといけない」
「ええ、あの事件はまだ終わっていません。今、捕まっているのは皆、誘拐・監禁の実行犯だけです。殺人の実行犯は誘拐犯をスケープゴートにし、今でもまだどこかにいるのです」
「でも、そんな何年も捕まっていない人を、どうやって捕まえるのでしょうか」
「難しいでしょうね。でも細い糸を手繰ってでも犯人を捕まえる。これが、僕がgiftを作った目的の一つですから」
次の日から向井、斎藤も加わって、捜査が始まった。
憂と紫子は浜岡次郎を始めとする、誘拐監禁しかしておらず殺人を認めていない人物から聞き取り調査を始めた。
「お久しぶりです、浜岡さん」
「紫子ちゃんかい? 大きくなったね」
「もう10年ですからね。あなたは大きくなった僕には興味がないでしょうけれど」
「僕、か。一人称も変わったんだね」
「ええ。色々ありましたから」
「今は何をしてるんだい?」
「刑事兼哲学者です」
「すごいね。何か本でも出してるのかい?」
「ええ」
「今度、差し入れてよ。紫子ちゃんが書いた本、読みたいな」
「分かりました」
「頼むよ」
「僕が、あなたを救います。待っていて下さい」
向井と斎藤が未解決の誘拐殺人事件の資料を作ってきた。
その数、およそ100。
「こ、こんなにあるんですね……」
「この中のいくつかが黒ずくめの男が関わっています」
「手分けして精査していくか」
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