第2話 異世界に来ちゃったらしい

 肌寒い。

 頬に何か当たっている。

 鼻がくすぐったい。土の香りがする。


 「んっ、んっんー、ふわぁぁぁ。今何時だ?」


 半分寝ぼけたまま起き上がる。目を擦っていると少しずつ意識が戻ってきた。

 意識が戻ると目の前には木があった。顔の目の前に。


 「はあ⁉」


 びっくりしながらも辺りを見渡すと一面、木しか無かった。


 「これは・・・・・・夢だな。夢にしては、感覚が鋭くなっているが。」


 何となく、頬を抓ってみる。


 「痛い・・・。夢であってほしかった・・・。」


 どうやら現実らしい。まだ完全には理解出来てはいないがな。


 「何か、こんな感じの話聞いたことがあるような・・。あっ!!!あいつが言ってたやつだ!!えーと、異世界転移モノ?マジかー。」


 確か、会社の同僚に『なろう系』の小説を書いているやつが居ることを思い出した。

 毎日毎日『異世界転移してぇ!!』とか『転生してモテたい!!』とかよくわからない事を言っていた。その時、異世界モノの王道として教えて貰った物の中に、似たような状況があったことを思い出した。


 「でも、神様みたいな奴に会って無いよな?特にチート?みたいな物も貰って無いし。これで日本の何処かだったら、恥ずかしすぎるだろ・・。」


 頭の中でぐるぐる考えていたら、後ろの茂みから何か飛び出してきた。

 咄嗟に木に隠れると、飛び出してきたものに注意を向ける。

 後ろ姿からしてウサギのようだ。ウサギが顔を横に向けた時、信じられない物が見えた。


 「マジかよ・・。ウサギに角が生えてやがる!しかもも。」


 取り敢えず、ここは異世界らしい。

 確か、同僚が言っていた作品の中には、ホーンラビットという魔物が登場したはずだ。ただ、そいつの角は一本だった。二本なんて聞いてないぞ。


 「こりゃあ、全部が全部ライトノベルのような感じには、いかないっぽいな。そうだ!!異世界モノの常識と言えば!ステータス!!」



ー-------------------------------------

ー-----------

 名前 マサーシー

 年齢 21歳


職業 太古の召喚術士 Level 1


身体Level 1


 体力  100

 魔力  100

 運   10


スキル:『ダイナソー』『恐竜図鑑』『ショップ』『鑑定』


称号:『Dinosaur King』『自称 恐竜博士』『お前の女は俺の物』



ー----------ー

ー-------------------------------------



 「本当に出ちゃったよ・・。」


 目の前に浮かぶ、青白い画面を見る。

 色々、気になる部分があるけれど、まずは。



 「『お前の女は俺の物』ってなんなんだ!!!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る