第8話~ダビ浄化~

「クゥ?」

 ダンテの胸から生える腕は背後に立つクゥの腕だった。

 クゥの口は酷薄な笑みを浮かべ、暗く影が差した顔からは2つの金色の瞳がこうこうと輝いている。

「やっと捕まえた」

 クゥは冷たい声でそうつぶやく。

「ガハッ!」

 ダンテが口から赤黒い血を吐いた。

「パパ痛い?痛いよね。でも我慢してね。すぐに楽にしてあげるからね」

 そう言ってクゥは空いた方の手でダンテの背中を押して、強引に背中から腕を引き抜いた。

 その苦痛はいかほどか、いつもヘラヘラしてるうダンテが顔を真っ青にして、汗を浮かべた苦痛に歪んだ顔で倒れ伏した。

「!クゥちゃん、それ」

「うん。これだよ。これをずっと狙ってたんだよ」

 ミルの叫びにクゥは薄く笑って答えた。

「アバドンの毒肝だな。クゥ、お前にはこれが見えていたのだな」

「うん。生まれた時からずっと見えてた」

「これだけの大きさなら真龍すら殺せるのだな」

「そんな――――こんなものがダンテさんの中に。…………って、ダンテさん大丈夫ですか」

 ミルが急いでダンテの元に駆け寄り体を確かめる。

「今すぐヒールを――――って、穴がない?」

 ミルがダンテの体を背中と胸と、と調べるけれども穴どころか吐いた血以外出血のひとつもない。

「ダンテさん、本当に大丈夫ですか」

「死ぬほど全身が痛い」

 ダンテの返事にレーヴァテインが答える。

「アバドンの毒肝は本来溶けて全身を巡っているものだな。それをこんな風に塊で強引に取り出したのだ。そりゃ痛いのだな」

「クゥちゃんそんなことできたの」

「最初はそんなつもりじゃなかったんだけど、街に入る前のおまじない。アレでパパにあげた勇気に悪いものがドンドンくっ付いていったから、後はどう取り出そうかな?って考えてたの」

「あのキスにそんな効果が。で、でも取り出す方法ってこんなやり方見たこと無いですよ」

 ミルが驚きに声を上げる。

「うん。私も最初は見当もつかなかったけど、ミルママがドッカンドッカンとパンツァーフォーしてた時に」

「そのパンツァーフォーって引っ張るんですね」

 クゥはミルの訴えをガン無視して話を進める。

「ゾンビたちは蒸発させるミルママの光が私たちの体では素通りしてたの。だから神聖魔法ならば悪い物だけつかめるかなって」

「悪い物だけって」

「最初は先っちょだけのつもりでゴッドフィンガーを試しただけなんだよ。そしたら一気にずぶりと奥まで行っちゃって」

「クゥちゃん。そういうのは試す前にパパかママに相談してね。今回は何もなかったけど」

「いやあるだろ」

 いまだ痛みに震えるダンテの意見は無視された。

「もしパパが死んじゃったらクゥちゃん嫌でしょ」

 もしものことに考えがいたりクゥは沈んだ声で告げる。

「ごめんなさいミルママ」

「うん、よろしい」

「ねぇパパは。パパにごめんなさいは無いの」

 ダンテは必死に懇願して、それが通じたのかクゥがダンテの横にしゃがむ。

「パパ、ごめんなさい」

「よかった。パパ、このまま放置されるかと思ったよ。いいよ、クゥはパパのためを思ってしたことだったんだろう」

「うん。ねぇ、パパ動ける」

「いいや、全身が正座してたみたいに痺れて」

「ツンツン」

「わひゃあ!」

 クゥに足をツンツンと突っつかれたダンテが奇声をを上げる。

「クゥ、何すんだ」

「パパ言ってた。正座で足が痺れた人がいたら、その足をツンツンしろって」

「つんつん」

「ミル、お前もかーー!」

「クゥちゃんに変なこと教えるダンテさんが悪いんです。自業自得です」

「ツンツンなのだな」

「お前もかーーーーー!」

 こうしてダンテは体の痺れが取れるまで3人から体をつんつんされることになったのだった。


「うーーーーーん、やっと動けるよういなったな」

 ダンテは背伸びをして首を左右に振ってゴキゴキと鳴らす。

「ツンツン」

「いや、もう痺れてないから」

「そう?もうパパ大丈夫」

「ああ、もう大丈夫だぞ」

「では、これからどうするのだな」

「は?」

 これからどうする?決まっているじゃないか。おおもとのリッチを倒してダンジョンコアを破壊、そしてダビの浄化を―――とダンテが考えたところで赤い髪の大男が体をくねらせて。


「ご飯にする。お風呂にする。それともワ・タ―――


 ドゴーーーーーーン!


 とりあえずレーヴァテインにラリアットをかまして吹っ飛ばして、向こう3件ぐらい家をぶち抜いた。

「何キモいことやってんだ」

「パパ、調子はどう?」

「どうって、夢に出そうなほどキモイ」

「そういう意味じゃなくて、体の調子はどう?」

「ん?おおう、そういやメッチャ調子がいいぞ」

 ダンテはあげた腕の上腕筋を叩いて答えた。

 ガラガラとガレキを押しのけて出て来たレーヴァテインは。

「流石に効いたのだな」

 と、ダンテと同じ様に首を鳴らして立ち上がると、目にもとまらぬ速さでラリアットを放つ。

 しかしそれはダンテに難なく受け止められるのだった。

「一発は一発だな。殴らせるのだな」

「やなこった。なぁ、他にこんな恥ずかしい方法以外なかったのか?」

 と尋ねる横でミルが耳まで真っ赤な顔をして居る。

「パパの体が本当に治ったか確かめるために1回本気を出してほしくておじさんに挑発してもらったんだよ」

「それで、何でお前はそんな頭の中にお花畑みたいな挑発をしてんだ」

「ふむ、新婚さんごっことか恥ずかしいだろう。それをさらに男にやられたらムカつくと思ってだな」

 レーヴァテインがわしの策に抜かりなし。と言う感じで頷いている横でミルが地面よ砕けろと言わんばかりに拳を地面に振り下ろしていた。

「ミルはどうしたんだ」

「ほっといてください!」

 ダンテは確実にミルに誤爆したレーヴァテインの策に白い目を向けるけど、レーヴァテインは全然気が付いていない。

 ので、後で事情を聴いて慰めてやろうと思った。

「しかしダンテさん。よくこんなものを体に入れて生きてましたね」

「俺、強いから」

「それだけですか。そもそもこれは誰に―――」

 飲まされたのか。と言うところは飲み込んで尋ねる。

「アレだよ。名声を得るとこういう妬みを買っちゃうんだよ」

「ああ~。ボクもそれは分かります」

「だから田舎でのスローライフが良いんだよ」

「そうですね。スローライフいいですね」

「なのにとある王族は俺の家を燃やすわ結婚しろなど言って領主のヒモに成れと来たもんだ」

「それ、本人には言わない方がいいですよ」

「言わないよ」

 言えば「ウゥゥリィィィィィ」と叫ぶだろう。

「ダンテさんはエイラ姫様が嫌いなんですか?」

「嫌いじゃないよ」

「じゃあなんであんなに邪険にするんですか」

「……昔はな、そこそこ仲良くしてたんだ。タダな、エイラの周りの大人が俺を邪魔者扱いし始めてからかな。苦手意識が出始めちまった」

 ホント、何処で間違ったのかね。そうダンテは心の中でつぶやく。

 ミルはそんなダンテを黙って見続けた。


「それでこれどうする」

 これと言うのはアバドンの毒肝のことだ。

「とりあえずむき出しの状態ならボクが浄化できると思います」

「それじゃあそれで頼む」

 と、そんなことをやってるうちに時間は経過していた。

「と、このままじゃ夜に成っちまうな。さっさと元凶のリッチを倒して帰ろう」

 ダンテは左手首に巻いている腕輪の時計を確認してそう告げる。

 しかし、その腕輪は使い込まれていても手入れがちゃんとなされた渋いデザインの腕輪だったのだが、一部大きく削れて傷ついていた。

「そうですね」

 ミルはダンテの斜め後ろからその時計を覗きこんで同意する。

 そういう訳で改めてダンテを先頭に扉を蹴破り屋敷に突入した。

 そこでパフェの言葉を思い出した。

『最後の化け物。アレ、バカナ伯爵ですよね。大丈夫です。何となく察しは付いてます。あいつですけど最初に会ったとき以外には見かけることがなく、また他の四天王のようにそのものが持つ能力などが分かったりはしません。すみません。役に立たなくて」

 と云うものだった。

 ドアを蹴破り屋敷に踏み入るダンテはその言葉を思い出して口角を上げる。

 彼女から情報を得られなかった分、四天王のように一筋縄ではいかないだろう。

(大丈夫だ。俺は奴をよく知っている)

 それゆえにダンテを先頭に、クゥ、ミル、レーヴァテインの順で隊列を組んでいる。

 これで前衛をダンテ。

 クゥがサイドガード。

 ミルが遠距離&サポート。

 そしてレーヴァテインが最後尾で魔法とバックガードについている。

 だが。

「誰も居ないね」

 そうなのだ。クゥの言う通り屋敷の中には護衛を含めて側近が1匹もいないのだ。

「そうだねー。そろそろバカナ伯爵の人望が露呈してきたぞ」

「パパー、どういう意味」

「う~~ん。バカナ伯爵はボッチだったってところかな」

「ボッチって友だちがいないってことだよね」

「ま~~、そうだよね~~~~」

「?」

 ダンテの意味深な言いまわしに首をかしげるクゥ。

 そんなやり取りをしながら腐敗した街にありながら腐食が無く綺麗なままの屋敷の中を土足で踏み込んでいく。

「パパー、宝探しとかしないのー?」

「うん?ああそれな。普通のダンジョンとかなら宝探しとかするところだけど、ここはカウント・リッチで出来たダンジョンだからな。そう言った旨味が無いんだ」

 とダンテはぼやく。

「どういうこと」

「カウントリッチはモノの存在力を奪っていく。その為、残されたモノは中身が空っぽになるんだ。そのせいでダンジョンのコアを破壊すると消えてしまう。また、ダンジョンを壊さずにモノを持ち出しても魔力を注ぎ続けながらでなければ塵に成る。だから冒険者も来ない迷惑なだけのハズレダンジョンに成るんだ」

 ダンテがそうため息交じりに説明してるとミルが後ろから疑問を投げかけて来た。

「クエストで報酬が出るんじゃないですか。無いんですかそういうクエスト報酬」

「あるにはあるが、こういうのは公共の施設だからな。金出すのは国やギルドだ。だがその予算も無限じゃない。高難易度に成れば基本報酬も高くなる。で、カウント・リッチの問題はリッチの高濃度瘴気で低レベルが参加できない癖に、規模がデカいから人手が必要になる。人手が必要なクエストってのは1人の取り分が少ないんだ。正直割に合わない。だからダンジョンで手に入れたアイテムを売って足しにするんだが」

「それが期待できない」

「そうなると人手が集めづらい」

「大人の事情ってやつだね」

 クゥの何気ない一言にダンテは笑って答える。

「そう。大人の事情でこのダンジョンは放置されてるんだ」

「せつないね」

「でもでも。そんな大人の事情なんか気にしないで頑張る勇者様だっていますよ」

「それも10年前に大人の事情でな~~~~」

「そう……でしたね」

 ミルのあこがれも、遠い目をしたダンテのセリフで口をつぐむ。

「大丈夫だよ。勇者はまた立ち上がるよ」

 とクゥが元気に叫ぶ。

 それにダンテとミルは最初はポカンとした顔をしていたが、すぐに破顔して笑顔になる。

「そうだな。勇者はまた立ち上がる」

「そうですね」

「えへへへ~~~~」


 そうしてボスの部屋、もといパーティーなどを開くための大広間の前までやってきたダンテ一行は皆顔を見合わせて。

「おらぁー、勇者様御一行の登場だー。タマ置いてけー」

 ダンテが扉を蹴破って中に突入した。

 その大広間の奥には紫色の樹木の様なものが立っており、その樹木に空いた洞の中に一際濃い紫色のダンジョンコアが浮いている。

 その前にしわくちゃに干からびたミイラがボロボロになった元は豪華な法衣を着て、全身に禍々しい宝飾品を身に着けた王冠をかぶったリッチがいた。

「ケタ、ケタケタケタケタケタケタ。勇者とはよく言ってくれる。流石はこのアンデットの王たるリッチ、バカナ伯爵様にいども―――」

「あー、そいうのいいから」

 腕を広げ大仰に高笑いするリッチにダンテが首の後ろを掻きながら吐き捨てる。

「は?」

「俺は生前のバカナ伯爵を直接知ってるんだ。あいつはお前みたいなキャラじゃないし、あいつは脳筋ってくらいの武骨ものでな、禁忌の魔道に手を染めるような奴じゃなかった。大方取り巻きの魔術担当に唆されて利用されたって落ちだろ」

「…………」

「いいからサッサと化けの皮剥がしやがれ」

 リッチは高笑いを遮られ大口を開けたまま固まり、ダンテは威圧的に睨みつける。

「パパー。こいつはバカナ伯爵じゃないの」

「そうだぞー。こいつバカナ伯爵じゃないんだぞー。バカナ伯爵は四天王の最後の一人だぞ。奴は大剣を使う騎士だったし何より思い出してみろ」


『ば……馬鹿なあああああああああああああああああああ!』


「って、叫んでいたし」

「ホントだー」

 明るく驚いている無邪気なクゥとヘラヘラとわざとらしく語るダンテ。そんな2人のやり取りを見てリッチはカタカタと震えだし。

「———ククク、馬鹿にするのもたいがいにしてほしいな」

 先ほどの甲高い枯れた声とは違い、今度は暗く艶めかしい声がリッチの開いた口から漏れ出してきた。

 すると、パキパキとクリスタルにひびが入るようにリッチの周りの空間に亀裂が入り割れていく。

 パリ―――――ン!と砕けた空間の中に人影があった。

「———まったく、あと少しで仔が孵るところまでいたというのに、それを台無しにされた挙句に勇者と来たものか。忌々しい。小僧、何者だ?」

 偽りのテクスチャがはがれた中から現れたのは白貌の美丈夫だった。背が高く小顔の黒髪に黒瞳の甘い顔立ちの愁いを秘めた表情の男だった。

 ウェーブのかかった長い髪を後ろでひと結びにして、前髪は右側にそろえている。

 白地に赤い刺繍が施された綺麗で荘厳な法衣を着て、両手には白い手袋。そして首元には――――

「ハーケンクロイツ。ナチス教団か」

「パパー。ナチス教団て何ー?」

「ちょ~とシリアスな話だから説明は今度な」

「……あい」

 クゥはダンての険しい顔を見て、表情を硬くして口元にばってんをして後ろに下がる。

 厳しい顔をしてるのはミルもレーヴァテインも一緒であり、ここで余裕の笑みを浮かべてるものは居ない。

 リッチに扮していた男も暗い自虐的な笑みを浮かべている。

「俺を小僧呼ばわりか。大方見た目通りの年齢じゃないハイアンデットなんだろうが、それでナチス教団と言うことは相当の中枢と言うことだろ。何もんだ。何のためにダビを利用した」

「————さぁどうでしょう。ただのはったりと言うこともありますよ。そういう貴方こそ何者ですか?その顔、長いこと強力な呪毒に犯されていた者の特徴です。しかし、貴方からはその呪毒の気配がいたしません。大方、解呪に成功して最近復帰した大物冒険者とお見受けしますが?」

「さぁてね、俺は一介の冒険者のダンテと言うものだ」

「————ならば私のこともただのリッチとお呼びください」

「…………」

「————」

 

 ヒュド


 としばしの沈黙の後にダンテが消え、次の瞬間にはリッチの居た場所で爆発が起きた。

 常人の目には見えないものだったがミル以外のものには何が起きたのか見えていた。

 まず、ダンテがリッチの放とうとした風の刃に突撃して剣で貫いた。

 リッチとの距離は10メートル以上離れていたのに一瞬だった。

 そして続けざまに斬撃を5連、これをリッチはクリスタル状のシールドで防ぐ。

 そしてお返しとばかりに人間大の火球を放つ。

 ダンテはこれを斬るのではなく、絡み取るようにしていなし自分の剣に纏わせてリッチに斬りかかる。

 リッチはショートテレポートでコレを躱して、ダンテの背後から氷の針を幾本も放つ。

 だが、ダンテはすぐに振り向きこれを撃ち落とす。

 この後も互いに絶技を繰り出すが――――

「ふーー、やっぱり鈍ってるな」

 クゥの目の前にバックステップでダンテが戻ってきてため息をつく。

 あまりにも速い攻防だったため爆発したように見えたのである。

 ダンテの体は傷付いてはいないが、全身ぐっしょりと汗をかき湯気が立ち昇るほどであった上に、息もかなり上がっていた。

 対するリッチはダンジョンコアの横に悠然と立ちダンテ達の方を暗い目で見ている。

 そして手の甲からは赤い血が流れていた。

 リッチは腕を上げその傷口を眺めると、ベロリ、と傷口を舐めた。

 それだけで傷は跡形もなく無くなる。

「———————―――」

 リッチは傷を癒すと不快な雑音とも取れる呪文を口にする。

「————ダークネス・ギルティ」

「セイクリッド・ジャッジメント」

 リッチが呪文を唱え終えて手から暗黒の光線を放つのと、ミルが光の法術を杖の先から放つのは同時だった。

 双方音はなく、凄まじい暗黒と純白の光線のぶつかり合いが起きた。

 しかし、その凄まじい力はどちらもその効果を起こすことなく互いに打ち消し合って消えってしまった。

「なっ―――」

 ミルは驚愕の声を上げ、リッチは淡々とつぶやく。

「————テュールの加護か。まさか私のとっておきと同等とは驚きです」

 と言いながらしかし表情は全く動かなかった。

「ふむ、こちらの方が不利か」

 しかしリッチはそう呟き。

「————ここのダンジョンコアは諦めます。ですので見逃しては――――」

「すると思うか?」

「—————ですよね~~~。ですが、自慢ではないですけど私は戦うより研究者タイプで、逃げるほうが得意なんですよ」

 そうリッチが告げるとダンジョンコアを鷲掴みにしてこれを握りつぶした。

 するとドン!という地面が沈下したかのような衝撃がダンテ達を襲い、一瞬めまいの様な世界が歪んで見えた。

「————サヨナラです。もう会わないことを願います」

「待て!くっ」

 瞬きした直後にはリッチもダンジョンも消え失せていた。

 そして、ダンテ達は空中に投げ出されていた。

 ダンテはとっさに空中跳躍をしてミルをお姫様抱っこをして着地する。

 クゥとレーヴァテインも危なげなく着地する。

「逃がしたか」

 と言うダンテのつぶやきに。

「どうやらダンジョンマスターとしてダンジョンコアを強制分解することで、ダンジョンが消失する空間のゆがみを利用して長距離転移したのだな」

 とレーヴァテインが解説してくれる。

 とりあえず強敵のリッチは取り逃がしたがダンジョンもゾンビも消え、残ったのはダビの城壁とポツンと取り残された自立したゆえにダンジョンと共に消滅しなかったデミ・リッチのパフェだけだった。

 ここにダビの浄化は成功した。

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