三千世界 〜惑星シヴァーと天才科学者〜
桐谷 碧
第1話 プロローグ
さんぜんせかい【三千世界】
「人の心の動きには、一瞬一瞬に三千の世界(=世界のすべて)が存在する」という意味を持つ。 噛み砕いて表現すると、「私たちは同じ世界に住んでいても、一人一人が世界を異なる形で認識している。
(ウィキペディア)
2005年――。
ふわりとやわらかな感触を背中に感じる、ここはどこだろう。寝返りを打つことも声をだすことも出来ない。目を開いても、ぼんやりとした光が遠くにあるだけで焦点が定まらなかった。
部屋は空調が効いているのか、快適な室温が保たれていてとても居心地が良い。どこからともなく甘い香りがしてくる、小さな頃に嗅いだような懐かしい匂い。
夢の中なのは分かっている、もう何度目かも思い出せない過去の記憶。少しずつ脳が覚醒していくとやっと声が出せそうになる。
「ふぇぇ」
そのタイミングで今日も同じセリフが聞こえてきた。
「先生! 赤ちゃんポストに新生児が二人も――」
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