「好き、だーい好き」

けんぴ

名の知らない命の恩人

 私は、ある店に自転車で旅をすることに決めました。


 とてもママチャリで向かうような所ではありません。


 当時は二月。


 寒いので、当然ダウンを着て向かいます。


 ママチャリで向かうところではないと言ってもアブナイところという訳ではありません。マップの予測では自転車では二時間かかるところにあったのです。






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名の知らない命の恩人

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 私は思い立ったらすぐ行動しないとウズウズしてそれしか頭にない状態になるため、それらは衝動的であります。


 自転車は、学校に行くくらいで二十分、週五日走らせており、そこまで足は鈍っていない状態でした。


 目的地の店まで、足を止めることなく、走り続けたのがいけなかったのでしょう。結局目的地に着くまで二時間半かかり、冬とはいえ、水分も取らずにノンストップは危険。


 目的地に着いて少し休憩。そこで二十分ほど滞在して、すぐに自転車を漕ぎ始めました。最初の方は少し足に違和感がある程度でしたが、二百メートルほど走らせると違和感が形になり表れます。


 激痛とともに足がまっすぐ伸びてつりました。


 激痛です。


 足ぴーん。



 夜、人が行き交う都会。


 行ったことのない未開の地。


 私は思いました。”これはヤバい”



 今にも死にそうな顔をしていると


「大丈夫ですか?」


 神が降臨したと思いました。


 オーマイ、マンマミー。


 二人が足を止めてくださり、近くの警察、救急車を呼んでくれたのです。


 そして、このような命の恩人はささっと去っていくではありませんか。


 なんてこった。


 あの寒さで、脱水で震えが止まらなかったのですが、あたたかい救急車の中で、人の暖かさにも触れた次第でございます。


 時々考えるのです。


 私なら、死にそうな人に声をかけるだろうかと。


 私は裏を考えてしまうので、この顔をして、話しかけて、騙されるかもしれない。

 果てまで行くと殺される想像までしてしまいます。


 人の世がまわっているのはあなたのおかげと私は思うのです。


 本当にありがとう。

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