第137話 初期メン


リュー 『もう、やめて……』

キラリ 『……恥ずかしくて死んでしまう』

ドラゴン『あまりの恥ずかしい答えに俺の筋肉たちが枯れ始めてんだけど……』

ラビー 『なんで、なんで私の下ネタ回答が間違ってるの~!』

フヨウ 『……自分ってこんなにバカだったんすね』


ヤマトを覗いたバカ5人はあまりの間違いに落ち込んでしまっている。

これまで見てきた答えは社会、数学、英語、国語の四教科。


その中でリューティーとキラリは10個、ドラゴンとラビーは12個、フヨウは15個の珍回答をさらされてしまい、それぞれ2問以上問題の対象になっていた。


この結果だけを見れば最初に行われた順位予想はあながち間違っていないと思われているが、そこに大きな問題が生じてしまう。


ヤマト 『……思ったよりも僕出来てません?』


ヤマトの存在だ。


現在、ヤマトがさらされた珍回答は8個で6人の中だったら一番少ない。

何より、さらされるときに出される正解数でも6人の中で一番多いと現在1位候補を独走中だった。


どうして最下位候補筆頭のヤマトが現在1位候補筆頭なのか理由はとても簡単。


福良萩 『ヤマト君、喜んでるところ悪いんだけど、数学に関しては俺ずるいと思うんだけど』

ヤマト 『え、何処がですか?』

福良萩 『いや、君言ったてよね。さいころ鉛筆で書いた答えがたまたまあってたって!』


ヤマトが現在1位候補筆頭の理由はただの山勘。

それも、数学に関してはまさかの珍回答0。

他のメンバーが引っ掛かった【1+2+3+4+5+6+7+8+9+10×0】という問題に関しては、数学が得意だと言い張っていたキラリを含めて【0】と回答してしまったところ、ヤマトのみ【45】と正解していた。


どうやって45を出されたのかと聞かれたとき、机の間に鉛筆が挟まりその時に上を向いていたのが【4】と【5】だから【45】と言った時、誰もがおかしいと言ったのは言うまでもない。


ヤマト 『萩さまが、そこまで言うなら、数学は0点で問題ない……です』

福良萩 『うっ! いや、別にいいんだよ! コロコロ鉛筆使っちゃいけないなんてルールないからね! 文句言ってごめんね!』


福良萩はこれで5回目の撃沈である。

因みに、ヤマトに文句を言うたびに、親衛隊が大荒れはしないものの、静かに福良萩にコメントしていることを本人は知らない。


パポピ 『では残り一教科となったところで、一度皆さんに予想順位をもう一度書いていただきました。現在の各チームの予想はこのようになっています!』



アダルティック 【①ヤマト②リュー③キラリ ④ラビー ⑤ドラゴン⑥フヨウ】

黒白      【①キラリ②リュー③ドラゴン④ヤマト ⑤ラビー ⑥フヨウ】

乙女の花園   【①ヤマト②キラリ③ラビー ④リュー ⑤ドラゴン⑥フヨウ】

ショタコン同盟 【①キラリ②リュー③ヤマト ④ドラゴン⑤ラビー ⑥フヨウ】

イケオジクラブ 【①ヤマト②キラリ③リュー ④ドラゴン⑤ラビー ⑥フヨウ】

リトルボーイズ 【①ヤマト②リュー③キラリ ④ドラゴン⑤ラビー ⑥フヨウ】



開始前と比べ、大きく動いていないチームもあるが、全チーム共通しているのはヤマトの順位が大きく変わっていた。

アダルティックは『5』→『1』、黒白『6』→『4』、乙女の花園『6』→『1』、ショタコン同盟『5』→『3』、イケオジクラブ『5』→『1』、リトルボーイズ『3』→『1』へと。


パポピ 『見た感じ全体の順位に直してみると……、1位ヤマト君、2位キラリさん、3位リューティー君、4位……ドラゴンさん! 5位ラビーさん、6位フヨウ君ですね! と言うよりも、6位に関しては全チーム満場一致です!


フヨウ 『落ち込んでいるところにさらなる追い打ちっす! は、反対はしないっすけど、なんでさっきまで自分より下だったヤマト君が1位何っすか!?』


ゾーナ 『いやー、よくよく思い出してみたんだけど、ヤマト様って運だけはとてもいいんだよね。だから私たちは運も込みで3位に変更して、消去法で正答率が低いフヨウを最下位にしたってわけだよ』


ハリン 『私たちもゾーナさんと同じ感じだな。ここまでいい成績だけどヤマトだからな。うちは4位にした』


パポピ 『なるほど。ヤマト君を知り尽くしているからこそお二人はあえて低い順位にしたというわけですね』


ヤマト 『……絶妙にひどくありませんか?』

ドラゴン『ぶわっはっはっは! リアルすぎて受ける!!』

リュー 『ヤマト様の下、嬉しすぎる!』

キラリ 『残念ですね。正確にはヤマト様の下である私の下です』

リュー 『はぁ?』

ラビー 『さっきは全体4位だったのが今度は5位……シ○○コ?』

フヨウ 『……なんで常識人の自分が最下位なんっすか!?』


ヤマトとフヨウは内心傷つき、リューティーとキラリはにらみ合い、ラビーは平常運転。ドラゴンに至っては現状を笑いながら受け流していた。


福良萩 『ヤバい。この空間にいると俺まで馬鹿になってしまいそうなんだけど!』

パポピ 『気持ちわかります。私こっちでよかった~』

福良萩 『ああ、もう! 早く終わるために最後の教科に行きます! 最後は理科!』

ヤマト 『なんか、怒ってませんか?』

福良萩 『怒ってません! ではこちらの問題から!』


【液体が沸騰して気体に変化するときの温度を何というか】


この問題が出た瞬間、スタジオとコメントが騒がしくなる。


平八郎 『……これ答えなんだっけ?』

ミネルバ『これ、解いた記憶ないんだけど……』

ミラン 『私、これ最後の方に解きましたね』

ゾーナ 『あー、うん。ムズカシイネ』

はるか 『もう、しっかり学生の時に勉強しないから!』



いや、この6人には難しすぎるだろ!

え……現役高校生の俺でもわかんないんだけど

むっず!?

多分スタジオにいるメンバーでもわかってるのごく少数だよ……。

えーっと、答えなんだっけ?



一方、出てきた問題を見ていた6人はと言うと。


ドラゴン『こんな問題あったけ?』

リュー 『ありましたよ。……多分』

キラリ 『私、これ解けた自信ないやつです』

ヤマト 『……』

ラビー 『これ覚えてる。一瞬下ネタかと思ったけど違ったやつだ!』

フヨウ 『も、問題の意図が分からないっす!?』


全員が出てきた問題に困惑していた。

それもそのはず。


今回の5教科の中で理科のテストだけが点数が低すぎた。

理由はこの6人の中で理科が得意のメンバーが誰一人いないから。


福良萩 『因みにこの問題の答えは【沸点】ですが、5人の答えが違います。正解者はたったの一人! 正解者は……フヨウです!』


リュー 『はぁっ!?』

キラリ 『マジですか?』

ラビー 『え~、すっごーい!』

ドラゴン『マジか、すげぇじゃん!』

ヤマト 『フヨウ様、おめでとうございます』


5人がそれぞれの反応を見せる。

なんせ、最下位筆頭になってしまったフヨウが唯一の正解者なのだから驚きもする。


対するフヨウはと言うと……


フヨウ 『まぁ、自分ならこれくらい当然っすよ! 沸点? 常識っすよ!』


完全に調子に乗っていた。


実際フヨウ自信何で正解したのか理解していないが、唯一の正解者が自分となってしまっては調子に乗らずにはいられない。


福良萩 『では、最初に4人の回答をさらっと、さらけ出していきましょうか』


萩の言葉に5人がドキッとなる。

つまり、この中に一人答えを問題にされるほどひどい回答をした人が一人いるということ。

ヤマト以外は自分でないことを祈りながらモニターを見た。


【神無月ヤマト 『常温』】

【鬼頭キラリ  『状態変化』】

【骨筋ドラゴン 『筋肉分解』】

【兎ヶ原ラビー 『形状ねっとり』】



福良萩 『うん。ヤマト君とキラリについてはなんとなくわかる。確かにこれなら間違えてもおかしくないな。ドラゴンに関しては……それはお前だろ!』

ドラゴン『いやいや、マジでこれだと思いましたよ!?』

福良萩 『ほぉ、それじゃあ液体と気体について答えて見ろ』

ドラゴン『分かりましたよ。液体はこう、ぬめぬめしたもの……あ、水です! 水! で、気体はこう……なんていえばいいのか、こう、お風呂を入れた時に、フワフワと透明で立ち上がる、あのー……あれだよあれ!』


キラリ 『湯気?』

ドラゴン『そうそれ! 湯気が気体です!』

福良萩 『ほぉ……正解』

ドラゴン『ほらぁ、分かってるでしょ?』

福良萩 『じゃあ今の話に筋肉要素は?』

ドラゴン『それはー……、その、ねぇ?』

キラリ 『ねぇ、と言われても私にはわかりませんよ』


ドラゴンにとって助け舟だったキラリが沈んでしまう。

急いでヤマトの方を見ると、首をかしげてドラゴンの言葉の意味を考えて混んでいた。フヨウも同様に。


福良萩 『関係、ある?』

ドラゴン『ありま、せん……』

福良萩 『おやつ休憩覚えとけよ。で、次にラビーだけどこれは多分融点と間違えてるな。固体から液体になることを融点。もしこの間違いだったら【形状ねっとり】の間違いも納得できるから、なぁ?』

ラビー 『あ、はい……』


本当は違うのだが、あまりにも酷い回答を相手にして疲れが溜まり機嫌が悪い萩に対してとても「違う」とは言えなかった。


平八郎 『イルカ、いったん落ち着こうぜ』

福良萩 『それ前の名前! 平ちゃん今酒飲んでないでしょ! あまりその名前で呼ばないで~!』

平八郎 『あ、メンゴ!』

フータ 『はいはい、萩くんも平八郎君も落ち着いて、はるか君も見てるだけじゃなくて何とかして!』

はるか 『ふふ、めんご!』

福良萩 『お前ら~!』



おお!

初期メンの絡みだ!!

イルカってなっつ~。

後2人いれば、初期メンは完璧なのに!!



過去数年なかったごろろっく初期メンの懐かしい絡みにコメントは大盛り上がりを見せた。


パポピ 『はいはい、初期の皆様落ち着いてください! 萩さん、時間が押しているので巻きでお願いします』

福良萩 『了解、ではスタジオの皆様にここで問題! リューティー・アービスは何と書いて間違えたでしょう!』


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