第42話 鉄槌を
「モノロエ」
呼ばれた魔女は、静かに訊き返す。
『はい、ケイ卿』
「能力解放だ」
『承知しました』
短いやり取りを終えると、
更に言えば、ケイ卿にはメジャーなエピソードが数個あるかないかくらいであり、そのどれもがこの戦いにおいて、
だが。だからこそ……。
「無名の剣よ。名高き円卓の中で、もっともアーサー王と共にいた騎士にして……王の資格を得ることができなかった者よ。故に――可能性を見せよう。始まりの騎士として!」
景梧が叫ぶ。彼の剣は光輝き……周囲に霧が発生していく。姿を目視することすらできなくなった中で、景梧が最後に一言呟いた。
「アーサーを殺し、裏切った貴様らに! 死の鉄槌を!」
刹那、二人分の悲鳴が聞こえた。霧が徐々に晴れて行き……次に現れたのは、各々の自分の剣に貫かれた
「……なっ!?」
あまりの光景に
そして、息も絶え絶えな霧彦に近寄ると景梧は尋ねた。
「てめぇ、
「ふは……。最期を……迎える人間に……対して……それ……? そうだと……ぐはっ……言ったら……?」
霧彦は不敵に笑いながら、息を引き取った。あまりにもあっさりとした死に際に、景梧は訝しむ。
(これで、朝春が殺されたのは確定として……さて、この主催は何者だ?)
その疑問に答えたのは、予想外の存在だった。
『あぁ! そんな! ランスロット様! いやぁぁぁぁぁ!!』
同じく息も絶え絶えな頼の傍で、半透明……ではなく、白いワンピースの女の姿をした魔女がいた。
『そんな! どうしてです!? なぜ、なぜ! ケイ卿にこんな力が宿っているなんて、データにはありませんでした! なのに、なぜ!』
その女を見て、景梧は合点が行った様子で未だ茫然としている忠義と純汰の近くまで行くと声をかけた。
「……行くぞ。あの女だ。アイツが……この戦いの主催だ」
「……話が、見えません。説明を……はっ! まさか? これすらも伝承の再現!?」
忠義が何かに気づいた様子で声をあげた。その声に身体をびくつかせながらも、大人しく彼に支えられ頼の元へ三人が向かう。
「あぁ……。君の姿を……ようやく……見られた。あいた……かっ……」
『死なないでください! あなた様こそが! 次なる王にふさわしいというのに!』
泣き叫ぶ魔女に景梧が騎士として、
「よう、久しぶりだな?
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