俺の知らない間に青春しやがって!!〜 親友なんだからもっと早く教えろぼけぇ! 〜
絶対人生負け組
前編〜 親友の恋人は誰だ? 〜
なんでもない、普通の土曜日。
メッセージアプリでとても仲の良い、親友とも呼べる友達の、白地龍馬(しらちりゅうま)と会話をしていた時。
「将来、同居でもするか?」
ちょっとした出来心で聞いた質問の答えに、龍馬は
「いやいや、俺彼女いるから」
と、軽々しく言ってきた。
突如として、龍馬から告げられた話。
俺は最初それを信じる事が出来なかった。
「まじ?」と聞いても「うん」と2文字の肯定を表す文字が返ってきた。
「え? まじで? 誰?!」
恋愛には興味があっても、好きな人がいなかった龍馬がいつの間にか付き合っていると聞いて、俺は興味が湧いた。
「誰にも言わない?」
「いや、俺言う相手とかいないし?」
俺は陽キャでもない。ましてや、人見知り&コミュ障という陰キャ要素を2つも持ち合わせている。
なので、必然的に友達は少ない。
「そうだったな」
「いや、おいっ!」
それから、何故かヒントを出してくる龍馬。簡単には教えてくれないらしい。
出身校や、身長や部活動。
普通はそれだけだと分からないだろう。何せ学校には沢山の人がいるのだから。
だが俺は、それを聞いただけでわかった。
「白波瀬美音(しらはせみね)?」
「まぁ、そう……」
白波瀬美音。その子は俺と同じ出身校だった。勿論、それだけでわかったわけじゃない。
少し前にその子に告白して振られた他の友達がいたから。その日は4月1日――エイプリルフールから2日の間に起こった出来事。
どうやら白波瀬さんには好きな人がいるからと振られたそうだ。
その情報がたまたま頭によぎって、「まさかな……」と思って言ってみたら本当にまさかの当たりだった。
この瞬間、俺は白波瀬さんと龍馬が付き合っている事が何故だか妙に納得出来た。
聞くと、2年生の頃同じクラスだったらしい。
「へー。でも意外だなー」
「意外とは?」
いや、意外は意外なんだけどな。なんだろうな……。
「龍馬はさ、もっと元気な人が好きなのかなって思ってたから」
「いや思ったより元気よ」
あれ? そうなのか……? 小学校の頃の大人しい白波瀬さんしか知らないからなー。
「てか、いつから付き合ってるの?」
「4月の始め」
「それは、もしかしなくてもエイプリルフールに何か進展があったな?」
「うん。エイプリルフールの乗りで付き合うことになった」
やはり、白波瀬さんに告白した友達が振られるわけだ。
俺は苦笑しながら、スマホに文字を打ち込む。
「そんなに、軽くて大丈夫なの?」
「いや実際はそんな軽くないから大丈夫」
「そっか。まぁ、おめでとう」
「ありがとう」
「はぁ、なんか龍馬が一気に遠くに行った気分だわ」
「いや俺も前、お前と同じ気持ちだったぞ?」
「そうか、これがあの頃の龍馬の気持ちかっ!」
あの頃とは、俺にも彼女がいた頃。今はもう何やかんやあって別れているが……。
「まぁ、彼女が出来ても仲良くしてくれよ?」
「うん。あ、彼女からメッセ来た」
おいこのクソ、リア充め! ドヤ顔の絵文字送ってくんなし!!
「お前に彼女出来たって知ってさ、なんか悔しいという感情が湧いてきたわ」
そこで、また龍馬はドヤ顔の絵文字を送ってきた。
う、コイツ……。今度1発殴ってやろうかな……。
「いや、なんかさ。前の彼女と別れてからもう彼女とかいらないやって思ってたんだけどさ……」
「おんおん」
「龍馬に彼女いるって知ってから俺も彼女欲しくなったわ」
「彼女出来たらダブルデートでもするか」
「それはまた随分先の事になりそうだな」
気が早いぞ龍馬。第1、俺には現在好きな人はいない。いたとしても付き合える確率は低いわけで。
まぁ、軽率な判断で付き合ってすぐに別れるとか失礼な事はもうしたくない。
「そんなお前にお似合いな人がいるぞ」
え? まじで? 誰だろう。
「変なこと言ったら絞め殺すぞコノヤロー」
そう返信して、龍馬からのメッセージを待つ。
「深田香織」
「学校でおぼえてろよ?」
深田香織――俺とは小学校からの因縁の相手。何かと意地悪をしてきたりするし。こんな事言うのはなんだが、ブスだしデブだ。
そんな深田香織が俺の事を好きだった時期があるから、龍馬がその事でいじってくるのだ。
いやまぁ失礼過ぎるが……。今ではそんなに関わりはないし、ちゃんと謝ったりはしたし。この事が本人にバレなければ大丈夫だろう。
バレたら謝らないとな……。面倒事増やしやがってコノヤロー。
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