第19話

 ある晩はっと目が醒めるとおばあちゃんはいなかった。慌てて玄関に行くとおばあちゃんの靴がない。慌てて外に出るといた、おばあちゃんだ。半ば無理やりにおばあちゃんを家まで連れ戻す。今まではあんなに穏やかだったのに、おばあちゃんは叫び声を上げた。まるで病院にいた時のように、目を剝いて唾をまき散らしながら叫んだ。やっとの思いで家に連れ帰り、なんとかベッドに座らせた。どうしよう。思案しているとあの巨体:おじおばさんが現れた。寝ぼけた目をしたおじおばさんが勝手に上がり込んできて、おばあちゃんと会話を始めた。嚙み合わないはずの会話が噛み合っている。どういうわけだ?

 数分おじおばさんと話した後、おばあちゃんは納得したようにクマのぬいぐるみを抱きしめて眠りについた。俺はこの上ない疎外感に襲われた。俺の言うことは聞いてくれないのに、なぜこんな他人の言うことはすんなり受け入れるのか。なぜ俺じゃない相手にはなんでこんなに愛想が良いのか。俺をどうして認識してくれないのか。つらい感情がぐるぐる頭の中を回り、いつしかそれはおばあちゃんへの怒りに変わっていた。

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