第2話  号外・聖女様ご乱心

 先日、第7聖女であるシャリーネ・ルーチェ様が大鎌を振るい、危篤の司祭ゴルザード・ルーチェ様を襲撃する大事件がありました。


 現場に居合わせた関係者の話によると、「神の名の下に」と錯乱した様子で扉を蹴破りゴルザード様に襲い掛かったとの事です。


 ですが、その強行もシャリーネ様の姉にあたる6人の聖女様たちによって武力制圧された為、幸いゴルザード様の命に別状はありませんでした。


 しかし平民の出である聖女、シャリーネ様の事を快く思っていない者は多く……特に一部過激派な貴族からは貴族制度並びに聖女制度の見直しと、シャリーネ様の凶行に対する処刑を求める声が多く上がっています。



 また、当記事はなんと被害者であるゴルザード様からコメントを手に入れる事に成功しました。


「シャリーネちゃんにも反抗期が来てくれて、お父さん嬉しい」


 ゴルザード様は吐血しながらベッドの上でそう語っていられました。



 また、他の聖女様たちのコメントもいただいております。

 ※(個人を特定出来ぬよう名前は伏せさせていただきます)


聖女A「誰だ、うちの可愛いシャリーネにあんな物騒なもん持たせた奴は?」


聖女K「作戦が甘いですね。暗殺でしたら、もっと人がいない時を狙わないと。それとも他に何か理由が……?」


聖女T「なんか来賓の貴族がうるさいけど、人の家の問題に口を出さないでほしい」


聖女N「シャリーネを処刑? 平民の出? は? どこの国のどこのボンクラですか? ※(記者は首を絞められ殺されそうになった)」


聖女M「処刑されるなら、いっそシャリーネちゃんを僕のペットにするのはどうだろうか?」


聖女Y「おかしいですね。あんなカッコいい武器をシャリちゃんに渡した記憶は無いのですが……」


 と、主にシャリーネ様を心配する声を多数頂きました。



 貴族でも平民でも奴隷でも、誰だって分け隔てなく接してくれるシャリーネ様の国民的人気は絶大ではありますが、周辺国家からの軋轢が生まれているのも事実。


 処刑はまず無いにしても、追放は免れないものになるのではないかと当記事では予想しております。


「あ、それ良いね。追放って事にして、しばらくシャリーネちゃんにお休みを与えて里帰りでもさせちゃおっか」


 と、ゴルザード様のお言葉で取材は打ち切られました。

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