第7話 二つ目のダンジョンを破壊した後――

 ダンジョンが崩壊する前に俺は外に出た。確認すると洞窟も消えさり出入り口もなくなっていた。


 これで良しと。後は中の魔物でも外に出てない限り・・・・・・問題はないだろう。


「ん~っと!」


 ひと仕事終えた気分で大きく伸びをした。特別難しいダンジョンではなかったがこっちの暮らしにすっかり慣れたのもあって元の世界にいたころに比べると疲れが出る。


 さて、帰るかな、と歩き始めたが――


「や、やめてよぉ」

「はは。やめて~だって」

「キモいんだよこんちゅう~」


 近くから声が聞こえてきた。幼さの残る声だった。


 小学生ぐらいかな。俺もこっちにきてそれなりに経ったから日本の子どもについての知識もそれなりについた。

 

 こっちの世界では元いた世界と比べると成人までの時間が長くその分学生として過ごす時間が長いのだ。


 一応元の世界にも学園はあったが幼年入れて長くても六年程度だった。こっちでは幼稚園の期間まで入れると十年以上は学生として過ごす。


 元の世界と比べて学業への意気込みが尋常ではないのだ。それが結果的に識字率にもあらわれているのかもしれない。


 魔族なんて識字率一割もなかったからな。本当にごく一部の上位魔族が読み書きできたといったところだ。


 ちなみに俺は元は下位魔族だったからか、四天王に抜擢されたことも読み書きが出来たのもかなり珍しかったといえる。


 それはそれとして――


「返してよぉ」

「うるせぇ! なんだこんなもん!」

「あ!」


 声のした方に出ると舗装された山道がありそこで子どもたちが騒いでいた。


 一人は眼鏡を掛けた少年。それを囲っているのは子どもにしては体格の良い男児と歯が出たキノコのような頭をした男児だった。


 見るに体格の良い男児が意地悪してメガネを掛けた少年の虫かごを取り上げたようだな。


 ガキ大将という奴か? その子が取った虫かごを地面に投げつけていた。


 それはメガネを掛けた少年……何かこんちゅうと呼ばれていたな。その子にとっては大事なもののようだな。


 やれやれ。子ども同士のいざこざにいい大人がシャシャリ出るのもどうかと思ったが見てしまったらな。


「お前たち何してるんだ?」

 

 声を掛けながら俺は落ちていた虫かごを拾った。中に見えるのは――カブトムシか。


 しかし小さいな。元の世界にも似たのはいたが魔物の一種でかなり大きかったのを思い出す。


「う、うっせぇなおっさんには関係ねぇだろ!」

「おっさ……」


 いや、子どもからみればそうなるか。二十六歳って魔族から見ると全然若いんだがな。


 だが所詮は子どもの言うことだ気にするな俺。


「大体こんなとこでヘルメットして何してんだよ怪しいやつ!」


 キノコ頭の少年に指摘されてハッとなった。そういえばダンジョン探索の為に被っていたのがそのままだった。


「これは、や、山の調査の為に必要なんだ」

「何だよそれ。何の調査だよ」

「色々だよ。だからこそお前たちにも声を掛けたんだ。悪い子がいないかどうかは調査対象の一つだからな」


 勿論そんなことはないが、まぁダンジョンの探索は似たようなものだからな。


「わ、悪い子って俺らちょっと遊んでただけだからな!」

「そ、そうだよ。おいこんちゅう、ちゃんと説明しておけよ!」


 どうやら調査と聞いてビビってしまったようだ。二人はメガネの少年をおいて逃げていってしまった。そういうとこだけしっかり子どもらしくて助かったよ。


 さてと、後は残ったこの子だけど――

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