ぼくたちのワンダーランド

青木一人

第一章 日常の終焉

第1話 入場券

 いつものように授業を受けて、なんとなくで生きていって死んでいく。

 それが嫌になって小説を書き始めた。

 でも何も変わらない。いつもより少し疲れて、誰のためですらない駄文を量産し続けるだけ。いつしかそれすらも止めて、諦めて。

そんなときに、つい口からこぼれた言葉。


「死にたいな」


 自覚すると楽になった。ぐるぐると胸の中を蝕み周り、マスク一枚に阻まれていたちっぽけな自尊心がナイフで切られて溢れ出す。

だから。


≪旅行≫に行こう。


そう、思ったんだ。


思ってしまったんだ。

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