第16話 アルトは幼馴染を発見する
実家を追放されて
そこから商人の護衛依頼や討伐・採取依頼を受けていたのだが、あれ以降特にイレギュラーに
町に受け入れられつつある今、僕とレナの冒険者ランクはBである。
「最近は平和ですね」
「初期の
依頼で森を探索している途中にレナが微笑んできた。
しかし探知は
今日は森の異変を調査しに来たのだから。
「しかしあの時何を警戒していたのですか? 」
「え? あ……うん」
レナの言葉に言い
魔導書を前に向けながら思い出す。
ギルマスが領主様に
だけれども特に何もなく肩
もしかしたら家同士のいざこざが原因かもしれない。
気にはなるけれど、自分から厄介事に首を突っ込むほど僕も
送られて来たお金をありがたく
レナが少しこちらを見る。
しかしこれ以上何も言わずに先に進んだ。
「特に何もないね」
「今の所はですね」
「最近魔物が多く発生しているんだっけ? 」
聞くと頷き前を向いた。
今回の依頼は森の探索。
様々な魔法を使ったり手探りで何か異変が無いか調べたりしているのだが何もない。
「幾つか集団を
「街道に出る魔物の数が多いからということだったけど、異変と言われるほどのレベルでもないね」
そう言いながらパキッ! と音を鳴らす。
奥に
「そう言えば別で調査隊が組まれているようですよ? 」
「この森は広いからね。何グループかに分かれてやるのは
サイレントウルフを捌いているとレナが言う。
「いえそうではなく領主様の方で、でございます」
それを聞き少し手を止める。けれど再開してレナの言葉を続けて聞く。
「詳しい事は分からないのですが、
「その異変を調べるべく調査隊をこの森に出していると」
捌き終わり彼女を見ると頷いた。
「私達の依頼とは
「こんなに広いんだ。会わないと思うよ」
そう思っている時が——ありました。
★
「潰せぇ!!! 」
「魔法師部隊! うてぇ!!! 」
「「「
かざした魔杖から風弾が出る。
高速で移動するそれはゴブリン達を襲い掛かるが、ゴブリン達の前にオークが壁となった。
「その首
「Bumoo!! 」
風弾の壁となったオークは傷を負いながらも次に
だがそれも
オークの後ろに隠れていたゴブリンが騎士に切りつけたのだ。
しかし危なげなくかわす騎士。
そして騎士の後ろに構える魔法使いによる集中
今の状態を僕は少し山になっている所から
「……オークとゴブリンが
「それは本当ですか?! 」
隣のレナに
森の奥へ行き帰ろうとした時魔力に気配に様々なものを感じ取った俺は少し様子を見に行った。
視えたのはゴブリンとオークが連携して騎士や魔法使い達——恐らく
本来ならばそのまま帰ればいいのだが、少し気になる事があり様子見状態。
その気になることと言うのは——。
「何で魔の森の魔物がこんなところに」
「? 何か言いましたか? 」
「いやなんでもない」
思わず
魔の森の事は秘密にしているので
そして再度目をやった。
気になることは一つじゃないんだ——。
「高い身長に赤い髪。そして赤い
「『
レナが特徴だけで
彼女は見えないはずだが僕が見ている方向を見た。
知っているさ。
何せその紅き
現状、彼女がいることに不自然さはない。
何せここは彼女の父が治める土地なのだから、
普通の相手ならば彼女が負けるはずがない。
だけれど
「相手はオーガ……にしては強すぎるな。押されている」
「あのアイリ様がですか?! 」
驚くレナに付け加える。
「周りも援護が出来ないみたいだな。というよりも
「それほどまでに……」
俺も
相手はオーガの上位種、いや突然変異でもしたのだろうか。動きが早く力も強い。
オーガは基本的に腕力で敵を
周りに指揮官系の魔物がいるのか二人の戦闘に巻き込まれないように騎士達と魔物が戦っている。
同種族だけならまだしも異種族を
これだけでも異常と言えよう。
「……アルト様は行きたいのですか? 」
「それは……」
否定しようとして言葉に詰まる。
彼女は小さな頃共にした幼馴染だ。
しかし今僕は貴族の子ではなく単なる冒険者でアイリは貴族子女。
単に貴族子女が襲われているのならば助けに入るのだが、今は襲われているのではなく魔物の討伐。
二つ名持ちの騎士の戦闘に割り込むほど
「行きたい、のですね。そのような顔をしております」
「……はぁぁ。どんな顔だよ」
と聞くとクスリと笑う。
「いえ、何となくですが行きたくてうずうずしているような顔です」
「……わからないな」
「では私はここで待っておりますので、終わったら声をかけてください」
「……大丈夫か? 」
「この周辺の魔物に後れを取ることはないでしょう。それこそアルト様と
「それを言われると少し落ち込む」
そう言うとレナは真面目な顔を向けてくる。
そして一言告げた。
「帰りをお待ちしております」
「あぁ行ってくる! 」
———
後書き
こここまで読んでいただきありがとうございます!!!
面白く感じていただければ、是非とも「フォロー」や目次下部にある「★評価」、よろしくお願いします。
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