第4話 ある少女の憂鬱
今日の最後の授業が始まる。正直、世界史はあまり得意じゃない。
「はーい、今日は105ページからねー」
桐谷先生は良く通る声ではきはきと喋り出すと黒板に年表を書き始めた。
白いブラウスにスリムな黒のパンツ。ポニーテールに結んだ長い髪がチョークの音と共に揺れている。
隣の席の男子はそのきゅっと引き締まったお尻をでれでれと見ている。彼女は男子にも女子にも人気が高い。
昨年の文化祭で彼女が担任したクラスを見事一位へと導いた。表彰式で生徒と一緒に泣いている姿を見て私も少しうるっときた。
(できればあまり傷ついてほしくないな……)
ノートに板書を書き写しながら私は小さく息を吐いた。
窓の向こうでは、太陽が夕焼け空の準備を始めていた。
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