第12話 ほんの小さな事
長く緩い下り坂、歩道を歩いていました。すると後ろから歌声がする。
♫ オーシャンゼリゼ
何事かと後ろを振り返ると、白い丸首のシャツに、白い半ズボンのおっさんが、自転車で道路を下って来る。下り坂なんで全く自転車をこがなくても、自転車は進んでいくわけです。
♫ オーシャンゼリゼ
妙にコブシを効かせた、日本人!という感じを歌声にのせて、その部分だけを残して、後ろ姿は、あっと言う間に見えなくなっていきました。
その時に、思ったんです。こういう小説っていいかもしれないと。
音程はずれていなかったけれども、それほど上手い歌ではなかったけれども、もう少し、聞いてみたいと思わせる。過ぎゆく余韻を残して去って行くような。
おっさんは、決して格好良かったわけではなかったのに、その後ろ姿が印象深かった。
こんな後味の残る小説を書いてみたいなと、ふと思いました。
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