◆アリスファッションショー その1



 はい、そんなわけで生配信やってきましょう。

 いつも私のお部屋からお送りします。

 こんにちアリス!


『そんな挨拶あったっけ……?』

『エヴァーン方言かな』


 私だって定型句とかほしいんですよ!

 ま、それはさておき、本日はリクエスト企画ですね。

 地質調査を手伝ってくれとか、全景が知りたいとか色々あるんですが……。


 こないだの配信で、私の変身バージョンがどうにも不評だったようで……。


『あれはあれで面白いけど』

『アイドルライブを期待して来たのに週間少年漫画の激アツ展開されたらこっちも困惑するわけよ』

『生身の人間がレーシングドローンとかドラッグレース用のクルマに勝てるスピードを出すんじゃない』

『ぼくたちはついていけるだろうか、アリスさんのスピードに』


 私という存在を受け入れている時点であなたたちは仲間です。

 諦めて必死に食らい付いてきてください。


『スポ根のノリ好きだよねアリスさん……』


 今日は、こちらー!


 ででん!


「アリスさんに地球の服を着てほしいです」


 ですね!


『その言葉が聞きたかった』

『待ってたぜ! このときをよぉ!』

★☆★ステッピングマン4号:フリじゃないですよね? ¥2,000★☆★


 ガチです。


 着替えます。


 着替えます、が。


 ルールを説明しましょう。


 みなさん、これを御覧ください。


『またトンチキな企画をやるつもりだ』


 もちろん、ただ着替えるというだけでは芸がありませんので。


 まず今日用意した服は3着です。


 クローゼットのある方にカメラアングル変えますね。


 よいしょっと。


 見えますか?


『見えるー』

『見えます』


 じゃあクローゼット、オープン!


 まずは一着目、ガーリーファッションブランドのふりふり白ワンピ。

 サマーハットとリボンつきのパンプス。

 その他、甘めかわいいアイテム盛りだくさんです。


『キタコレ!』

『そうそうこれ わざとらしい女の子の服』

『ふーん、わかってるじゃん』


 し、しかし、これ……私が着てよい服なんでしょうか……?


『その言葉が聞きたかったって言ってるだろ!』

★☆★ステッピングマン4号:端的に言って最高ですね ¥5,000★☆★

★☆★天下一ゆみみ:お前のようなカワイイを待っていた ¥30,000★☆★


 ううっ……めちゃめちゃ人気ですね……。

 ちょっと勇気がいるんですが……。


 二着目は、英国風メイド服。

 黒いロングスカートに、同じく黒の首長のブラウス。

 白いエプロンをつけてる感じです。

 クラシカルなタイプの服だそうで、こっちの方が私としては気軽に着れますね。


『かわいい』

『もうそれでずっと配信して』


 い、いや、ずっとは駄目です。

 普段着のほうが気楽ですし。


 で、三着目は……こちらです。


『ただの作業着やんけ!』

『なんでやねん!』


 いや、ただの作業着じゃありませんよ。これを見てください。

 このかわいい安全帽を!


『猫耳つき安全棒、つまり……』

『現場の猫じゃん』

『百万回労災事故から生還する猫』

『面白いからいいけどさぁ!』


 さて、この三着を着ていきます。


 ですが。


 その前に、みなさんにはゲームをしてもらいます。


『デスゲームマスターのセリフじゃん』

『戦闘力カンストのデスゲ運営はバランスが狂ってる』


 今から3つのゲームを提案するので、みなさんが三連勝したときは大人しく1着目の服を着ましょう。写真スクショでもなんでも撮ってください。


 二勝できたらメイド服。


 一勝できたら安全服ですね。


『なるほど』

『そういうことね』


 さて、ゲームはこちら。


 1つ目はVR空間で剣を振り、自分に向かってくる障害物を斬った数を競うゲーム。


『ビートフェンサー』ですね。


 反射神経やリズム感が優れている人が有利なゲームと言えるでしょう。


『アリスさんの反射神経に勝てるかよ!』

『いや、音ゲーマニアなら勝算はある』


 大丈夫です。


 私も、設定確認のために軽くプレイしただけで習熟はしていません。


 まあ?


 やりこんでる人には私程度に勝てて当然でしょうけど?


『あ、ふーん。そういうこと言うんだ』

『今に見てろよ見てろよ』


 お次はこちら。


 VR乗馬シミュレーター『モンタナの風と鉄球』ですね。


 馬を走らせてアメリカの大地を駆けて速さを競うというゲームです。


 まあ私は十三歳くらいの頃から馬に乗るのは日常でしたけど、ゲームは未体験ですね。


 皆さんの方が強いだろうなあー。


 私の累計の乗馬時間は千時間以上はあるでしょうけど。


 馬に乗って魔王軍から逃げ続けて、三日目は逆に馬を担いで逃げたりもしたことありますが。


『さらっと闇を出すな闇を』

『その体験記、聞きたいけど聞きたくない』

『平和な世界で競馬のジョッキーになっちゃえよもう』


 さて、最後は……まだ秘密ということで。


 それじゃ、楽しいゲーム配信、行ってみましょうか!



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