第50話 双子同盟
双子同盟
話はかなり前に遡り、明日香の兄、青蓮夫婦の子供の話になる。
明日香の親友であり義姉の結芽は、妊娠して暫く経った頃、医師から驚きの事実を告げられた。
「双子ですね」と、ニッコリ笑って告げられたのだ。
「はぁ?」と、思わず間抜けな声を出した私。言われたことを一瞬理解できなかった。
ありえない・・・。と、内心狼狽えたが、医師には気付かれないように、ニッコリ微笑み返して、「生まれて来るのが楽しみです。」と返事をして早々に帰宅した。これは、皆相当驚くだろうな…。
内心にやにやしながら車を運転して自宅に戻り、夫の青蓮に平静を装って何でも無い事のようにサラッと話をした。
「今日ね、定期検診に行ってきたの。そしたらね、双子だって言われたんだよ。」
そう言ってニッコリと笑った。すると、
「はあぁ~?!」と、口をあんぐりさせ、鳩が豆鉄砲を食らった顔をしてこちらを見て驚いていた。
まあ、それは驚くよね。明日香が双子を産んで、私も双子の親になるなんて。明日香と夫にしてみたら、兄妹揃って双子の親だ。こんな奇跡が起こるなんて本当に凄い事だと思った。
その後、明日香夫婦と義両親に話をしたら、吃驚しながらも、「これも全て決まっていた事だね」
と、義父と颯さんが話していた。
これも神仏の思し召しなのかなと、私も納得することにしたのだった。
そして、あっという間に出産の日を迎えたのだった。
その日は朝からお腹が張って、しくしく痛みが走っていた。段々痛みが激しくなって、いよいよ我慢出来なくなった。
病院へ連れて行ってもらい、分娩室へと入った。痛くて苦しいけれど、子供たちに会いたいという一心で痛みに耐え、3時間ほどで産み落とした。初産にしてはかなり安産だったようだ。
最初は女の子で次は男の子。とんでもなくビックリした。
実は、二人共女の子だと聞いていたのに、産んでみたら一人は男の子だったんだから。
医者曰く、見えなかったそうだ…。
兎に角、男女の双子というのも明日香と一緒で、もう、これは完全に宿命だと思った。
「結芽、おめでとう!!!」そう言いながら、特大の籠にアレンジされた花を持って、明日香が病室へ入ってきた。
「明日香。ありがとう!これからはこの子たちも宜しくね。」そう言って、ベビーベッドで並んで
すやすや眠る、産まれたばかりの子供たちを見た。
「かわいい・・・。結芽も男女の双子を生むなんて素晴らしい!本当に嬉しい!こちらこそ、宜しくね。」
「うん。うん。」明日香の言葉に暫く涙が止まらなくて困った。
明「ねえ、双子同盟作ろうよ。」
結「双子同盟?!」
明「そう。双子はお世話が二倍になるから、育てる方の人数を増やしてお互い協力し合おうよ。両親も協力してくれると思うから。どっちの子供とか関係無く手の空いている人が面倒を見る。協力し合って育てていけばいいと思うから。それに、仁と天はある程度自分で出来るようになってきたから、手が掛からなくなってきているしね。ダメかな?」
その言葉は本当に嬉しくて幸せで、又涙が込み上げてきた。
結「ううん。嬉しい。ありがとう・・。」
明「ふふ。ちょっとだけ子育ての先輩の私になんでも聞いてね?!」
その言葉に私は、少し遠い目をして明日香に問いかけた。
結「青蓮さんに子育て押し付け・・・じゃなく、協力してもらってたんだよね?なら、青蓮さんに聞くし…。そこは心配ないからね?」と、私は少しイジワルな声で返した。
明「う!それを言われると辛いものが…。ってか、子供たちが兄に懐いてたからね…。あはは・・・。」結芽の指摘に私は乾いた笑いを浮かべるだけだった。
明「それよりも!」と、私は話題を変えた。結芽の目が若干座ってる…。「名前は決めたの?!」
結「まだよ?」
明「こほん・・・。えっと、名前決めたら教えてね。えへ・・。」私は可愛く笑った。
結「・・・ぶっっっ!!勿論!」 そして二人は笑い合った。
名前は考えていたものがあった。それを青蓮さんに思い切って話してみた。すると、「とてもいい名前だね。」と言って諸手を挙げて賛成してくれたので私が考えた名前に決定した。
女の子は、人と縁を繋ぎ大切にして欲しいという意味を込めて
とても素敵な名前だね、と、明日香もすごく褒めてくれた。
双子は、仁と天に続いて特殊能力を授かっていた。紬は予知夢、爽は人が持っている能力を2倍3倍5倍、10倍、いや、それ以上増強させる能力があった。四人はそれぞれ授かった能力で、生涯助け合い、支え合って生きていく事となる。
こうして霧島家は、兄妹がそれぞれ双子を授かるという奇跡で10人の大家族になったのだった。
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