スノーバレット~悪役に恋した私は銃を握る~

ユキア

第1話「アニメ世界に転生した?!」


「おはようー。」


「おはよう!ねえ、昨日のデリンジャー様見た?!」


朝の登校、友達に挨拶して開口一番がこれだった。


「昨日の「トリガーバレット」だよ?!デリンジャー様がめっっっちゃカッコよくってさぁ!」


「あー、はいはい、あのアニメね。見た見た。うんうん。」


通学路を歩きながら飽きれぎみに友達のミサは変事を返す。


「デリンジャー様が主人公をズタボロにして、「この程度かっ?この俺に挑もうなんて500年早かったなっ!!クククッ。」て、笑いながら主人公を蹴るシーンがサイコーにかっこよくて!!もう、うふふっ♡」


「本当にどこがそんなにいいのか………。再放送でしょ?何回同じの見るんだよ?はぁー。バイオレンス過ぎるよ。私はもっと紳士が好きだね。」


「えーー?!ミサちゃんは子供だなぁ?それに、再放送してるのは二期が始まるからだし。何回見てもいいものだよ?」


「いやいや、高校生にもなって、アニメ見てカッコいいとか言うあんたの方が子供でしょ?現実を見なよ?リアルイケメンを探した方が絶対いいって!サッカー部とかどうよ?イケメン多いよ?」


「私はデリンジャー様一筋なのぉ?!」


「いや、あんたこの前バレル君もカッコいいとか言ってたじゃん。」


ミサは夢見がちな友人に呆れる他なかった。

信号に赤い影が射す。


「バレル君もカッコいいけどデリンジャー様が一番なの?!」


「ははっ、私からしたらどっちも好みじゃないんだよねー。何がいいのか……。」


「ちょっと影があるところがそそるのよ。うふふっ♡」


「そぉデスかぁー、機嫌がいいよぉで何よりデスゥ。」


「本当に「トリガーバレット」の悪役、デリンジャー様に会えればいいのにぃー。」


「無理言うなぁ。世界は残酷なんだよー?そんな都合のい……ゆき!?!?」


気が付くと車道に出ていた。

キキィーッ?!


自動車のブレーキ音が鳴り響く。話に夢中で信号が変わった事に気が付かなかったらしい。


ああ、ほんとに。

世界は残酷なんだなぁ。せめて死ぬ前にデリンジャー様の抱き枕もう一回抱き締めたかった。


ドンッ。


激突音と共に痛みが全身に走り、眼の前は暗くなった。


そうして世界は暗転する。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ん?

あれ?私、死んだんだよね?なんだか堅いけど柔らかい何かに包まれてる?!


「おいっ。女。誰の上に落ちて来てやがる?」


え?!何?!この声、どこかで……?


眼を開けるとそこには…………。


「え?」


思わず眼を疑った。


「この俺の上に落ちて来るなんていい度胸してるじゃねぇか?女。」


「デリンジャー………さ、ま?」


そう、眼を開けるとそこにはアニメの悪役、愛して止まないデリンジャー様に瓜二つな男がゆきを抱き抱えていた。


「ええええええええええええええええっ?!?!」

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