第10話 ステータス(再)
正統派RPGといえば4人パーティ。
とりあえず理想と現実を紙に書いてみようと書くものを用意した。
【理想のパーティ】
勇者 万能な能力で特別な力を使える
戦士 強靱な肉体。力で敵を粉砕
魔法使い 強力な魔法炸裂
僧侶 傷ついた仲間の治癒
【現実のパーティ】
おれ ステータス0
リリス わがままなお嬢様 ※知性が高いため性質(たち)が悪い
キュウ 狐の姿をしたマスコット ※変身可
「下に書いたのはピクニックを計画しているパーティじゃねぇよな・・・」
書き終えてため息がでてきた。
この世界はモンスターも出てくるようだし、このパーティの戦力を補強するためには一体どうしたらいいのか。答えは1つだった。
「よし、仲間候補を探そう!」
今日こそは神殿に行ってからギルドで報奨金をもらう予定である。
そのギルドに行った時にでも、仲間候補を探してみようじゃないか。
まずは、最初の目的地である神殿に向かうことにした。キュウを起こそうとしてもなかなか起きなかったため、リリスがリュックサックを背負い、その中に寝ているキュウを入れた。
レッツピクニック!
「あ、いたいた!カーンさん!」
「カーンおじい様。おはようございます♪」
神殿に着いて、通路の奥に進むとおじいさんがいた。
前にステータスを視てもらった後にデールから聞いた話なのだが、このおじいさんこそが人間族の代表であるカーン3世であるらしい。他人のステータスを視れるカーン一族の者が、代々人間族の代表の座を継いでいき、このおじいさんで3代目のようだ。
今日ものんきにここでお茶をすすっていた。
あっ、中身は前に聞いた。
この世界のお茶らしい。
「おぉ、お主らか。よく来たのぅ。そうか、もうわしの素性がばれてしもうたようじゃな。
あらためて、わしがカーン3世じゃ!!!ごほっ、ごほっ、」
じゃ!のところで自身の胸を叩いて咳込んだ。
リリスが駆け寄る。
「あぁ大丈夫じゃ。でも今日は一体どうしたんじゃ?お主らのステータスは前に確認したはずじゃがの?」
「はい。そうなんですが。実はあれから、流れでブラックウルフと呼ばれるモンスターと戦いまして・・・」
「何!?ブラックウルフじゃと?嘘をつくでない!お主がどうやって・・・だってお主はオール0、ぶふぉっ!!・・・・・・すまん、取り乱したわい。歳を取ると毎日楽しいことが少なく感じてしもうてのぉ。つい思い出し笑いをしてしまうんじゃ。いや、じゃが、オール0のお主がブラックウルフに立ち向かうなど命を捨てるようなもんじゃ。ありえんわい」
「そうなんです!後からその強さを聞いて俺も驚いたんですが。でもなんだか、ブラックウルフが弱く感じてしまって・・・」
「うるさいなぁ。一体どうしたんだい?」
リリスのリュックサックからキュウが頭を出した。
ようやく目を覚ましたようだ
カーンは頭を出しているキュウをの方を見て驚いた表情をしている。
「あ・・・あなた様は!!!精霊キュウ様ではないですか!!」
「やぁカーン。久しぶりだね」
キュウはリュックサックから全身を出して宙に浮いた。
「ははぁ!お久しぶりでございます!キュウ様のおかげで我がカーン一族が繁栄しましたので、未だに礼をしても尽くし足りません」
「それはよかった。まぁ一層ハゲみたまえ」
「はい!このとおり!」
長い帽子を同時に手で取るタイミング。
代々語り継がれている伝統芸能なのか連携はパーフェクトだった。
だが、キュウの立ち位置って一体どこなんだ?
とりあえず俺達はキュウに事情を説明した。
「そういうことか。実はこのステータスを視る力は、初代カーンに僕から授けたものなんだ。だから僕が君にも可視化できるようにしてあげるよ」
「そんなことができるのか?」
「当たり前じゃないか」
キュウが俺の肩に手を置くと、「目をつぶって」と言われたので目をつぶった。
「これが、カーンさんが視ていた俺のステータス・・・」
力 0
体力 0
知性 0
敏捷 0
運 0
ホントだ。全部0だ・・・
まじでただの無能じゃねぇか。
頭がくらっとしてきた。
だが、よく見ると0の下に何か違和感がある。
ん?あれは?
「キュウ!これ拡大とかできるのか」
「もちろんさ。僕は精霊様だよ?」
力 Ω
体力 Ω
知性 0
敏捷 0
運 0
「ん?おい!なんだこれ!力と体力が0じゃないぞ!?下にちょびひげみたいなものが生えている。これはたしか、ギリシャ文字の『Ω(オメガ)』じゃないか?」
「そうだね。そこのステータスの数値は僕には分からないけど0ではなさそうだね」
俺は目を開けてカーンにも視るように言った。
キュウの力で拡大したものを見るカーン。
だが、
「おぉ!これは・・・!!そうなのか?わしには拡大してもオール0にしか見えんわい。最近老眼がひどくてなぁ・・・」
老眼じじいは、にまっと笑ってそう答えた。
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