ドキドキの訪問

 私こと虎白院美琴は今、奏斗さんと芳田さんから少し遅れて一軒家の前に立っていました。緊張で死んでしまいそうです。通常なら男性の家を訪ねるなんてあり得ませんから。


「秋穂さん……私は今からでも参加をとりやめた方がいい気がするのですが」

「私もそう思うよ。だけど、さ、あの二人なぜかは分からないけどすっごい楽しみにしてたから、確実に落ち込むと思うんだよ」


 確かにその通りですね。あの時の私も奏斗さんのあのキラキラと期待で輝いていた目を曇らせたくなくて了承してしまったわけですし……。ですがやはり、奏斗さんは不用心すぎないでしょうか?家に呼んだ私にもし襲われたらとか色々考えることはあるはずなんです。これが私を信用してくださった上でも対応なら……すっごく嬉しい、じゃなくて納得できますが、私だって女ですからもしかしたら我慢できなるかもしれないんです。もしかたらですよ?虎白院の娘としての殿方以外とはそういう事をするな、と教育されていますから大丈夫です。


「……向井が来れなかったのは残念だったな」

「そうですね。ですが今日はもとから用事があったようですし仕方ありません」


 あのあと奏斗さんが向井さんを誘いに行ったのですが、残念ながら重要な用事があったようでお断りされていました。あのあと向井さんはとても落ち込まれていて少し可哀想でしたね。


「「…………」」


 さてと……なかなかインターフォンを押しませんね。これはもしや私が押すべきなんでしょうか?ですが……


「秋穂さん。わたくしこのような一般家庭の尋ね方が分かりませんの。だからお手本を見せていただいてもよろしくて?」


 奏斗さんのいるお宅のインターフォンを鳴らすなんて恥ずかしすぎます。秋穂さんなら芳田さんで慣れているでしょうし任せましょう


「虎白院。残念ながら私も男性の家を尋ねたことはなくてな。だから正しいやり方はわからないんだよ」(すまない。祐樹の家の鍵を持ってるからインターフォンを押したことがないんだ。あと、いきなり口調が変わったがこちらが素なのか?)


 これは……わざと避けている?まさか複数人で訪問する時インターフォンを押すと何かあるのですか!?インターフォンを押した人は、その日運が悪くなるとか、寿命が吸い取られるとか、家主さんと仲良くなれないとか……これですね!?(違う)。私、秋穂さんは芳田さん狙いだと思っていたのですがまさか奏斗さん狙いだったなんて。思わぬ伏兵です。これは敵情把握が必要ですね。


 そう思って私は秋穂さんのことを見て瞬時に鑑定眼をつかいました。(ファンタジー!?)


【祠堂秋穂】

 顔:90/100

 胸:80/100

 腹:95/100

 尻:95/100

 スタイル:99/100

 総合値:459/500


 つ、強い……!平均値である50点を全ての項目で上回っています。やはり、スポーツ科なだけありスタイルが抜群です。それに対して私は……


【虎白院美琴】


 顔:95/100

 胸:90/100

 腹:90/100

 尻:90/100

 スタイル:97/100

 総合値:462/500


 ぎ、ギリギリですが勝てました。特に胸で大きな差がつけられたのが大きかったです。これで、もう勝ったも同然ですね……この米印はなんでしょうか?


そう思ってそこをクリックしてみます。(脳内の出来事です)


秋穂

※胸はまだまだ成長の余地あり


美琴

※胸は既に全盛期。これ以上の成長はマイナス


そ、そんな……!それでは、私は将来的に秋穂さんに負けてしまうということに……だってお母様はHだから!


いえ、これはわかっていた事なんです。ただ私が目を逸らしていただけで。私が巨乳の血筋で、私の世代の男性達の間では貧乳が流行っているということから!


 実は女性の胸にも流行があるんです。その例として母は巨乳であってもモテたそうです。それはその時の流行が巨乳だったから。ファッションの流行が繰り返すように男性の胸の流行も繰り返します。巨乳→美乳→貧乳→巨乳、というように。そして今の高校生の方々あたりから貧乳の流行に入ってしまったんです。その報告書を見た時私は絶望しました。ああ……私は高校生で恋愛をすることは叶わないのだと。


 つまりです、私は全盛期である今のうちにパートナーを捕まえなくてはならないというわけで、そうなると今私の中で筆頭候補である奏斗さんを狙っている秋穂さんはライバル……いえ、宿敵と言っても過言ではないかもしれません。第一夫人の座は渡しませんよ!


 ここまで長々と考えてしまいましたが、結局出てくる結論はただ一つ……敵に塩を送る訳にはいかないという事です。なんとしても秋穂さんにインターフォンを押してもらわなければ……!


「ですが秋穂さんは、同姓の方のお宅を訪ねたことはおありでしょう?」

「残念だけど私はボッチでね友達がいたことはないんだ」


 嘘ですね。以前小学校の友達と遊ぶという話を聞いています。これは……秋穂さんはライバルで決まりです。


「そうなんですか……あ、でもご自宅のを使用したことはあるでしょう?」

「うちは呼び鈴でね。インターフォンなんていうハイテクな物じゃないんだ」

「いえいえ……」

「いやいや……」


 そう言って私たちは舌戦を繰り広げなんとか相手がインターフォンを押すように誘導し


『早くお入りになられては?』

「ひゃい!?」

「わっ!?」


 い、いきなり声が聞こえてきました。一体どこから?そう思って辺りを見回しましたが人の姿は見当たりません。


『奏斗様がお待ちです。早く入ってください』


 これは……このインターフォンからですね。おそらく中から私たちのことが見えたのでしょう。あれを見られていたらと思うとちょっと恥ずかしいです。秋穂さんも少し頬を染めていらっしゃいますし。


 頬の熱を冷ましながら私たちは広い庭を通っていきます。お庭にはお花が植えられたり、掘建小屋があったりととても綺麗な……なぜほったて小屋が?もしかして、奏斗様のご趣味でしょうか。わざわざ倉庫ではなくほったて小屋……なるほど!そういうことですか!あれはカモフラージュで、あの下に地下室が広がっているのですね!(小説の見過ぎ)きっとその中には奏斗さんの……なんでしょうか?絵画?彫刻?遺物?……どれも違う気がしますね。わざわざこんなところに隠すのですからきっともっと重要な……っ!下着ですね!?きっとそうです。それほどの重要な物ならこんなところで隠しているのも納得できます。……なぜ保管しているのかは分かりませんが


 そして、私は少しだけ見せてもらえるように頼んでみよう、と思いながら、幸せな気分で玄関まで歩いて行きました。


◇◆◇◆◇


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