第27話


 そんな中、澄んだ声が会議室に響いた。その瞬間、冒険者の口から怒りや罵倒が唐突に消え失せ、会議室にいた全員が出入り口に佇んでいる1人の少女に目線が向いた。


「あの~、すみません!」


「…なんだ?」『あっ!?』


「出ていくなら行ってください!私は用事があるので、そこのリーダーさんは残ってもらいたいのですが。」


「おぉ!こいつの聞き分けが悪くてな、もう少しだけ待ってくれや。すぐにでも言い聞かせてやるからな!さあ、さっさと」


「——捕らえなさい。」


「はっ!」『えっ!?』


「オレのいうことを、…っ!?」


「捕えました、セリア様。」


「では、そこの2人と共に追い出してください。私は彼らと話がありますから。」


「はい、承りました。」




——それからしばらくして

「失礼いたしました。本商会を経営しているセリアと申します。呼び名は何でも構いませんが、この商会内だけは商会長とお呼びください。」


「はっ、はぁ。」


「それでは先ほどの喧騒の件について、まず説明を求めてよろしいでしょうか?」


「はい。…先程は見苦しい姿をみせて、すみません。実は王都へ向かっていた途中、先程の冒険者と知り合いまして。その道中、冒険者組合を通してパーティーを組みました。こちらへ来る時も説明したのですが、グラレス領に入る前にもシリア商会の名は隠して僕らは説明した時は大丈夫でした。…でも商会が見えてから、様子が変わってしまって。」


「先程の喧騒に発展した、と?」


「はいっ。なぜ僕らも起こったのか分からなくて…。もう少し対応が遅かったら、危なかったかもしれません。次からは商会長の判断を仰いでから連れてくるようにします」


「ええ、構いません。では次の題に入る前に、新しい茶菓子を出させましょう。…茶菓子を人数分よりも多めにお願いします。」


「はい、少々お待ちください。」


「それでは。…食べながらで良いので、買い取りをしましょうか。」


 冒険者の事情を聞き終えたセリアは側に控えていた職員に茶菓子を所望した。茶菓子が追加されると聞いて、隅で固まっていた冒険者たちがセリアへと顔を向け、破顔して頭を下げていた。

 そんな冒険者の一組を見ながら、和んだ雰囲気を無駄してしまう前に、冒険者パーティーのリーダーは買い取りに対して相談を行った。セリアは買い取りする素材を書類に明記しながら、良質な素材を高値で買い取るように記入し、特に使えないと言われる素材は安い値段で買い取った。始めこそ喧騒での件を持ち出して買い取りの値段を断ってきていたが、素材に向けたセリアの熱意によって、結局手を引いたのは冒険者たちのリーダーであった。

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