深淵の向こう

突如、丘の上に穴が出来た。野次馬がこぞって穴の中を覗くと、色が見えるらしい。ある人は赤、ある人は水色、ある人は山吹色。僕も覗いてみた。黒でもない白でもない。色が、何にもない。透明だ。透明だから、底が見える。

僕自身が、ポッカリといる。


ああ、そうか、僕は、僕の色が、あるんだ。

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