第4話

「ちょっと、ベッド広いんだからもう少し離れてよ」

 何故かくっついてくる彼女に困惑する。

「いいじゃん、友達でしょ、こっち向いてよ」

「ちょ、近いって」

「よく見ると睫毛長いよね、羨ましい」

 こっちの気も知らないで、そんなことを言う。

「自分の睫毛なんて知らないし」


「ねぇ……キスしていい?」

 フリーズした。なんて答えるのが正解なのだろう。

 ダメと言えば、何もなくそれで済むだろう。だけどこんなチャンス二度とないかもしれないよ。私からじゃなく彼女から言ってきたんだし、ただのおふざけだとしても、したい。

「……いいよ」

 どうせ、冗談だよぉって、アハハって笑って終わるんだろうなと思ってたのに。

 目を閉じた彼女の顔が近づいてきて、唇が触れた。一度離れたと思ったら角度を変えてもう一度。

 柔らかかった、温かかった、気持ち良かった。

 何も考えず、私からもキスをする。

 もう止められなくなることはわかっていたが、彼女に触れることの喜びに抗うことは出来なかった。


 これは現実? まだ夢の中なのだろうか、それとも夜も恋人の代わりとして振る舞えとでもいうのか。

 そんな考えも、私の微かな理性も、彼女の小さな吐息で吹き飛んだ。


 私は彼女のパジャマのボタンに手をかけた。

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