34話 クイズ2
「はい、次の問題です。鉄砲が発明された年は何年でしょうか。ヒントは「鉄砲結構暴れん坊」です。」
はぁぁぁ?数字読みひとつもないじゃんか・・。もう無茶苦茶だな。
「えー。鉄砲、結構、暴れん坊? 鉄砲・・・ あー。分からないよ。」
「わたしも全然わからないわ。降参。」
「正解は、812年でしたー。」
「えぇと、解説プリーズだよ、タマミちゃん。」
「はい、いいですかー、しっかりイメージして下さいね。まず鉄砲です。鉄砲を撃つとどんな音がしますか? イメージして、イメージして、はい、パンッって音ですねー。パンッ、8です。次に暴れん坊、これはテレビの暴れん坊侯爵の放映チャンネルです。何チャンネルですか? はい、12チャンネルですね。よって、正解は812年でした。」
「え?「結構」は?」
「あぁ、結構って言ってるんだから、考えなくて結構なの。」
「うわぁぁぁ、無茶苦茶だよ、これ。余計難しくなってるよー。」
「ふふふ。でしょ、タマミの言った意味が分かった?全然イメージできないでしょ?」
「はい・・すみません。これは確かにタマミちゃんのせいじゃなかったです。」
「でしょう? だから半分も正解したタマミは凄いでしょ?」
「確かのこの語呂合わせは、ダメダメだけど・・ 歴史年表って、別にこの語呂合わせ使わなくても、普通に丸暗記で良いんじゃないの?」
うぉぉー。明子おばあちゃんが強烈なカウンターを放ったぞ。
「・・はい、今日のタマミの歴史年表講座は終わり。後は車窓の風景を楽しみましょう! ララララ~。」
うわ、メッチャ誤魔化したぞ。
「フフフフフ、タマミちゃんったら・・」
明子おばあちゃんの笑いが止まらない。
タマミちゃんは窓の外を向いて、鼻歌を歌い続けている。
いやいや、本当に平和だよな。これだよ、これがボクが守りたい世界なんだよ。
カタン、コトン。カタン、コトン。
クラクトン・シー駅のホームへ停車する。
「さようなら。」
「バイバーイ。」
明子おばあちゃんとタマミちゃんが一緒に改札へ向かって行った。
「はーい、お疲れ様でしたー。」
車庫で休んでいると隣の留置線に9号列車が入って来た。
「9号師匠! 待ってたんですよ!」
「おー、17号列車。なんだい、王室所属になったんだって?凄いじゃないか、俺も師匠として鼻が高いぞ。」
「そうなんですよ、それもこれも、9号師匠が違う属性の魔法発動の話を教えてくれたおかげなんですよ。」
「そうだってな。色んな魔法が発動したって聞いたよ。どうやって発動させたんだい?俺も実際に魔法発動者に会うの初めてだからさ。」
うーん、実は出来る人が特別っていうか、転生者じゃないと出来ないんだけど、それは説明できないから、他の人と同じように、ぼんやりした説明にしておこうかな。
「そうですね。ボクの場合、友達からもらった絆石が割れるのを見た瞬間、急に魔法が増えてきて、あとは無我夢中で動いてたら、飛んだり、車両の増減車が出来たって感じなんです。具体的に何をしたらっていうのがボク自身でもわからないんですけど、よくわからないけど出来たって感じです。」
「うーん、今まで聞いた話と一緒だねぇ。みんな何となく出来たって言ってるらしいよね。ま、具体的な方法が分かってたらみんな出来るようになるけど、そうなってないんだから、やっぱりわからないってことなんだろうな。」
「そうなんですよ。魔法研究所で検査も受けたんですけど、それでも原因はわからなくて、だから、継続調査のために魔法研究所の研究員になってるって感じです。」
「そうかぁ。魔法発動が出来たら出来たで大変なんだな。でも、王室所属になったんだから、こんなローカル線じゃなくて、1級路線に異動とか、王室専用列車になったりとかしないのかい?」
「今のところ、そういう話は聞いてないですね。 あ、そう言えば、軍から金獅子勲章、クラクトン侯爵からナイトと名誉市民章が貰えるらしいんですけど、クラクトン公爵のナイトって何なんですか?」
「げげっ。金獅子勲章?そりゃ名誉なことだぞ。クラクトン公爵がナイトを授与するのか、それも凄いな。」
「で、そのクラクトン公爵って誰なんですか?」
「あ、クラクトン公爵知らない? 王国の各州は王国建国時からの貴族の領地で、クラクトンって田舎っぽいけど、実は海に面していて防衛の要所なんだ。だから、ここ、クラクトン・シーには王国軍の基地があるだろ。そこで、クラクトン州は貴族の中でも最上位の公爵が治めてるんだ、それがクラクトン公爵。」
「へぇ、クラクトンって単なるローカル線じゃなかったんだ。」
「そうだよ、ローカル線の割には、全線複線で設備もしっかりしてるだろ?」
「なるほどなー、納得。で、そのクラクトン公爵のナイトってどんなものなの?」
「ナイトは公爵の正式な騎士だよな。王国最高位の貴族の騎士だから、うーん、俺も序列はよくわからないけど、凄いんじゃないか?」
うわ、なんか最後は雑だなぁ。
「凄い、の? わかりにくい説明だなぁ あはは」
「俺だって、ナイトなんか見るのも会うもの初めてなんだから、知らないよ! 17号列車がナイトなんだから、ちゃんと俺に教えてくれなきゃ。だろ? ははは。」
「確かに。 凄いものかも知れないけど、誰も意味がわからないって、なんだか可笑しいよね、猫に小判だよ。はははは。」
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