アーカーシャチャンネル特別配信企画『埼玉県某所の食玩スーパーに迫る』

１日目

　遂に配信が始まろうとしている。

　今回は、まさかの特別プログラムという事で更新頻度も高い模様。

　バーチャル配信者の中には耐久配信を行う人物もいるので、それのアーカーシャチャンネル版というべきか？

　そして、配信は始まろうとしている。

『皆さん、お待たせしました。アーカーシャチャンネルの管理人です』

　姿を見せたのは、ショートヘアにメガネ、若干巨乳なメイド服姿の女性である。バ美肉かどうかは判断できないが、ボイスチェンジャーを使っているかと言われると……そういう感じはしない。

　アバターの名前は設定していないようで、管理人となっている。今後、名前が付くかどうかは定かではないが。

『様々な時間、過去、未来、それこそ別次元……そうした様々なものに存在する時間の出来事、それらを観測するのがアーカーシャチャンネルです』

『――と言いたい所ですが、今回は特別プログラムなのでバッサリと。コピペで文字数を水増ししているのでは、と言われる場合もありますし』

　いつもの定型文は割愛して配信が始まろうとしているのだが、彼女は何を配信するのだろう？

『今回観測したのは、とあるエリアでの情報ですね。特価品を販売するスーパーが話題を呼んでいるようです』

　今回の観測は、何故かゲームなどとは関係がなさそうなスーパーの話題だった。

　いわゆる食品ロス問題などについて語るつもりだろうか？　そう思っていると、まさかのコメントが飛び出したのである。

『今月からは様々な商品で値上げラッシュが始まると言われており、買い物をするにも節約しなくてはいけない、という人もいるかもしれません』

『それを踏まえると、今回紹介する特価品スーパーの話題は衝撃だと思います』

『いわゆる、在庫処分品を販売している、賞味期限が残り僅かな商品を販売というケースはリアルであると思いますので、そちらが気になっているのであれば個別で検索をお勧めします』

　普通に経済の話題になるのでは、と思われたが、まさかのワードが飛び出して観測者たちも驚く。

　ここでいう観測者とは、アーカーシャチャンネルにおける視聴者を指すワードである。いつもの定型文でも視聴者を観測者と呼ぶケースはあるのだが。

『ここで販売されている商品はお菓子なのですが、そのジャンルは全て食玩に統一されています。それ以外にもシール付きの菓子パンや様々なキャラクターのプリントされたグッズが売られている様子』

『食玩と言っても、ここで売られているのは賞味期限が迫っているものや１年で入れ替わるタイプのコンテンツ作品の食玩で、定価の半額、もしくは８割引や９割引きもザラです』

『さすがに菓子パンなどは定価の２割引き程ですが、消費期限に余裕がある物を売っているだけあって……』

『スーパーによっては食玩を半額セールで売るケースもあるにはあるのですが、それらもＳＮＳ上での情報交換などをして入手というケースが多いでしょう』

『しかし、このスーパーは最初から食玩のみを集中的に仕入れて販売しているという販売スタイルをしているため、驚く人はいるかもしれません』

『食玩というと関東に代表される首都圏のホビーショップなどでも取り扱いはありますが、食玩独自のオリジナル作品などはよほどの大型店でないと見当たらないケースも出ております』

『その中で、埼玉県内に出来たスーパーの居抜き店舗であるこのスーパーは、店の広さもあって客足も多いようですね』

『土日や祝日で多いのは言うまでもなく、有明で行われるイベントがらみで客足が増えることもある、というつぶやきも見かけました』

　食玩というと、プラモデル入りのガムやカードやシールの付いたウエハース系が有名だろう。

　最近では有名作品のカード入りウエハースが大量に販売されている光景を目にすることだってある。

　それを踏まえると、こうした食玩オンリーに近いようなスーパーも他人とは違う着眼点を持った店舗とも言えるかもしれない。

『今回は耐久配信ですので、この辺りで休憩を取りたいと思います』

　彼女の口から飛び出した発言は、別の意味でもメタ発言かもしれない。

　果たして、今回の観測された食玩スーパー、店舗の中はどうなっているのか、売り上げはどうなのか。様々な部分で気になる要素は多すぎる。

『皆さんも、可能であればレッツVTuber、なのですよ』

　最後の台詞は元気よく、管理人らしくはないような表情を見せることもあった。耐久配信なのに、この台詞が出るという事は一体どういうことなのか？

　耐久配信と言っても、動画サイトで行うパターンとはわけが違うのかもしれない。

　安易な収益化を狙っているわけではないが、次回以降も特別配信は行う模様。

　今回の特別配信がきっかけで、アーカーシャチャンネルが話題になる事を信じて次回の更新を待とう。