第73話幕間【イベント開催に先がけて、アンケートへの協力のお願い】

大型イベント数日前。

そのメッセージは、【黄昏の大侵攻軍】への参加資格があるプレイヤー全員へ配信された。

メッセージの内容は以下の通りである。


『いつもイースターエッグ・オンラインをプレイ頂き誠にありがとうございます。

さて、先日お知らせ致しました復刻イベント【黄昏の大侵攻軍】について、開催にあたりアンケートにご協力をお願いいたします。


【イベントアンケートへのURL】


こちらのアンケートへ飛んで、質問に答えて頂くだけです。

所要時間は一分ほどとなっております。

それではよろしくお願いします。


※このメッセージは、一定数のイースターエッグを見つけたプレイヤー様にのみ配信しております。

※本メールに返信されても、ご返答できませんのでご了承くださいませ』


ガンター達は、素直にそのアンケートに答えた。

アンケートは一分どころか、数秒で終わった。

なぜなら、設問はたった一つであったからだ。


『貴方が見つけてきたイースターエッグは、貴方にとって大切な存在となりましたか?』


これだけ。

たったこれだけだったのだ。

この設問のあとに、【はい/いいえ】を選ぶ。

本当にそれだけのものだった。

ガンター達は、迷うことなく、正直に【はい】を選んだ。


アンケートが終わると、


『ご協力ありがとうございました』


というメッセージが表示された。


そして、イベント開催当日。

各サーバーで、【黄昏の大侵攻軍】への参加を決め、イベントの序章をプレイしたガンター達から、悲鳴と怒号があがったのだった。


「俺の有給休暇五日分がぁぁぁあ!!!!」


「あ、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!

あたしの十年かけて集めた武器コレクションが!!」


「徹夜した八時間ーーーー!!!!」



それは、コテハン【新人】ことシャーロット――新木新太も同様だった。


「ダンデー!!??

アウストローーーー?!!!

デスサイズまで!!!!???」


ガンター達が時間をかけ、集めてきた隠し要素イースターエッグが、第一段階のイベント終了とともに現れた巨大な黒い手に呑まれ、奪われてしまったのだった。


それだけではない。

巨大な手を出現させたNPC。

そのNPCに奪われた宝物。

その宝物を取り戻そうとしたガンター達は、例外なく全滅させられたのである。


そして、このイベントは幕を開けたのだ。

その幕開けは、宝物を奪われたため、ただ呆然と立ち尽くす、真っ白になってしまったガンター達の姿からはじまったのだった。

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