ソードワールド2.0リプレイ「ダンジョン・クッカーズ」

赤い月の魔王

第0話「プリプレイ」


GM:コボルドはある日の昼下がり、いつものように渓流に釣りに来ていた。付近の山中を流れるこの渓流は、崖などの危険な所も多いが、その分人が立ち入らず、穴場となっていた。

いつものように釣りをしていたコボルトに何やらいつもとは勝手が違う大きな引きを感じた。

釣り上げてみると、腹から血を出している死にかけのミアキスだった…。


コボルド:「……お、おもい………!!!網、網……ってこれひとだーーーー!」


カルネ:「……っぐ…かふっ」


GM:幸い息があるようだ。すぐに拙いながらも応急手当を施す。

どうやら大けがを負っているようで、なかなか目を覚まさない。

保険に持ってきていたアウェイクポーションを使用することを決めた。


コボルド:「あ、あのあの、おきてください、起きてくださいっ!」


カルネ:「………ん。…!?誰!?……蛮族?」


GM:ミアキスの女性は体を引きずりながらも臨戦態勢を取る。がしかし。


コボルド:「あ、ぼくは違いま…いや、違わないけど、違うんです!」あたふた


カルネ:「……っく…」


コボルド:「ちゃんとヒトに雇ってもらってるいいコボルドですっ!!」


GM:突然敵意を向けられ困惑するが慌てて状況を説明するコボルト

ミアキスの少女は慌てふためくコボルドの首元に光る名誉人族の証を見るのだった。


カルネ:「あぁ…なるほど…」

「………わかった。助けてくれてアリガト」


コボルド:「えっと、あの……何があったんですか?お金とか持ってますか?」


カルネ:「………大丈夫。着の身着のままだけど、なんとかものはあるよ」

「えっと…はい、これ。ポーションがなかったら危なかったし」


GM:何かあったのは確かだがミアキスは説明をしようとしない。空気が読めるコボルドはそのままとある場所へと向かった。


カルネ:「…どこに向かってるの?」


コボルド:「ぼくが働いてるお店です!」


カルネ:「店…わかった。」


GM:しばし歩くと見えてくる。向かった先からは、とても香しい匂いが鼻孔をくすぐる。


コボルド:「店長店長店長ーーーー!大変です大変です!」


GM:肉や魚が焼ける匂い。トントントンと小気味よく野菜を斬る音。

そこはどうやら食堂のようだ。コボルドの指先の器用さを買い、ソーシエとして雇う店も少なくないという。


店主:「あ?騒々しいなまずはおかえりだろうが」


GM:立ち上る煙、店先からヒトが出入りするたびにふわりと香りを纏う湯気が舞う。


コボルド:「店長、それは店長のセリフです!!ただいまもどりました!」


店主:「おう、おかえりぃ!んで、なにがあった?」


GM:カウンターの奥から猛々しい声が飛んでくる。挨拶もそこそこに、事情を説明するのだった。


カルネ:「……少し、お邪魔します」


GM:コボルドの横には血の跡が残るミアキスの少女。これは良くない気配がする


店主:「…なんだおめぇ、またよく分からんのを連れてきたのか…」


GM:そんなことよりも、まずは青ざめた顔をどうにかするべく、キッチンの彼は戸棚の香草や薬草と取り出し、かまどの火を上げ、鍋を取り出した。


カルネ:「……大丈夫です。少し休んだら…野良ネコにでもなりますから」


店主:「…まあいい。とりあえずそこ座れ」


GM:そんな彼女の鼻孔を食欲そそる香りが抜ける


カルネ:「…はい」


店主:「んでこれ食え」


GM:最後に食事をしたのはいつだっただろうか


カルネ:「……はい?」


店主:「あ?メニューの文句は聞かねぇよ。まかないってのはそういうもんだ」


カルネ:「……その…そうですね。お店だし、ご飯食べなきゃ迷惑…いただきます」


GM:疑問に思う顔をよそに、失った体組織を取り戻せと肉体は渇望の叫びをあげている。

一口、また一口と、いつしか止まらない。店主から一度に掻き込むと死ぬぞという注意があった気もする。しかし、手も口も止まらないのだった。

思わずなにかがこみ上げる。特別な料理ではないがそれはとても美味であった


カルネ:「……あぁ。あったかい…懐かしい…おいしい…!」


コボルド:「わぁ、そんなに一度に食べたらのどつめちゃいますよ!」水のコップ持ってきつつ


GM:身体に活力が満ちる、失った血と肉に即座に換算されていくカロリーとエネルギーとうまみ。


カルネ:「んぐっ…んぐっ…ふぅ…あぁ、幸せ…」


店主:「お前も食う……あぁでも、もうすぐ中休みか…。すまんが先店閉めてきてくれ」


GM:気が付くと器は空になり、一気に水を飲み干す

幸福と食欲を満たされ、緊張の糸は完全にほぐれているのを感じる


コボルド:「はぁい!」ぱたぱた


カルネ:「……ご馳走様でした。とってもおいしかったです。えっと…お代はいくらでしょう?」


店主:「いや、まかないだっつったろ。まあ食った分店手伝えって言ってもいいが…とりあえず何があった」


カルネ:「……………その、まぁ…殺されそうになったんです」


店主:「…まあそうか…そのなりだしな…」


カルネ:「運よく最後の一撃に耐えたんですけど…川にながされて…それで、釣り上げられてここに」


店主:「いやよく生きてたなお前」


カルネ:「…まぁ。きっと、私が悪いんですよ。私ってバカなので。その…多分、なにか怒らせることしたんだろうなって。」

「何度か死にそうになりましたけど。無事でした。運だけはいいみたいです」


GM:無駄に闇の深え女だ。この場の全員がそう思ったことだろう。

見事な大惨事の渦中に巻き込まれたものだと半ば感心してしまっていた。


店主:「……あー。……あーーー」腕組んだり頭がしがしかいたり


GM:どう見ても厄ネタのこの少女、保護するか否かと店主はうんうんと悩ませている。

そこで彼は折衷案を見出した。ここは集いの街リオス。冒険者としての道を提案するのだった。


??:「…あら、お取込み中でしたか?」


GM:そんな折、来客。女性が空きっぱなしの入口でノックしていた。


カルネ:「あぁ、大丈夫です。ご飯を食べさせてもらってただけなので。すぐに行きますから」


店主:「ああ、アイシャさんか。すまねぇなちょっと待っててく」

「……待て?なあお前、料理できるか?」


カルネ:「…えっと、うん。できるけど」


GM:突然突拍子もない質問に呆気にとられながら、返答する。


店主:「どんなもんだ」身を乗り出し


カルネ:「えっと…一通り?…なにかつくってみたほうがいい?」


店主:「頼む」


カルネ:「わかった」適当にオムレツでも作ろ


店主:「あー…と、これとこれ、これも使え。んで、食材はこの辺は自由に使っていい」


カルネ:「えっとぉ…それなら…」ごきげんな朝食でもつくろう


GM:慣れない手つきながらも、手際よく作業を進め、体裁の整ったブレックファストを完成させる。


店主:「ふむ、手際もいいな。よし、いただきます」一口ぱくり

「ーーーうん。うまいな。これもいい味だ」


GM:多少味は濃かったものの、味はおおむね問題ないようだ。体力を消耗していたせいかと納得した。


店主:「…よし、アイシャさん、あの件。一人だけの予定だったがもう一人追加だ」


アイシャ:「おや、なかなか大胆な人選ですね」

「まあ…腕は確かそうですね。それに戦えるのでしたらありがたい」


カルネ:「えっと…その…???」


GM:当人の知らぬところでとんとん拍子で話がすすんでいく。困惑を極め、溜まらず尋ねてしまった。私は何をさせられるのか?


店主:「ウチを経営してる商会にな、魔剣の迷宮が見つかったって話が来たんだ」


GM:もう人がいなくなった店内だが、思わず声を潜めて話す


カルネ:「魔剣の迷宮…なるほど」


GM:これから私は魔剣の迷宮に挑まされるのか?と至極当然の疑念を抱く。目をぱちくり白黒させている。正気か?


GM:残念なことに両者のまなこは正気の目をしているのだった。


店主:「それで、その迷宮を探索する人手を探してるんだが…あー…こっからはアイシャさんに説明してもらった方が早いか」


カルネ:「…その、わかった。命を救ったから、その命を差し出せってことだね」


アイシャ:「いえ、その迷宮ですが、少々変わった迷宮なのです」

「本来は迷宮の探索などは冒険者の店に依頼したりするものなのでしょうが…」

「なんでも、中は変わった食材の宝庫なのだとか」


カルネ:「…たべもの?」


アイシャ:「ええ。当然魔物もいますが、魔物すらも料理の材料になるようで」

「そうなると、普通の冒険者に探索させても目利きができないでしょう?」


カルネ:「なるほど…どちらにせよでは??まぁ、うん。救われた命だし、できることはやるよ」


GM:話を聞いてみれば、食材を取りに行くのが本命のようで、どうやら調理ないしそれにまつわる技能を持った冒険者を探しているという事だった。


GM:どうやら食材をもって贖罪をさせられる、ということらしい。


アイシャ:「少々強引ではありますが…お願いします」


カルネ:「うん。わかった」


GM:拒否権はあるようでない。仕方ないね


カルネ:「じゃあ…色々準備しなきゃだね」


GM:ある程度の説明を終えたところで、当然の疑問が上がる。

ソロで行くのか?ということだ。


カルネ:「んーっと…一緒に行く人は…?」


アイシャ:「他の方は商会にいらっしゃっています。私は今日はお迎えで来たところでして」


カルネ:「なるほどなるほど…」


コボルド:「ぼくも一緒に行くんです!あ、ぼくテールって言います!よろしくおねがいします!」


カルネ:「テールね。私はカルネだよ。よろしくね!」


コボルド:「よろしくおねがいします!カルネさん!」


アイシャ:「私はアイシャと申します。では、準備ができたら行きましょうか」


カルネ:「うん」


GM:所変わってここはとある民家。

そこには物干し竿に干された少女。何をしているのだろう…


人間:「…………」


サンドラ:「‥‥Zzz」


人間:「……え?なんで???」


GM:見て見ぬふりはできなかった…

一瞬目を疑うような光景だが、現実にそのような少女がそこに眠っていた


サンドラ:「うーーーん……どるちぇ……」


GM:あんどがっばーなーのこうすいのせいだよー


人間:「…久しぶりにできた休日が………」嘆きながらとりあえず降ろす


サンドラ:「はっ!!…ここはどこですの!!」


人間:「えー…っと……僕の家だけど…君どこから入ってきたの?」


GM:少女は目を覚ますなり声をあげる。そこは彼の家の物干し竿だったらしい

言われて見渡すと、裕福そうな家の庭だ。

なぜそこで寝ていたのか、問いただしたい気持ちを抑え理由を尋ねることにした。


サンドラ:「えっと、父上と喧嘩して、飛び出したところで300㎞で飛ぶツバメさんにさらわれて、それをエサに寄ってきた30mくらいの鳥に捕まったところまでは覚えているのですが。」


GM:内容はとんでもないものだった


サンドラ:「落っことされたんでしょうか?物干し竿に救われたようですわ!」


GM:なにやらとんでもないことを言い出した彼女に目を丸くする。確かにそういうのがいたと聞いたことはあるが、耳を疑いたくなるような非常識なものだった


サンドラ:「つまりはあなた様こそはわたくしの命の恩人ということになりますわね!!」


人間:「うーん、どうしたものかな……」


GM:どうやらここはギャグ時空らしい


サンドラ:「ところで」


人間:「えーっと、君、名前は?」


サンドラ:「ああっ!!失礼いたしましたわ!!アレサンドラ・T・ラミスと申しますの!!」

「大恩人であるあなた様は特別にサンドラと呼ぶことをお勧めいたしますわ!!」


GM:突撃☆お前が恩人!をやらかしたお嬢様。アレサンドラと名乗る彼女はしっかりとした礼儀作法をもって、挨拶をする


人間:「僕はベルハルト・デーニッツです。ごめん、遮ってしまった」


サンドラ:「ところで、こんなことを言うのは非常に憚られるのですが。」


ベルハルト:「何かな」


サンドラ:「デーニッツ様、何か、食べ物はございませんこと…?いつから食べていないのかもうわかりませんで。」ぐぎゅるるるるるるるrrrrrr


GM:彼女をどうするべきか思案する。しかしその前に食事を用意してあげたほうがよさそうだ


ベルハルト:「…あー、うーーん…あるにはある…けど…まあいいや、どうぞ」部屋を示しつつ


GM:腹ペコお嬢様は大きな音を鳴らし、食料を求めてきた。

詳しい事情を聴くにも、まずはこの腹の虫をどうにかせねば詳しくは聞けないだろう


サンドラ:「失礼いたしますわ!まぁこれが殿方のお部屋…。この据えた匂いは何の食材の香りですの?」


ベルハルト:「……とりあえず、座っててくれる?あ、キッチンは覗かないでね。」


GM:あぁ、声を掛けず無視すればよかった

折角の休日は彼女に捧げなければならないようだ

おい誤解を招くようなことを言うんじゃない


ベルハルト:「絶対に。覗かないでね」


サンドラ:「大人しく待たせていただきますわ!」とピンと背筋を張ってお座り待機


GM:そういって彼はキッチンへと消えた


ベルハルト:不器用にエプロンの後ろ紐を結ぶのを見送ったはいいものの


GM:…おかしい。ガシャン、ドッタンバッタン


ベルハルト:「う、うわっ…!」ジュ~~~~~!!!


サンドラ:「……あの、…もし…?」


GM:鼻孔をくすぐるのは何やら嗅いだことのないような奇妙な臭い。

聞こえてくるのは料理をする上では決してならないような騒音であった。


サンドラ:「い、いえ、サンドラ、殿方が除くなと、胸を張っておっしゃったのですから…。…焦げ臭いですわね…?」


GM:キッチンからは湯気でなく明らかな煙。色は限りなく黒に近いグレー


サンドラ:「デーニッツ様!?こ、こちらまで黒い煙が流れてきておりますが…!!」


ベルハルト:「………」ごにょごにょ


サンドラ:「ま、まだ開けてはなりませんの!?」


ベルハルト:魔法技能を持っているサンドラはとうとうキッチンから魔力の揺らぎすら感知した


GM:不安になって声をかけるも、彼からは覗くなとの指示

いくら心配でも恩人の言葉を無視するのは…とそのように考え、座っている


サンドラ:「バケツに水を用意いたしてございますわ!!いつでもお呼びになってくださいまし!!」


GM:煙に騒音、そして魔力

次に何が来るかお分かりですよね?


ベルハルト:しばらくして出てきたベルハルトの手には、リンゴが一つ握られていた


サンドラ:「………ま、まぁ!おいしそうなリンゴでございますわね!」


GM:顔は煤で汚れ、服はびしょびしょに濡れている


サンドラ:「それよりお怪我はありませんか!?何が、いえ、何をしていたんですの!?錬金術!?」


ベルハルト:「……えっと…その…ごめん、料理は…ちょっとできなくて…これは買ってきたものなんだ…」


サンドラ:「ま、まぁ!!もらってよろしいんですの!?」


ベルハルト:「どうぞ。お腹にたまるものじゃなくてごめんね」


サンドラ:「いいえ、これは、わたくしの命をつなぐ果実。」

「わたくしの命を救う、あなた様の御心でございますわ。」

「謹んで御受けいたします。いただきます!」


ベルハルト:「えっと…いやそこまで大げさじゃなくていいんだけど…」


GM:しゃくっしゃくっと大きな口を開け見た目とは裏腹に豪快にかぶりつく


ベルハルト:「…!ごめんちょっとこれ片づけてくるよ!!」


GM:言いつつ机の端に置かれた皿を抱える


サンドラ:「ごちそうさまですわ!果実としてはやや小ぶりで、まだ熟れ切ってはいないはずのリンゴではございますが、わたくしにはとても、とってもおいしく感じました。ありがとうございました。」


GM:サンドラ14才。これが初めて殿方からもらった贈り物であった


ベルハルト:食器、ではあるが中身はおおよそ食べ物とは呼べない色をしている


サンドラ:「わたくしもお手伝いいたしますわ。見た目通り家事には自信はなくてよ!」


GM:皿がさらに2〜3枚割れたであろうが、なんとか片付けるのであった。


ベルハルト:「い、いや大丈夫だよ!君は座ってて!」


サンドラ:「なりませんわ!!このラミス家長女たるもの、受け取りっぱなしは血が許せませんの!!さぁ、さぁ!!」


ベルハルト:焦って止めようとしたのも虚しくドアが開かれると、料理をしていたとは思えない惨状が広がっていた


サンドラ:「これは……。腕がなりますわね!!」


GM:ぐいと袖をまくり上げ、作業を開始する。


ベルハルト:「…えっと…うん、その、ありがとう……」


サンドラ:構造解析判定 → 14


サンドラ:「これはそこに入れるのですわ!!こちらはそっち!こちらのフライパンはもう使い物になりませんわ!!」


ベルハルト:「君だけにやってもらうのは悪いし…」


サンドラ:「わたくしがやったほうがはやくてよ!!」

「まずそうなものはお尋ねしますわ!!殿方はどんと胸を張って見ていてくださいまし!」


ベルハルト:「…ありがとう……」


GM:わたわたと掃除を開始するのであった。

彼女は掃除が得意な部類ではなかったが、ベルハルトに比べればマシである


サンドラ:「…こんなもんですわね?ふぅ。」

「いかがですか?良家の娘たるもの、ある程度のことはこなせなくては!!」


ベルハルト:「す、すごい…片付いてる…!ありがとう…!」


サンドラ:「ふふん、どんなもんですか!」

「……そうですわ。わたくし、行きたいところがございましたの。道をお尋ねしてもよろしいかしら?」


ベルハルト:「ああ、うん。どこに行きたいのかな」


サンドラ:「年輪国家アイヤールから家出してきたのですけど、まずここはどこか教えてくださる?」


ベルハルト:「いや待って、え、アイヤールから?ツバメに??」


サンドラ:「はい!」


ベルハルト:「……良く生きてたね…?」


サンドラ:「これも一重にあなた様の物干し竿とマットレスがあったからでございますわ。」


ベルハルト:「そっか……。ここは集いの国リオスだよ」


サンドラ:「まぁ!!奇遇でございますわね!私はとある美食ギルドがあると、その地がリオスにあると聞いてはるばる飛び出して参りましたのよ!」


ベルハルト:「えーっと…美食ギルド…?」


サンドラ:「かつては敬愛する母上が所属していたとのうわさも聞き、参った次第。……あら、現地では有名ではありませんの?」


ベルハルト:「うーん、僕は聞いたこと無い…かなぁ……」


サンドラ:「うーーーん。どういたしましょう。……。」


ベルハルト:「そこに所属するためにこの国に来たってことか…ということは君は冒険者なの?」


サンドラ:「いいえ!母から一通り学んではございますが、すでに母は他界し、それ以降は独学なので素人に毛が生えた程度ですわ!」

「しかし、墓前で母の声を聴いたのです。美味しいものを食べて健やかに生きなさいと!」


ベルハルト:「そっか…うーん、美味しいもの…ねぇ…」


サンドラ:「これはつまり、食堂を営む父う…いえ、クソ親父の作る食事で満足せずにもっとおいしいものを食べるのだという母からの最期の教え。」

「全うするためにこのアレサンドラは美食家になることを決めたのですわ!そのためならば、冒険者となることも吝かではございませんのよ!」

「とりあえず、リオスにあるらしいことはわかっているのですが…。」

「それとも、今は美食ギルドは形が変わってしまっているのでしょうか。」


GM:ベルハルトはしばらく逡巡した後口を開く


ベルハルト:「美食ギルドを謳うギルドは僕が知る限りは無いんだ。ごめんね」


サンドラ:「…そうでございますか……。」


ベルハルト:「ただ、戦う術があって美食を求めるのなら…」


サンドラ:「なら…?」


ベルハルト:「最近、変わった食材が採れる迷宮が見つかったんだけど、興味ある?」


サンドラ:「もしや美食ギルドが関わっている可能性が!?」


ベルハルト:「魔剣の迷宮みたいなんだけど、木の実なんかも栄養価が高かったり」


サンドラ:「ほう!ほう!」


ベルハルト:「どうだろう…見つかったのは最近だから、リオスからギルドを派遣してっていうのは無いと思う」


サンドラ:「左様でございますか…。…いえ!きっと、何かしら情報がつかめるはずですわ!場所を教えていただけませんこと!?」


ベルハルト:「あぁでも、建物の跡地があるって言ってたっけ…?」


サンドラ:「跡地…?」


ベルハルト:「この迷宮なんだけど、僕の商会で調査隊を派遣しようとしているところなんだ。君さえよければその調査隊に入ってもらえないかな?もちろん報酬は出すよ」


サンドラ:「ぜひ!!こんな素人同然の小汚い小娘ではございますが!是非に!」


ベルハルト:「ありがとう、じゃあ、顔合わせが~~」かくしかで詳細を伝えます


サンドラ:「はい、はい!」うっきうきでメモメモ


ベルハルト:「そういえば君宿は……」状況思い浮かべて頭抱え


サンドラ:「路銀は空路で落としてしまいましたの。無一文ですわ!(マジで0G)」


ベルハルト:「えーっと、うーん、とりあえず何ができるか教えて。少し日があるからそれまで商会を手伝ってくれる?宿とご飯は任せて」


サンドラ:「はい!アレサンドラ・T・ラミス。職業としては、戦士ですわ!」


ベルハルト:「…戦士??」


GM:少女は発動体を構え、皮鎧で。


ベルハルト:「え、魔法使いじゃなくて?」


サンドラ:「はい!戦士ですわ!」


ベルハルト:「え、ごめん、ちょっとごめんね?」


GM:ベルハルトはおもむろに立ち上がってサンドラの前へ


ベルハルト:命中 → 3


サンドラ:回避 → 11 成功


サンドラ:「何か虫でも飛んでいまして?」

ベルハルト:「いや、うん、そうだね。それなら…」


サンドラ:というわけでサンドラは顔合わせの時まで適当な小間使いとして扱われることになったのだ。


GM:待て次回

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