第47話
人通りのない東館の色とりどりの絵画のある廊下を進むと、二つの螺旋階段のある広大なサロンへ続く扉を見つけた。アンリーは何故かちょっとここへ来ただけでノブレス・オブリージュ美術館の館内でどこになんの部屋があり、どんな骨董品や調度品、絵画、銅像などがあるのかわかるようになっていた。
「そういえば、もう閉館時間よね」
アンリーは呟くと、だが、明るいサロンは高級な服装の貴族の人達が談笑したり、飲み物や小料理を楽しみ。歌を聴いたりしている社交の場となっていた。
「どうしたの? お嬢さん?」
煌びやかなドレスを着た貴婦人に呼び止められた。
「あ、あの……ここで待っていてって、言われての」
「あら、ヘレンさんのお知り合い?」
貴婦人はサッと片手を上げると、黒を基調としたボーイが音もなく駆け寄り。トレイに載った日本茶を勧めてきた。
「あなた。何かあったのね。でも、もう大丈夫よ落ち着いて」
「ええ……。ええ、ありがとう」
「ここだけの話。私の叔父はここホワイトシティの市長なの。困ったことがあったら何でも私に聞いていいのよ」
「……そ、そうなの?! ありがとう。でも、もういいわ。モートが来てくれたわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます