第34話 覚醒
「任せてください! でやぁ!」
ロープは咄嗟に、向かって来た奴目掛けて回し蹴りをお見舞いした。
「ごめん! ロープ!」
「大丈夫です! このまま攻撃します!」
ロープが攻撃を仕掛けようと走り出した……その時。
黒い影が私たちを覆ったのか、辺りが暗くなっていった。
既に夜なので辺りは既に暗かったのだが、それ以上に……街灯の明かりも遮るような暗闇が私たちを覆った。
「な、なんだ!?」
「こ、これは一体……」
「ロープ! こっちに来て!」
私は暗闇の中、ロープを探す。
ロープ……どこ? 守らなくちゃ……。
ロープ……ロープ……
「……アニマさん!」
「ロープ!」
私は声のする方向に目掛けて抱き着いた。
……このぬくもりは……間違いない、ロープだ。
この暖かい体温は間違いなくロープだと言い切れた。
「……ロープ」
「アニマさん……この暗闇、一体何なんでしょうか?」
「私にもわからない……」
私たちは不安を口にしつつ、お互いに抱きしめ合った。
……しばらくすると、暗闇が晴れ、辺りが明るく照らされる。
……私たちは、喋るオーガが向かってくることを考え、咄嗟に戦闘態勢に入った。
すると、目の前には……。
「……なんだ?」
先程までいたオーガの前に一人の褐色肌の女性が立っていた。
燕尾服を着ていて、どこか凛々しく見える。
「ねぇ……アタシを愛して……愛して!!」
……喋るオーガが、女性に目掛けて襲い掛かろうとしてる!
「……危ない!」
私は女性に向かって叫ぶ。
しかし、女性は逃げようとする素振りも見せず……ただ棒立ちしていた。
「ねぇ愛して……愛して!!!」
あぁもう! 早く何とかしなきゃ!
「アニマさん!」
「うん!」
私たちは女性を助けるために走った。
……ところが、その時。
「……え!?」
女性は……オーガに向かって、回し蹴りをした!?
喋るオーガは、そのまま向こうの建物に叩きつけられた。
一体……これは……。
「痛い……愛して……愛して……」
喋るオーガは、致命傷を負ったのか、地面に手をついていた。
この人……一体なんなんだ?
「お前は我らが『ロードモンスター』の障害となりうる者……ここが始末してくれる……」
「……ロードモンスター?」
何言ってるんだ……この人は。
すると女性は、上着を脱ぎ、こちらに向かって歩いてくる。
私たちは女性の奇妙な動きに恐怖を覚え、距離を取るように後ずさりをする。
「……覚醒」
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