第21話 貴方こそが勇者様
「ねぇロープ、私はロープの事、凄く感謝してるよ」
「……え?」
「得体のしれない喋るモンスターに対して果敢に立ち向かったり、さっきみたいにオークの大群を一人で潰したり……そういうところ、憧れちゃうな」
……少なくとも、私にはそう言う事は出来ない。
以前私がやっていたことと言えば、敵の居場所や弱点を伝えたり、偶に前線で戦うぐらいだ。
それと比べると、ロープの行動はとても尊敬できる。
そんな行動を参考にしていきたい……これは本心だ。
「憧れるって……それはこっちのセリフですよ」
ロープはそう言って……私のことを抱きしめ返した。
……え?
「憧れる? 私に?」
「はい……アニマさんは色んなジョブになれて、喋るモンスターを一瞬で倒して、勇敢で……私、アニマさんのそういうところ、憧れちゃいます」
「そ、そうかな……そう言われると、嬉しいな」
……そんなこと言われたことは一度も無かった。
私が勇敢……そういえば、ロープ、初対面で私の事、勇者様って呼んでたっけ?
私が勇者様……か。
「……ねぇ、ロープにとって、私は勇者様?」
率直な疑問だった、彼女から見たら私は勇敢に立ち向かう戦士に見えているが、実際の私はそうではない。
今はともかく、前までの私はちょこまか動いていただけの奴だ……そんな私が、今でも勇者様に見えるのであろうか?
「……はい、貴方は私の勇者様ですよ、アニマさん」
……ロープの勇者様、か。
不思議の悪い感じはしなかった……むしろ……嬉しかった。
「……そっか」
「……はい、さっきだって……侮辱された私を守ってくれましたし……」
「そっか……ふふふ……」
「……ふふふ」
私たちはしばらくの間、お互いの体温を感じ合って……立ち上がった。
「……じゃ、換金したお金で食事でも行こうか!」
「いいですね!」
「じゃあ、この間の店……もう一回行く?」
「……はい! 行きましょう!」
「うん!」
私たちは手をつないで、食堂へと向かった。
「そういえば、金貨貰ったんだよ! 金貨! これもロープのおかげだよ!」
「ほんとですか!?」
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