第19話 憧れの勇者様 ※ロープ視点

 ……そんなある日の事。

 いつものように、冒険者ギルドで人員募集が掛かっているギルドが無いか聞きに行った……その時。


「た、大変だー! 見たことも無いモンスターが街に……」


 ギルドの扉が思い切り開き、男性が何かを訴えてきた。

 しかし……。


「き、きゃあああああああああ!!」


 男性の腹に……何かが刺さって絶命してしまった。

 そして……喋るゴブリンが現れ、ギルドの建物にいた人を殺し始めた。

 私は……怖くて仕方がなかった。

 こんな時に……私たちを守る勇者様がいれば……。

 そんなことを考えていたその時。


『ジョブチェンジャー!』


 ……そんな音声が、建物の中に響き始めた。

 音声のした方を見てみると……一人の女性が立ち上がっていた。


「おい……そこの小娘、お前なら……資格があるかもなぁ?」


 喋るゴブリンが女性を襲おうとしたその時……女性は果敢にも立ち向かい、カードをスライドさせた。


『ジョブチェンジ! 剣!』


 ……そんな音声と同時に、女性は……美しい騎士に変身した。

 ジョブチェンジ……まさか、あれは……勇者様?


「ぐはぁ!?」


 女性は剣を振るい、ゴブリンを一刀両断している。

 ……かっこいい。


「みんなは建物の中に避難してて!」


 ……その言葉を聞き、皆建物の奥へと避難していった。

 女性はゴブリンを蹴り上げ、外へと放り出した。

 私は……彼女の活躍を観たい一心で、ギルドの入り口から、戦いの様子を見た。

 ……とてもかっこよかった。

 誰かのために……立ち向かうその姿。

 間違いない……彼女は勇者様だ。

 彼女と……一緒に戦いたい、彼女のようになりたい。

 私はその一心で、声を掛けた。


「貴方……もしかして……伝説の勇者様!?」

「で、伝説の……勇者?」


 ……困惑しているようだが、私にはわかった。

 彼女こそが……。


「おい! アンタ! ウチのパーティに来てくれよ!」

「馬鹿野郎! 俺が先に目を付けたんだ!」

「違う! 私たちのパーティに……」


 ……どうしよう、勇者様が奪われちゃう……ここは。


「こっちに来てください!」

「え? ちょっと……」


 私は勇者様を引っ張り出して、宿に連れて行った。

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