第71話 疲弊する吸血鬼と駆除
『……凍れ』
キセノンがそう言うと……青い閃光がまっすぐと伸び、スライムに命中した。
そして、スライムが……いや、スライムとその周りの森が、まるでガラス細工のようになった。
ちょ、ちょっと! それだと下にいるアリスさんは……。
「す、凄いです! 私、こんな凄い魔法初めて見ました!」
アリスさんは遠くから歓声を上げる。
……どうやら既にスライムから離れた位置にいたようだった……良かった……。
「キセノン! 人がいるんだから気を付けてよ!」
『もぉー、ノンノンって偶に強い魔法使うからバリ怖いよー』
私たちは攻撃を終えたキセノンに近づいた。
『はぁ……はぁ……疲れた……』
キセノンは強い魔法を放って疲れ果てたのか、ゆっくりと降下し、地に足を着いた。
私たちは急いで彼女の下へ向かった。
『そりゃそうやろ! いつも言うとるやろ! ピンチだからって強すぎる魔法は使うんやないって! キセノンはんボロボロやんけ!』
『だって……こうした方が……みんなを……守れる……』
『あんたがボロボロになったら元も子もないやろが!』
『ご、ごめん……なさい……』
ラピスは疲れ果てたキセノンに説教をした。
うん、確かにラピスが怒る理由もわかる、しかもラピスの口ぶりからすると、いつもこんな感じらしい。
うーん、一人で突っ走るのは私も人のこと言えないから、何とも言えないな。
『今……攻撃……チャンス』
『……ったく、しょうがねぇな、行くぜ!』
カブトムシになっているゴルドは、氷漬けになったスライムを角で持ち上げた。
『瑠璃! ラピス! リン! 決めろ!』
ゴルドはそのまま、私たちにパスするかの如く、こちらに投げつけた。
『ほな、決めるで!』
ラピスがそれに向かって突進をし、真っ二つに割った。
『よーし! ルリルリ! 行くよ!』
「う、うん!」
私は真っ二つになった氷に向かって剣を振るい……それを粉々にした。
蜂になっているリンは、尻から針をマシンガンの如く飛ばし、片方の氷を粉々にした。
氷は粒子となり……まるで雪のように降り注いだ。
どうやらこの勝負に、勝ったようだ。
『……やったぁ!』
『ほんま、一時はどうなるかと思ったわぁ』
リンとラピスはお互いに体をどつきあった。
……ハイタッチの代わりだろうか?
『おい、キセノン。立てるか?』
ゴルドがキセノンの元に近づき、持ち上げようとしていた。
私も助太刀しようと近づくも……キセノンは1人で立ち上がった。
『うん……大丈夫……ていうか……戻ろう』
『あぁ、そうだな』
キセノンの言う通り、一旦は元の大きさに戻ろう。
私たちは戦いを終え……元の姿に戻った。
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