第35話 叔母の承認
「この人たちは、街中に出現してる変な塔を壊してくれる人なんだよ」
「まぁ、そうなのかい? そういえば行く途中に何戸かあったねぇ、そんな建物。なるほど……奇妙な人かと思ったけど、それならば信用できそうだねぇ」
するとゴルドが立ち上がって……叔母さんの手を握った。
「はい! 私たちはダンジョン……あの忌まわしい塔の破壊を担っている……探索者というものをやっています」
「は、はぁ……」
叔母さん……何とも言えない表情になってる……。
「……でね、その……私、この人たちにすごくお世話になって……何か恩返ししたいなーって思ってたんだけど、この人たち……寝るところが無いんだって」
「いやいやいや! バリ世話になったのはこっちだよルリルリ!」
「せや! 瑠璃はんがおらんかったら、ダンジョン攻略できへんかったで!」
「うん……私も……そう思う」
リン、ラピス、キセノンの3人は、「世話になった」という発言に突っ込みを入れた。
いやいや、そもそも貴方達がいなかったら私と翡翠ちゃん、死んでる可能性があったんだけど……。
「ま、まぁとにかく! 叔母さんに迷惑かけちゃうかもしれないけど……この人たち、駄菓子屋に泊めてくれないかな?」
私は半分無理だと思ってお願いした。
だっていきなり得体のしれない男女を自分の家に置くって、普通に考えたら嫌じゃない?
多分叔母さんは嫌がって……。
「……いいよ!」
「えぇ!?」
いいの!? 本当に!?
「いやだって……瑠璃ちゃん、この人たちに色々面倒を見てもらったんでしょ? 話を聞く限りだと、この人たちも瑠璃ちゃんが必要みたいじゃない」
「う、うん……」
「なら、お互い近くに居たほうがいいでしょ? いいじゃない、賑やかで」
叔母さんは笑顔で返答をする。
「いやいや、本当にいいの? 迷惑じゃない? 私だけじゃなくて他の人まで……」
「別に同居人がたかだか4人増えるだけでしょ?」
「たかだかって……」
叔母さん、太っ腹すぎる……。
「ルリルリ! 今の話本当!?」
「助かるわぁ……ほんまに」
「……良かった」
3人は私に近づいて、喜びを露わにした。
うん、正直驚いた、こんなすんなり受け入れてくれるなんて。
「では改めて……私は瑠璃ちゃんの叔母の琥珀、よろしくね」
「琥珀さん! よろしくお願いします!」
ゴルドは背筋を立てて返事をした。
分かりやすいなぁ……。
「……で、あなたの名前はゴルド……だっけ?」
「はい! ゴルドです!」
「よろしくね、ゴルド……さん?」
「ゴルドでいいです!」
「は、はぁ……よろしくゴルド」
「はい!」
なんだろう、ゴルドすっごい嬉しそう。
「アタシはリン! よろしくね! ハクハク!」
「は、ハクハク? まぁ、よろしく、リンちゃん」
叔母さんにもあだ名が適用された……まぁリンの方が年上だし、いいか。
「ウチはラピス、これからお世話になります、琥珀はん」
「……キセノンです……よろしく……お願い……します」
「ラピスちゃんにキセノンちゃん。よろしくね」
2人は律儀にお辞儀をした。
なんだろう、この2人ってイメージ通り、なんか礼儀正しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます