第11話 困惑と結論

 さっき吸血鬼の女の子……キセノンさんも言ってたけど、サンルートって何?


「複数の島からなる列島王国や……というかウチらが今脚を着いてるこの国の事や! そのぐらいは知っとるやろ?」

「いやここは……日本じゃ? もしくはインドネシア? フィリピン? あ、でも日本もインドネシアもフィリピンも王国じゃないか……」

「……」


 サキュバスの女性……ラピスさんはドン引きした表情で黙ってしまった。


「あ、あのよ! この国の一番偉い奴は誰だ! 言ってみろ!」

「え!? えーっと……天皇陛下かな? でも象徴だから違うかな……内閣総理大臣?」

「……」


 ドワーフの男性……ゴルドさんも黙ってしまった。


「あの……この国の名前……何?」

「……日本国?」

「……国歌……国の歌は?」

「……君が代?」

「……」


 吸血鬼の女性……キセノンさんも黙ってしまった。


「あのー……ちょっと待ってね、ここって……サンルート王国……でしょ?」

「……違うと思いますけど」

「国王の名前は『ダイヤ・サンルート』やろ?」

「……失礼ですが、誰ですか?」

「おいおい……じゃあ探索者ってのも……」

「探索って何を調べるんです?」

「国歌……『神よ、サンルートを守り給え』……歌える?」

「……歌えないです」

「「「「……」」」」


 4人は「こいつマジかよ」って顔で私を見る。

 いや、そんな顔されても困るんですけど……。

 ……謎の国家、人間とは違う見た目の謎の種族、魔法を使う。

 ここから導き出される結論、それは……。


「もしかして……異世界の人!?」


 私は思わず飛び上がった。


「い……異世界?」

「そう! そうです! 皆さんもしかして……異世界……違う世界からやってきたのでは!?」

「な、なになに!?」


 私は興奮のあまり、リンさんの肩を掴んだ。

 やった、ついにやったぞ! ざまぁみろ! 頭の悪い教授に研究者ども!! 私の理論はやっぱり正しかった!! 異世界は……違う世界は存在するんだ!

 しかもファンタジーな世界……Web小説であるようなダンジョンや魔法が存在する世界……最高じゃないか!!


「……ま、まぁ、とにかく! 貴方はこの子とここにいて! ダンジョンはアタシたちが何とかするから!」

「え、えぇ? もう行っちゃうんですか!? お話を……」

「話は後! 今はこのダンジョンを何とかしないと!」


 そんな……異世界の話、たくさん聞きたいのに……。


「心配するな、ワシらはこの道じゃプロだからな、お前みたいなど素人がウロチョロされると困っちまう」

「は、はぁ……」


 まぁ、ここは……言う通りにしたほうが良いか。

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