一日一編集『桜は雨で散るのが綺麗なのに』

朶骸なくす

斜陽ジャンルに私

 この泥風呂に浸かっているのは私だけか

 知らんがいつのまにか一人になった

 いや、別に一人っていう訳じゃ

 ネットを漁れば出てくるし

 いまだに感想とか出てくるし

 一人じゃないんだけど

『島』には私しかいないんだよねえ

 この『島』てのはコミケとかで見る

 サークルが密集して島のように見えるから

『島』なんて呼ばれる。端っこの方なら

『お誕生日席』で上座みたいなイメージ

 そして私はお誕生日を祝う島の一つの一つ

 そして出している本は小説本

 そして、その書いている本のジャンルでは

 ただひとりだった

 まあ、いいけどね、ひまだけどね、ネットがあるもんね

 惜しいと思っているのは、

 人気だった時に某同人通販サイトに委託しなかったってとこかな

 これだったら見てくれる人が居続けた、と思う

 のんびりしてお茶とお菓子をもぐもぐしていた

 そんなデブ活を変えるのは『奇跡』

「あの、既刊全部ください」

 まあ、ありえた

「あり、ありがとうございます」

「お、応援してま、すので」

「がん、がんばりますね!」

 こちゃもうコミュ障の会話だ会話

 だって頒布しても中々に手をとる人がいないから

 はじめて声を出したみたいな対応になる

 今回はあっちもコミュ障だったみたいなので

 親近感が沸いた

 彼女はそのままペコリと頭を下げて

 私の本を手に去って行った

(あ~~~~~~~~~!)

 これが麻薬、たまんない! たまにある

「全部ください」

 この一言を聞く為に

 私はこの斜陽ジャンルから抜け出せない

 いや、ちゃんと原作好きですよ?

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