第123話 告口
「恐悦至極に存じます。加えて――」
まだ報告の途中だということを
いつもは冷然な彼女がジャニスティの部屋で目撃した何かに今は反応し、燃えるような赤の瞳になっている。それが怖いくらいにギラリと光ると感情を表に出すかのようだ。
「あらあら、怯えているの?」
常に“無”の状態である彼女が珍しく気配を変化させたことに少し驚きつつ、スピナは「可哀想にねぇ、よしよし」と子供をあやす様な声色でノワの首筋から顎、耳、頬へと指で撫でていく。
「何が怖いのかしら、ノ~ワ?」
それを嬉しいとも嫌とも、スピナからの言動へは何一つ感情表現や言葉を発しないノワは再度報告の為、口を開いた。
「スピナ様――失礼ながら白き美翼を持つ種族を、ご存知でしょうか?」
その言葉に一瞬で顔をしかめたスピナはおもむろに立ち上がり、答える。
「えぇ、もちろん知っているわ。それがどうしたというの?」
「ジャニスティ様の御部屋にはもう一人、少女がおられました」
「――ま、まさかっ!?」
「はい、間違いなく。あれは、白い翼を持つ――“レヴシャルメ種族”」
驚きなのか、はたまた怒りなのか? スピナの顔は話が進むにつれ、歪む。また食いしばるように歯をギギーっとさせ、まるで別人のように風貌が変わった。
そうしてノワの話が終わる頃にスピナは自分と専属お手伝いが密会のため隠れていた大きな木をいきなり叩くとその枝をバキッと折る。
その緑葉が付いた枝を力一杯握り締めながら、笑い始めた。
「このスピナ様を出し抜き、旦那様に取り入って……突然現れたのが“実の妹”ですって!?」
(どうやらあの時の違和感は、間違いなかったようね)
「……」
「ねぇ、ノワ」
「はい」
「お茶会での催しが、決まったわ」
――許さないわよ、
「覚悟なさい、ジャニー。そしてアメジストもね……ふふ」
◆
――『魔力回復をする』
そうジャニスティが伝言をとアメジストへ依頼した、夜に。生死を彷徨うレヴシャルメ種族の子(後にクォーツ)を救うため“失われた羽の復元”をジャニスティは命がけで試みた。
陽が上るまでに何とか成功させレヴシャルメ種族の
◆
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