第10話 高校受験




        家業で焼肉屋を営んでいたあの頃

        親父の命令で洗い場を任された


        僕は中学3年で高校受験を控えていた

        学校が終わると夜遅くまで洗い物をした


        仕事が終わると疲れて寝るしかなかった

        親父が怖くて勉強をしたいと言えなかった


        受験1カ月前に勇気を出して親父に伝えた

        受験勉強がしたいと言うことを


        親父は激怒して黙って仕事しろと言った

        僕は殴られるのが怖くて何も言えなかった


        仕事の合間に教科書を読むのが

        僕のささやかな抵抗だった


        受験前日まで僕は洗い物をしていた

        僕は受験を諦めていなかった


        受験当日僕は眠い目をこすりながら

        高校へいったんだ


        全力で解答用紙に向かっていった

        後悔だけはしたくなかった


        受験が終わったその日にも

        僕はお店の洗い場にいた


        合格発表の日の事は忘れられない

        僕の受験番号が合格者欄にあったのだ


        やったぜ親父!僕は勝ったんだ

 






*~*~*







 このエピソードは【人間のカケラ】にも出てきます。


 僕はまさか受験日の前日にまで、仕事をさせられると思いませんでした。この時ほど親父が憎くて仕方がありませんでした。


 僕は意地でも受験を成功させようと、努力しました。


 僕は幼い頃から強い希死念慮がありますが、高校受験のような成功談があるので、生きていけるのでしょうね。


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