妖精達のお悩み、この鳥達が解決します!
天石蓮
第1話 新人がやってきた
この世界には多種多様な生命体が存在する。
人間、犬や猫と言った小動物、クジラやキリンみたいな大型の動物。
そして……悪魔、天使、妖精、神がいる。
人間達と同じ空間に。
悪魔も天使も妖精も神も、人間達と一緒に、朝、昼、夜を過ごしている。
雨が降ったら傘をさしている。
暑い日は水を飲んでいる。
流れ星を見つけるとお願い事をしている。
この世界には多種多様な生命体が存在する。
そして、いろんな奴らが毎日毎日……問題を起こしている。
「えぇ?妖精がリンゴの木に住み着いた?うーん、それはですねぇ……」
「はいはい……金髪の美女を探す変な精霊がいると……」
「ふむふむ、人間からの恋愛相談で女神と妖魔が揉めた……」
人間、精霊や神達、 みんなが仲良く過ごせる環境を作るために、色んなトラブルについて相談できる場所がある。
世界中に幾つもある相談所。
ある相談所にちょっと変わった能力を持つ新人がやってきた。
目が覚めるような金髪が特徴的な女性だ。
「カナリー・サンフラワーと言います!私の特技は……鳥を無尽蔵に召喚できることです!」
しばしの沈黙。
その沈黙を破ったのは、紺色の髪に白百合の飾りをした女性だ。彼女は妖精で、背中の蝶のような羽がふわりと動いた。
「んー……今、何て言った?」
「あ、カナリー・サンフラワーです!」
「いや、名前は大丈夫。覚えた。カナリーちゃんね。特技の方、何て言った?」
「鳥を無尽蔵に召喚できます!」
カナリーが自信たっぷりにそう答えると、横からそっと声をかけられる。
声をかけたのは艶やかな黒髪が特徴的な男性だ。
「その、鳥を無尽蔵に召喚できるって……もうちょっと詳しく説明してもらえますか?」
カナリーは「うーん……」と唸った後、何か閃いたのか、手をポンッと叩く。
「見てもらった方がわかりやすいですよね!」
カナリーが呪文を唱えると、瞬く間にカナリーの周りに鳥が姿を表した。
カラス、ハト、スズメ、ツバメ、ハチドリ、タカ、カモ、ムクドリ、メジロ、ハヤブサ、オウム……
わらわらと、次から次へと鳥が召喚される。
「す、ストップ!!カナリーさん、そこまで~!!」
そう言ってカナリーを止めたのは、この相談所のリーダー、シエル・ピジョンだ。
「な、なるほど……こう言うことね」
紺色の髪に白百合の飾りをつけた女性……リリィ・スワローが肩に乗ってきたオウムを見ながらそう言った。
「この鳥達って……いつまで召喚していられるんですか?」
机に降りたカラスを見ながらそう聞くのは、さっきもカナリーに質問をした黒髪の男性……ノワール・クロウだ。
「12時間ぐらい召喚し続けられます!」
カナリーは元気よくそう答えた。
「へぇ、12時間も。すごいねぇ……だけど……鳥で人間や精霊、天使や悪魔達のいざこざを解決できるの?」
リリィがジッとカナリーを見てそう聞く。
「ちょ、ちょっと、リリィさん~!」
シエルがリリィを止めようとするが、カナリーはそれを制した。
「もちろん出来ます!鳥達それぞれの生態、特徴を生かして精霊、妖精、悪魔に天使……人間達のお悩みを解決します!」
カナリーは自信たっぷりにそう答えた。
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