第4話 リアスト
――アプリ、リアスト? なんかそんなこと言ってたなぁ。小説書いてる事、芽衣子さんに言ったっけ? いや、夢は、自分で作り出してるから関係ないかな。
進は、そんなことをぶつぶつ心の中で言いながら画面を動かした。普段からあまりアプリを入れていない進の画面には多くのアイコンはなく、直ぐに目新しい可愛いアイコンに気付いた。 おさげの女子の顔をした絵の下にリアストとあった。
――本当にあるじゃん。まだ夢の中かぁ?
進は、以前にも夢かどうか確かめようとホッペをつねったら痛いから本当かと思ったらやっぱり夢だったという経験があるのでもうホッペをつねったりすることはなかった。
まだ朝の5時半である。会社へ出かけるまでは2時間もある。進はベッドに腰掛け、やや寝ぼけながらもさっそくリアストのアイコンを押した。アプリが開き横書きの原稿用紙が現れた。右上に文字数と残文字数という枠があり何も表示されていなかった。進は原稿用紙に試しに芽衣子と入力してみた。文字数枠に3、残文字数に997と数字が現れた
――おお、これは便利だなぁ。元から付いていたのか? まさか本当に夢の中の芽衣子さんがぼくにくれたのか?
進は、あまり期待はしなかったが、とりあえず今日、芽衣子に逢えそうなストーリーを考え、会社へ出かけるまでの間に書いてみることにした。
――ダメ元で芽衣子さんに逢えるストーリーを書いて試してみよう。そうだ、病院で待ってると言ってたなぁ。整形外科か? いや違うな、以前受付として勤めていたと言っていた皮膚科・小児科の病院だな。ちょうど足になんか発疹もあるしこれを診察に行って偶然再会ということにしょう。
そう決めると進は、あまり文体など気にするタイプではないので、スラスラと誤字はともかく日付を何気なく入れながらあと200文字まで書き上げた。
――でもなんか普通だなあ、逢うだけでなくてドキドキすること入れようかな。そうだなぁ、どうしようかな?
進はあと残りの200文字で、『靴を履くのに苦労している進に芽衣子が見かねて身体を寄せて支えてくれた』と進にしては精一杯色っぽいことを書いた。
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