第25話

男の大剣をいなしつつ騎士たちの前に出る。周りの盗賊は騎士に任せる。


打ち合った結果は互角といったところだろう。とりあえず相手よりもパワーをあげるために、筋力上昇を重複させる。

それからは、こちらが優勢になり所々相手に傷がつきはじめる。



「チッッッ!」



舌打ちをした瞬間に相手の体が倍以上になり、見た目はもはや魔物だ。

たぶんだがスキルの凶暴化を使ったのだろう。

さっきまで押していたが徐々に押され始める。まずい!、と思い距離をとり土魔法を放ち、相手の動きを止める。

相手は凶暴化していて知性は感じないが、剣の動かし方や体の使い方は変わっていない。

たぶんだが、【固有スキル】大剣の導きによるものだろう。


土魔法で足を固定したが、パワーで破壊しこちらに猛スピードで突進してくるが……、

相手は隙だらけ、今ならいけるか。


「――刺斬……」



これは俺が素振中に頑張って考えて作った剣術だ。相手に刀を突き刺し、そこから天を目指すように上に刀を振り抜いていく。

使えるか全然分からなかったが威力を知るために使ってみた。

結果は……、


相手の腹から頭までキレイに斬れている。例えるならば、真ん中まで縦に割いたさけ○チーズだな。思ったよりしっかり技が決まって嬉しい。


知性を置き去りにしたことで、自分が斬られたのに気づいてないのか、死体は直立した状態だ。


他の盗賊たちを見ると、騎士に倒されている。

とりあえず安心だ。こっちはボス倒したのに、

俺以外全滅でした。では笑えないからね。


すると、騎士とお姫様?がこちらに近付いてくる。

騎士は武器を構えつつ、


「身分証を見せてくれ。助けてもらった恩はあるが、あなたが安全だとは限らないからな。」


まぁ、そりゃそうだよね。怪しいもんね、こんなところに一人でいるのはね。

さっさと身分証を差し出す。


「冒険者か。疑ってすまなかった。そしてありがとう、我々を救ってくれて。


「いや、そんなことなですよ。困っている人を見つけたらたすけるのが普通ではないですか」



とりあえずこんな返事でいいだろう。



「ところで、あなた方はどなたですか?」


尋ねると、お姫様が答えてくれる。



「私はこの国の第三王女、サクア・アーノルド、こちらがレイアです。この度は助けてくださりありがとうございます。」



お姫様がサクアさんで、一番腕の立ちそうな騎士がレイアさんらしい。


少どういう状況なのか説明してもらった。

王族は年に一回大きな街の偵察にいくそうなのだが、それから帰る途中で盗賊に襲われたらしい。

そこに俺がたまたま居合わせたみたいだった。



「あの、よろしければですが、王都まで一緒についてきてくださいませんか? お礼もしたいですし、何よりあなたは強いですからね」



要するに護衛してほしいということか。まぁ今やることもないですし、行ってもいいんだけどどうしようか。と、悩んでいると



「もう少ししたら勇者召喚の儀が行われるので、王都は大いに盛り上がるんです。多くの人たちが王都に集まるため、闘技場や競馬、色々なことが企画されるんです。ぜひ、見にきてくだい」



と促してきた。

異世界の勇者か、同郷のやつに合えるかもしれないなら、行く価値がある。まぁ、合えなくても娯楽は結構あるっぽいし、報酬ももらえるらしい。

なら断る理由はない。


「分かりました。お願いします」



返事をして、促されるまま馬車に乗る。護衛なのに中にいていいのかな?とは思うが口に出さず座っている。


馬車の中はとても心地良い。今までボロボロの布団で寝ていたため、高級品らしきソファーは心が安らぐ。振動は軽減され、温度調整もされているみたいだ。馬車自体が魔法具なのかも。


依頼の物をギルドに届けるため一度、街に戻ってもらい、今ある素材を全て売った。結構お金が手に入った。

それから街で一泊して明日の朝にここを出て王都に向かうらしい。

なんか急に大層なことになったなぁと思いつつ眠りについた。


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