僕のマネージャー仲間
あしゃる
帰り道
ねえ、明日の天気はなんだっけ。
目を赤く腫らしながら、彼女は僕に尋ねてくる。
僕はうまく言葉を返すことができず、
「晴れだと良いね」
とありきたりな答えしか返せなかった。彼女の心の中を知っていたら、もう少し馬鹿なことを言って笑わせたのに。
そうだね、晴れだといいな。
浅い青色の空に浮かぶ太陽を見て、彼女は目を細める。
違うんだ。僕は、そんなことを言いたかったわけじゃない。僕が言いたかったのは、僕が伝えたかったのは。
言いたい言葉を探しているうちに、彼女は再び歩きはじめる。
いつもの帰り道を、ゆっくり。
負けたくないなあ。もっと、戦ってたいよ。
土手に差し掛かった所で、彼女が唐突に言った。
土手にはたくさんの花が咲き誇っており、むせ返るような匂いが立ち込めている。
もっと、一緒にいたかったよ。
花の匂いに混じって、彼女の香りが漂ってきた。
それは、僕の口を縫い付けてしまうほど、爽やかな香りで。
もう僕は、何も言えなくなってしまった。
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