十二月

桜舞う四月の或日

引き合うように出会ったことを


雨落ちる六月の或日

すれ違う想いに泣いたことを


花火咲く八月の或日

帰り道に触れた唇の熱を




人は簡単に忘れろと言うけれど

忘れるためにあった日々ではないから


あなたは簡単に新しい恋をと言うけれど

塗り替えるためにあった恋ではないから




紅葉散る十月の或日

散り行く葉に愛を重ねたことを


粉雪舞う十一月の或日

雪と共に解けた愛を




人は簡単に忘れろと言うけれど

忘れられるならこの胸は痛まず


あなたは簡単に新しい恋をと言うけれど

あなた以外にこの胸は高鳴らず




未だ変わらぬ十二月を

私は今も捲れずにいる

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